歴史ドラマ映画レビュー

映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ブレイキング・バッドファンも必見

2017年以降、トランプ大統領の就任は、各所で波乱を巻き起こしました。

そんな中で目立ったのが、ハリウッドによるトランプいじり。真面目なオバマ前大統領と違い、茶化しがいのある政治家は大統領戦からさんざんイジられています。

政治ネタだろうと臆することなく、突っ込んでいるのがハリウッドの人々。

セクハラ問題や差別問題でも、声を上げる人が多数います。

自由を弾圧しない、弱者の味方をする。

そんなスタンスが見られる人物が多いのが、ハリウッドですが……実は、言論弾圧による苦い過去がありました。そのことへの反省が、そうした言動の背景にはあるのでしょう。

本作は、ハリウッド苦渋の歴史を描いた作品です。

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基本DATAinfo
タイトル『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』
原題Trumbo
制作年2015年
制作国アメリカ
舞台アメリカ
時代1940年代後半から1970年代
主な出演者ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン
史実再現度史実を基にしている
特徴言論の自由って何だろう? 弾圧ってなんだろう?

 


あらすじ

赤狩りの嵐がハリウッドに吹き荒れた時代、それは黒歴史だった

第二次世界大戦が終結し、勝利に酔うアメリカ合衆国。

しかし戦いには終わりがない。

ソビエト連邦ならびに東欧諸国と争う、東西冷戦である。

西側の超大国となったアメリカでは、自然、共産主義者への弾圧が強まった。

ハリウッドでもそれは例外ではなく、アメリカ共産党員のダルトン・トランボも目をつけられてしまう。

才能あふれるトランボは、仕事を干され、ついには収監されることに。

ハリウッドから弾き出された彼は、B級映画の脚本を量産して糊口を凌ぐことになるのだが……。

 


ハムサンド弁当を分けてあげよう

トランボは周囲からこのアカ、共産主義者と罵られています。

「この国を破滅させる気だな?」

「ソ連のスパイよ!」

「ボリショイバレエでも見ていろよ」

しかし、彼本人の共産主義思想というのは、シンプルでやさしいものであることが、幼い娘との会話からわかります。

娘に私も共産主義者かと聞かれたトランボは、こう答えるのです。

「もしお前の友達がハムサンド弁当を持っていなかったらどうする?」

「分けてあげる!」

「そうなの? お弁当のために働け、金を稼げとは言わないのかい?」

「言わない。分けてあげるもん」

「じゃあお前はおちびさんの共産主義者だ」

困った人がいたら助けたい
極端な資本主義に陥りたくない

彼は、そんなシンプルな思想を持っているだけの人物とわかります。

ソ連の世界支配を手伝うという気など、さらさらないわけです。

それでも世間は騒ぎ出します。

「奴は脚本家だ。ハリウッド映画を通して共産主義を広めたいに違いない!」

彼のキャリアをみていくと、そんなわけがないとわかりそうなものです。

しかし、当時彼を叩く人は、そんなことは関係ないのです。

アカがいたら、叩け。それだけの理屈です。20世紀の魔女狩りでした。

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