歴史ドラマ映画レビュー

ケネディの妻 その後を描いた『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

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ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
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キャメロット幻想

ズタボロになり、煙草をふかし、蒼白な顔に口紅をつけたジャッキー。

彼女が目指した「使命」の像は終盤に見えて来ます。

立派な葬儀を行うことではなく、夫の統治した時代は「キャメロット」、即ち伝説のアーサー王の治世のような理想郷であったと、世間に信じ込ませることでした。

彼女自身、それは嘘だと知っています。

夫と夜をともに過ごす日はほとんどなく、夫婦の間で常に意見が一致したわけではない。ケネディ大統領自身は虚飾を嫌い、妻がホワイトハウスを改装することにすら否定的でした。

そんな彼自身が、妻の広めた甘ったるい「キャメロット」幻想を肯定するかはわかりません。

幻想を広めるために取材に答え、煙草をふかすジャッキー。その姿からは「歴史」が生まれる過程も見えて来ます。

事実だけではなく、伝えるものの願望によって歴史は決まるのだと。

本作はけだるげで錯乱した雰囲気の中で、ジャッキーという一人の女性が歴史を語り継ぎ、作る瞬間をとらえた作品です。

万人向けではありませんが、興味深い作品です。


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著:武者震之助

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