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【三成腹】
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石田家では「三成腹」と呼んでいるとか
過敏性腸症候群とは主に大腸の運動機能と分泌障害でおこる病気です。
血液検査や腸の検査をしてもガンや炎症などの異常を認めないのに、お腹の調子が悪くなる病気で、症状としては下痢タイプ、便秘タイプ、そして下痢と便秘を繰り返すタイプがあります。
好発年齢(その病気にかかりやすい年齢)は20〜40歳。
ストレス社会の先進国に多く、原因としては腸を司る自律神経のバランスが崩れることにありそうで、生活習慣の乱れなども相まって複合的に作用するそうです。
ゆえに、元々神経質な人が暴飲暴食や過労、プレッシャーなどに晒されると、症状が出る場合が多くなります。
ほら、プレッシャーでお腹を壊す人がいるじゃないですか。
大事な試験やプレゼンの前にお腹がゴーロゴロ。
神経質でデリケートな性格で、しかも三成の場合は天下分け目のプレッシャーですから、これは医学的にもお腹を壊しておかしくない状況です。
かつてサバンナ高橋さんがテレビCMしていた「きた~~っ! 下痢ですぅ~~」って腹痛薬がありましたが、それを彷彿とさせますね。
週刊誌の記事では、三成の子孫の方が「石田家の男子はお腹が弱いらしく、試験前日などにはよく下す」と話されていました。
石田家ではこれを「三成腹」と呼んでいるそうで……。
お腹の調子が悪かった三成は十分な指揮が取れず敗戦に至った(かもしれません)。
「柿は痰の毒だから要らない」
さて本当に下痢が原因かは別として敗戦の将となった三成を見てみましょう。
逃亡中の山中で捕らえられた三成は、大坂、堺を罪人として引き回された後、京都の六条河原で斬首とされました。この時にこんな逸話が残っておりまさす。
処刑の前に京都を引き回された三成は喉が渇き、お湯が飲みたいと言いました。
これに対し警護の侍は「水は無いが柿はある。これを食べなさい」と干し柿を差し出したところ、三成は「柿は痰の毒だから要らない( ー`дー´)」とキッパリ!
侍は「間も無く首を斬られる者が毒を避けて何になる」と笑いましたが、三成は「大志を持つ者は最後まで命を惜しむものだ」と悠然としていた――というこれまた戦国ファンには有名なお話ですね。
もし一発逆転で斬首を免れた場合、柿で体調を崩したら次の一手が打てなくなるからですね。
戦国昔話『三成のかき』死の直前に差し出され【戦国浮世絵ANARCHY8】
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ここで、気になることがあります。
「柿が痰の毒」ってどういうことなんでしょうか。
柿のヘタを煎じて飲むとシャックリが止まる!?
皆さんお察しのとおり、柿自体に毒性はありません。
果実にはビタミンCやビタミンAを多く含み、食物繊維も豊富です。
薬として用いられることもあり、その効果は「肺を潤し咳を鎮める」そうです。高血圧に良いともされています。
それとですね、柿のヘタを煎じて飲むとシャックリが止まります。これ、現代医学の本にもバッチリ書いてあります。少なくとも痰に悪そうな印象はございません。
そこで浮上してくるのが、タンが痰でなく胆だったという解釈でして。
胆→腹部と考えますと、柿の食べ過ぎでタンニンが固まった「胃石」ができる場合がありますので、それがお腹に悪いと考えられなくもありません。
また前述の過敏性腸症候群は特定の食物で起こる人もあり「三成が柿でお腹を下す体質だった」との捉え方もあります。うん、これで行こう!
そうそう、関ヶ原のお土産でこの逸話が元になったお菓子があります。
名前はズバリ「石田三成 胆の毒ゼリー」。
これはなかなかセンスの高い包みで、貰ったらかなり嬉しいですねー。
中身は美味しい柿ゼリーの模様です。
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文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
本人のamebloはコチラ♪
◆拙著『戦後国診察室2』を皆様、何卒よろしくお願いします!
【参考】
国史大辞典
石田三成/wikipedia
NEWSポストセブン(→link)
IBSネット(→link)
日本消化器病学会(→link)
MSD(→link)
漢方生薬辞典(→link)