漫画やアニメに続き実写版も大人気の『ゴールデンカムイ』。
その中で屈指の人気キャラクターが谷垣源次郎でしょう。
当初は第七師団の鶴見中尉に洗脳されていたものの、そこから脱却して杉元たちに味方するようになると、最終的にはアイヌのインカㇻマッと結ばれた幸運な男。
秋田の阿仁マタギとしての誇りを胸に、劇中で活躍する谷垣とは一体どんな人物なのか。
作品や、その背景にあった史実をもとに彼のキャラクターを考察してみましょう。
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スケベ過ぎるのは、山の女神への供物故なのか?
『ゴールデンカムイ』作中随一のセクシーキャラクターといえば、谷垣源次郎が挙げられるでしょう。
カラーページでしばしばたくましい肉体を披露し、コミックスの加筆では体毛を増量。
なぜ、谷垣はセクシー扱いをされるのか?
真面目に考えてみると、彼がマタギということも関係しているかもしれません。
過激な『ゴールデンカムイ』本編ですら出せなかった、と野田先生がファンブックで語る、そんな儀礼がマタギには伝わっています。
山には醜い女神がいるとされました。
この女神は嫉妬深いため、他の女は嫌う。ゆえに女のマタギはかつてはいないとされました。山の中で妻のことを感じさせる振る舞いも禁止であったとか。
そしてそんな寂しい女神を慰めるため、若いマタギはセクハラじみた儀式をさせられる。
ネタでもなく、実際に裸に剥かれたりしたとされます。
この信仰でいくと、セクシーな谷垣は山の女神のお気に入りとなり、様々な加護があってもおかしくないということになります。
『ゴールデンカムイ』谷垣のルーツ“マタギ”とは?熊も鹿も仕留める山の猟師の叡智
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それともミラーリングなのか?
次に【ミラーリング】という意味合いです。
公式グッズとして「スケベ過ぎるマタギペン」なるグッズまで限定作成されました。
傾けると谷垣が褌一丁になるというシロモノ。デンマーク製で、正式名称は「フローティングペン」と言います。
このペンは、かつて土産物の定番でした。
一見何でもないペンなのに、傾けるとセクシーな水着美女が出てきてムフフと微笑んでしまう――そんな往年のセクハラ感覚がそこにはあります。
間違って若い女子社員が手にして「キャッ!」なんて言えばかわいいし、おばさん社員が眉を顰めてもニヤニヤできる。
居酒屋にビキニ美女がビールジョッキを持ったポスターが貼られ、オフィスにすら半裸美女カレンダーを飾ることができた。
昭和レトロな時代のお約束ですね。
もしもこのフローティングペンが、女性キャラクターであればただの悪趣味で終わります。
しかし、マッチョな谷垣であることで、別の意味が出てきます。
このペンだけでなく、谷垣のセクシー描写には笑いが含まれています。思わずニヤニヤするような馬鹿馬鹿しさがある。
セクシーに振る舞う谷垣よりも、谷垣に群がって「いいよ、いいよぉ!」「もうちょっと脚開いてみようか!」などと言う側が下劣でしょうもなく思えてきませんか。
劇中でバストサイズが124センチと公開されているのも、谷垣のみ。
そもそも胸囲って大事?
そう突っ込んだところで、女性キャラクターの胸のカップサイズやスリーサイズ表記はなんなんだろうとふと思ってしまいません ?体のサイズって大事ですか。
『ゴールデンカムイ』の場合、谷垣の胸囲以外は大雑把で、ファンブックでも他の人物とのおおよその比較で表されています。
実はこれは【ミラーリング】という技法ではないかと思えてきます。
2018年フランス映画『軽い男じゃないのよ』がわかりやすい一例です。
男女が逆転した世界で、男性がしょうもない差別に遭う様をみせ、性差別のくだらなさを可視化する技法です。
『ゴールデンカムイ』は谷垣だけにとどまらず、セクシュアルな見せ方は全体的に【ミラーリング】を思わせるところはあります。
男性がやたらと脱ぐ一方、女性は蝮のお銀くらいしか裸体が出てきません。女性が出てくるとなると、性的な描写も抑制的です。
これが実は谷垣という人物を考えるうえで、重要な点に思えます。
谷垣はセクシーだ! 今さら言うまでもない!
そして、これこそが彼の使命であると。
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