門といってもお城の場合は決して「おもてなし」ではありません。
攻城側の侵入を防ぎつつ、反撃時は城兵の出撃ハッチにもなるという二つの機能を兼ね備えています。
また中規模以上の城になると(小規模でもある場合はありますが)、門は必ず外側と内側に2つ配置、周りを箱のように囲んで「虎口」を形成します。
「玄関開けたら2分で天守」だと防衛の意味がないですからね。
って、ネタが懐かし過ぎて歳がバレそうだ。
ということで、門について語るなら「虎口」も観賞することになりますので、ここはセットで紹介しちゃいましょう。
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冠木門 はトイレと同じで内開き
まずはお城の玄関、虎口の外側に配置される「門」についてです。
「門」の初期タイプが「木戸」とよばれる「冠木門(かぶきもん)」です。
両脇に掘っ立ての柱を2本立て横木を通したもので、扉は両開きか上に跳ね上げる形式があります。
戦国初期の城や、ちょっと戦国らしい町おこししてみましたよ的な場所によく見ますね。「井」の字、もしくは「にじゅう」で変換すると出て来るコイツ→「廿」の下の横棒を抜いた形をしています。
ややこしい解説よりも早く写真を見せろ!ということでコチラです。
↓
掛川城天守前の冠木門です。
閉じる気のなさそうな両開きの門扉が付いてます。
次は道の駅で見つけた冠木門です。
門扉がついてないと防御に全く意味をなさない構造に見えてしまって「冠木門」の能力が全く伝わらないので、ぜひ門扉を設置して頂きたいのですが……。
この両脇の2本の柱に門扉を吊るして両開きにしたり、上から吊るすと跳ね扉になります。
そして門は絶対に内側(城側)に開くように設計されます。
え?どうして?
公衆トイレのドアを思い出してみて下さい。
ほとんどが内開き。トイレから出る時はいつも便器とドアに挟まりそうになります(笑)。
もしも外開きのドアだと外に人がいると当たってしまうからというよりも、外からドアを押さえつけられて閉じ込められる危険を排除しています。
そういうわけで私のようなお城マニアはドアが外開きのトイレには決して入りませんね。
トイレに籠城するなら別ですが……頭上からの水攻めには弱いので籠城には不向きです。
礎石の上に柱を置いて瓦屋根 それが高麗門ですYO!
いつのまにかトイレでの籠城戦の話になってしまいました。
気を取り直して「高麗門」です。
冠木門では防御に一抹の不安が残るということで門の構造をさらに発展させたカタチです。
高麗門は掘っ立てではなく礎石の上に柱を置いて瓦屋根を設置。門は両開きで開いた状態でも門を保護するように両脇の奥行きにも屋根がついています。
では実際の高麗門を見て行きましょう。
赤穂城の大手門です。
「小せえなw」と油断していると即死は免れません。多勢で侵入できない一方、内部は広いので、守備側が数的優位を作り出せます。
中に入った途端、銃で狙われ瞬殺でしょう。
さらに!
内部構造が外から見えぬよう「コ」の字に折れ曲がっています。敵が何人ひそんでいるかも分かりません。
下は姫路城の玄関「桜門」。
これはかなりデカい高麗門です。
元々はこの高麗門の奥が【虎口】になっていたのですが、完全に取り壊されていますので、やや間の抜けた景色になっています。
やはり門は虎口とセットじゃないとしまりませんね。
そして松前城の高麗門へ。
これは江戸時代の発展型高麗門です。屋根が高くなり優雅な雰囲気を感じます。
このように高麗門は見た目の良さだけでなく、攻城のド素人には「余裕じゃん」と油断させ、攻城のプロには「何かあるな」と必要以上に警戒させる効果を持っています。
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