「星」というと普段はキラキラ光っているもの――。
いわゆる恒星を想像しがちですが、自ら光らない星もまた天体です。
地球だって、他の惑星から見れば「ぼんやりしててあるのかないのかよくわからん」って感じかもしれません。
更には、そんな次元でなく「実際のところどうなのよ?」な扱いをされ続けている惑星もあります。
1915年(大正四年)3月19日に初めて撮影された冥王星です。
最近、惑星から準惑星へ「降格」されましたが、そもそもこの星、発見当初から色々とモメていたのでした。
アメリカの天文学者が発見
1930年、アメリカ天文学者の一人「クライド・トンボー」という人が、太陽系第九惑星を探しておりました。
太陽系の惑星は太陽に近いほうから
・水星
・金星
・地球
・火星
・木星
・土星
・天王星
・海王星
の8つが見つかっておりました。
しかし「外側の二つ(天王星と海王星)の軌道からすると、もう一つ外側に惑星があるっぽい」ということで、天体写真を用いて未知の惑星を探していたのです。
そして何枚かの写真を撮り、軌道を計算した結果、冥王星が見つかりました。
これが1930年2月18日のことだったのですが、記録によっては最初に撮った写真の日付(同年1月23日)を発見日としていることもあります。
さらに、それまで撮られていた天体写真をいろいろ調べた結果、「これも同じ星じゃね?」というものが見つかり、その写真の日付が1915年3月19日でした。
そういうめんどくさい紆余曲折があったので、当コーナーではこの日に冥王星のお話をさせていただいた次第です。
冥府と地底を司る「プルート」 英国少女が提案
発見日については上記の通り、それぞれちゃんと根拠があるので特にモメたりしなかったようです。
そして冥王星を巡る論争が過熱化していきます。
まず名前。
どんな名前をつけるかで一悶着ありました。
発見者やらその奥さんの名前やら、いくつか最初に候補となりましたが、支持を得られず頓挫。
さらにその後はギリシャ神話の神々の名前がいくつか出たようで、票が割れて決定には至りません
では、現在英名として使われている「プルート」は?
実はこれ、イギリス人のとある少女が提案したものなのだそうです。ギリシャ神話では「ハデス」と言われる神様で、冥府と地底を司るといわれています。
何となく暗くて厳しい感じがしますが、この人(神)自分の奥さんをもらうときに女性の扱いがわからず、あたふたしていたという話があります。かわいいなオイ。
ちなみに女癖の悪さで有名なギリシャ神話の一番エライ神様・ゼウスはハデスの弟。
兄弟で生じる大きな差は、人間社会でも見られますね。
日本では当初「幽王星」だった!?
話がそれました。
ともかくその名がアメリカの天文台に伝わると、「いいじゃないか!」ということで見事採用され、現在に至ります。
日本語訳の「冥王星」は日本人の学者がつけたもので、当初は「幽王星」という名前も候補に上がったとか。
どちらも死後の世界の王を連想できますが、後者だと中国の皇帝に「幽王」っていう人がいたので、ボツになったんでしょうかね。ただ単に語感の問題かもしれませんが。
また、ベトナムやインドでは「閻魔大王の星」と見なされ、「閻王の星」というような意味の名前がついています。
文字コード上の都合で表記できませんが(´・ω・`)
太陽系の中では地球から最も遠い星ということで、暗く冷たく、死者の王や死者を裁く閻魔にふさわしいというイメージが世界共通なんでしょう。
ちなみに某世界一有名なネズミのペットのワンちゃんの名前がこの星と同じなのは、冥王星が発見された年にあの二足歩行の犬がデビューしたからだそうです。意外と単純だった。
2015年の夏には探査機が到着予定
冥王星といえば冒頭でも書いた「降格」の話で記憶に新しい方も多いでしょう。
ただし地表など実際の状況がどんなものなのかはまだわかっていません。
名前だけの話だったってことがよくわかりますね。
一応前々から「惑星にしては小さすぎる」とか「小惑星でよくね?」という話はあったんですけども。
2006年にアメリカの”ニュー・ホライズンズ”という探査機が冥王星へ向けて打ち上げられ、調査を開始。
観測データが次々に送られてきて、新たに解析が進んでいます。
TOPに掲載されている冥王星画像もその一つでNASAが公開しておりました。
下の画像は、同じくNASA公開のイメージ図です。
長月 七紀・記
(初出2015年3月19日 更新2019年3月19日)
【参考】
冥王星/wikipedia