三条実美

三条実美/wikipediaより引用

幕末・維新

岩倉とならぶ幕末維新の代表的公家・三条実美“七卿落ち”からの鮮やかな復活劇

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三条実美と七卿落ち
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捲土重来を目指す

都落ちの憂き目にあった七卿は官位を褫奪されてしいました。

そのため、例えば三条実美は実(まこと)、または梨木誠斎(ナシキ セイサイ)の変名を用いることとなります。変名まで難解な読み方ですね。

そして彼らは「君側の奸(くんそくのかん、主君をたぶらかす奸臣の意味)」らを一掃し、政務へ復帰してやる!とばかりに虎視眈々と再上洛のチャンスを狙います。

平野国臣が但馬・生野で挙兵することが伝わると、沢宣嘉が脱走して単身挙兵に参加しました。

平野国臣/wikipediaより引用

が、この挙兵は失敗、沢宣嘉は逃亡します。

さらには錦小路頼徳が潜伏中に病死し、七卿は五卿に。

こののち、第一次長州征討では五卿の引き渡しが問題となります。

彼らを擁立されると困ると考えた長州藩は、筑前藩へ送り、後に太宰府に移されます。

そして五年にわたる苦難を乗り越え、慶応3年(1867年)、実美らは京都政界に議定として復帰を果たしたのでした。

議定とは、明治政府に設置された官職の一つ(1869年太政官制の導入によって廃止)で、「法律の制定」や「条約の締結」、「三等官以上の人事」などを司ります。

「総裁・議定・参与」からなる「三職」の一つで、かなり重要なポジションでした。

 


華麗なる明治以降の経歴

翌明治元年(1868年)は、三条実美にとって輝かしい年の始まりでした。

正月9日、岩倉具視と並んで、

岩倉具視/wikipediaより引用

新政府副総裁に任じられたのです。

幕末の動乱最初期から、尊王攘夷派公家として活動していた「お疲れ様でした」という人事ですね。この功績により、5千石も得ています。

実美の出世ルートは華やかです。

明治2年(1869年)には右大臣、明治4年(1871年)には太政大臣となります。

ただし実美は、岩倉具視と比較すると、政治力が不足していた感は否めません。

高い地位に就いていたものの、あまり活躍したようには思えないのです。

 


征韓論で錯乱

そんな三条実美は、意外な形で政局に影響を与えます。

明治6年(1873年)、征韓論の政治闘争において両派に挟まれ、極度のストレスのためか、倒れてしまうのです。

アルコール中毒だったという話まであります。

ただ、普通に倒れたというよりも、大久保利通によれば「精神が錯乱した」とまで述べており、

大久保利通/wikipediaより引用

政務も行うことができず、実美は辞表を提出。岩倉具視が後任となりました。

この岩倉が、西郷隆盛の朝鮮派遣案を一掃するのです。

結果、西郷一派は下野し、後の西南戦争へと繋がるのですから、歴史的意義は大きいものでした。

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しかし実美はその後も明治政府に残ります。

明治18年(1885年)の太政官制廃止まで、政府最高の地位におりました。

のみならず、太政官廃止で内大臣となり、明治22年(1889年)、黒田内閣のあとに2ヶ月間だけ首相、つまり総理大臣まで兼任しています。

ただし、このときの内閣は、あくまで黒田内閣の延長であり、歴代の総理大臣には含められておりません。暫定扱いなのです。

そして明治24年(1891年)2月18日に病死。

享年55。

公家出身者の大半が名誉職に就きましたが、彼と岩倉具視は高い地位を保ちました。

ただし、温和な性格であるためかストレスが溜まりやすく、それが征韓論の際にも出てしまったようです。

岩倉と比較するとちょっと目立たないのですが、それでも公家出身者の政治家としては屈指の人物と言えましょう。


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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
『国史大辞典』
泉秀樹『幕末維新人物事典』(→amazon
『別冊歴史読本天璋院篤姫の生涯』(→amazon
ほか

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