森蘭丸/wikipediaより引用

織田家

実は5万石の戦国大名だった森蘭丸(成利)の生涯~本当に信長の色小姓だったのか?

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歴代大河ではネクストイケメン登竜門

大河ドラマに森蘭丸が登場する。

となれば美少年であることが期待され、これまでも、その時代を代表する俳優が選ばれてきました。

信長の最期に付き添うことから注目度も高く、非常に重要な役回りと言えるでしょう。

そこで過去の大河作品をざっと振り返りますと……。

1965年『太閤記』演:片岡孝夫さん。現在の15代目・片岡仁左衛門さんです。

1973年『国盗り物語』演:中島久之さん。この作品を含め、大河ドラマに10作出演されています。

1983年『徳川家康』演:土家歩さん

1992年『信長 KING OF ZIPANGU』演:竜小太郎さん

1996年『秀吉』演:松岡昌宏さん。大河ドラマには3作出ております。

2002年『利家とまつ加賀百万石物語〜』演:ウエンツ瑛士さん

2006年『功名が辻』演:渡辺大さん

2011年『江〜姫たちの戦国〜』演:瀬戸康史さん。『鎌倉殿の13人』では「トキューサ」として親しまれた北条時房を演じました。

2014年『軍師官兵衛』演:柿澤勇人さん。『鎌倉殿の13人』で源実朝を熱演。

2020年『麒麟がくる』演:板垣瑞生さん

2023年『どうする家康』演:大西利空さん

実にこれだけの登場となっているんですね。

しかも、蘭丸役に抜擢されれば、その後の大河作品にも起用される傾向が強い。

さらなる飛躍へと繋がる役とも言えるでしょう。

 


大河ドラマがイメージを変えることも

大河ドラマ『どうする家康』は「シン・大河」と称され、従来のイメージを変えてゆくといった喧伝が大きく、実際、話題にもなりました。

悪女として知られた家康の正妻・築山殿が、愛らしく平和を夢見た聖女のような瀬名にされたり。

屈強で精悍なイメージだった鳥居強右衛門が、歌が好きで愛嬌のある人物とされたり。

月岡芳年の描いた鳥居強右衛門/wikipediaより引用

森蘭丸の場合、鳥居強右衛門のような人物とは異なり、美少年としての印象があまりに強く、従来の外見イメージからは大きく外れていませんね。

しかし名前は森蘭丸ではなく森乱へ。

その名の通り、乱れた様を見せるのか?

と、最後になりましたが、「森乱」という表記について見ておきますと……。

当時は、幼名や仮名、実名があった他、後世に字の混同があったり、同音で異なる字が当てられたり、単なる表記ミスがあったりして、一定しないことはままあります。

森蘭丸の場合は「乱」や「乱法師」という記述があるため、今回はそれが採用されたのでしょう。

参考までに『寛政重修諸家譜』では森長定、『金剛寺文書』では森成利とあり、現在の国史大辞典では「成利」としています。


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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
歴史群像編集部『戦国時代人物事典』(→amazon
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon
『国史大辞典』

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