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【信長から信忠への家督相続】
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信忠に織田家の家督と岐阜城、そして尾張・美濃の二国を譲りました。
ただし、この後も【本能寺の変】で斃れるまで、信長はずっと織田家の実権を握り続けます。
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「それって意味ないじゃん」とも思えてしまいますが、武家で生前に家督を譲るのは死後の後継者争いを防ぐため。
信長自身も弟・織田信勝と争いを演じており、その難しさを痛感していたからこそでしょう。
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織田家の場合は、信忠が首尾よく岩村城を攻略し、朝廷からの覚えもめでたく官位を授かったことで、家中にも外部にも「織田家の嫡男は実力がある」とアピールすることができました。
だからこそ、信長は家督継承をこのタイミングにしたのでしょう。
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仇討ちで知られる「星切の太刀」
また、家督継承を機に、信長から信忠へ様々な名物(お宝)が譲られたとあります。
代表的な物は「星切の太刀」という刀です。
これは日本三大仇討ちの一つ、鎌倉時代の「曾我兄弟の仇討ち」に関係している名刀でした。
事件の詳細は以下の記事をご参照いただくとして、
曾我兄弟の仇討ちとは?工藤祐経が討たれて源範頼にも累及んだ事件当日を振り返る
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簡単に説明しますと、曾我祐成(すけなり)・時致(ときむね)という武士の兄弟が、幼い頃に殺された父親の仇を討ったという話です。
星切の太刀は、曽我兄弟のうち弟のほうである時致の佩刀だった、といわれています。しかし、信長が手にするまでの来歴や、誰の作品なのかということはわかっていません。
後々、本能寺の変の際に焼失したとされているため、後世から星切の太刀の足跡を追うのは非常に難しくなってしまいました。
星切の太刀の他にも、変の当日の信長・信忠は多くの名刀・名物を持っており、運命を共にしたといわれています。
明智軍によって回収され、後世へ伝わったものもいくつかありますが……実にもったいない話です。
佐久間の屋敷へ移り住む
他にも信長から信忠へ、星切の太刀以外にも名物をいろいろと譲ったようです。
しかし、信長公記には細かな記載がありません。
この後も折に触れて信忠へ譲られた品がたくさんあるので、それらと混同するのを避けたものか、単に抜け落ちただけでしょうか。
こうして「ご隠居様」になった信長ですが、まだまだ仕事をやる気は満々です。
僅かな茶道具だけを持って、家老である佐久間信盛の屋敷に移りました。
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信盛や佐久間家の人間からするとなかなかに厄介そうですが、これは次に取りかかる大事業のための仮宿でもありました。
なお、佐久間信盛というと、
「織田信長に追放されるんじゃないの? そろそろでは?」
と思われるかもしれませんが、天正8年(1580年)のことですので、まだ若干の年数があります。その間に何かあったのか……。
ここで『信長公記』巻八、そして天正三年の記述は終わりです。
次回からは天正四年(1576年)の出来事を記した巻九に移ります。
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信長公記をはじめから読みたい方は→◆信長公記
長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
太田 牛一・中川 太古『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon)
日本史史料研究会編『信長研究の最前線 (歴史新書y 49)』(→amazon)
谷口克広『織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)』(→amazon)
谷口克広『信長と消えた家臣たち』(→amazon)
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon)
峰岸 純夫・片桐 昭彦『戦国武将合戦事典』(→amazon)