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【『べらぼう』感想あらすじレビュー第15回死を呼ぶ手袋】
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毒を盛る手段を探して
源内が、東作と事件現場を歩いています。
探しているのは、毒のある生き物。マムシか?と東作が問うと、人が気づかないほど小さな虫ではどうかと源内が答えます。
ツツガムシも恐ろしいですが、あれは潜伏期間がありますね。
即死させるほどの虫などいるのか?と東作は疑念を抱きますが、源内は「いるかもしれねえだろ!」と強気です。元気を取り戻してきましたね。
「俺たちなんて天地から見りゃ目クソみてえなもんよ」と続くぼやきには、どこか憂いがありますが……。
松平武元も調べています。
なんでも勢子の吾作が言うには、獲物を取り逃した後悔しがり、そのあと苦しんだのだとか。
武元は悔しがると爪を噛む家基の癖を思い出しています。
休んでいる農民に毒虫について尋ねると、まだお世継様が亡くなった話を調べているのかと帰ってきます。
するとそこへ、目撃者である勢子の吾作がやってきます。
鷹が獲物を逃して悔しがり、親指を噛んでいたという証言が得られます。
これでピンとくる源内。
手袋に毒が仕込まれていた――。
源内は己の推理をと意次に語りました。
なるほど、ボルジア家のカンタレラのような毒の使い方ですね。経皮毒(皮膚や粘膜から吸収される毒)を口で噛んだら確かにそうなることもあるかもしれません。
意知と三浦庄司は手袋だと理解し、それを入手できるか?と言い出します。
しかし意次の顔色が悪い。愕然としながら源内を労い、帰らせるのでした。
自身が都合をつけた手袋だけに、冷や汗が止まらない意次は、三浦に命じて長谷川平蔵に手袋回収を命じます。
果たしてどうなるか……。
そのころ耕書堂には喜三二が来ていました。
店には新人作家がいて作業中。果たしてものになるかどうか。
蔦重は喜三二にプロットを渡し、確認をお願いしています。
「ある人が考えた話」と付け加える蔦重。彼は文才がないから書けないってよ。
もう少し粘ったらどうかと喜三二はいうものの、
「意地悪言わねえでくだせえよ。これはとびきりいいものに仕立てたいんすよ。一緒に考えてくれた人のためにも」
そう蔦重は返すのですが、だったらなおのこと頑張れと喜三二は返します。
お前さんが書いた方がその人も喜ぶとよ。どうにもならなきゃ仕立ててやると言いつつ、目を通す喜三二。
捜査の結果を告げに平蔵が意次のもとを訪れています。
手袋はもう手に入らない――。
捨てられたのではなく、家基が当日身につけていたものはお知保の方のもとにあり、さらに松平武元が引き取ったとか。
そのことを聞き、意次は絶望したのか、座り込んでしまいます。
「終わったか……あの手袋は俺が用意したものだ。高岳に頼まれてな」
それでは意次が毒を盛ったということかと平蔵が驚くと、
「そういうことになる。いや、されてしまうということじゃ!」
意次はそう言います。
三浦は献上される合間に人の手がある、作らせただけで下手人とはなるまいと励まします。
しかし、白眉毛はそう考えないと意次。意知はむしろ追い落とす手札とするのではないかと懸念します。
平蔵は、西の丸を調べ尽くし、毒を盛った真犯人を探し出すと断言します。
するとそこへ武元からの使者が到着したのでした。
白眉毛の下で慧眼は見抜いていた
意次は茶室に向かいます。
狭い茶室はヒソヒソ声の密談には適していますが、武元はたちの悪い夏風邪を引いているとのこと。
彼は無粋であると断りつつ、あの手袋を見せてきます。
「聞くところによれば、そなたもこれを捜しておったようであったな」
意次は認め、平賀源内が手袋に毒を仕込めたと推理したことを明かします。
武元は納得し、毒の有無を確かめるためかと言い出します。
「もう、お調べに?」
「調べるまでもない。この手袋は種姫様が西の丸様に贈ったものだ。種姫様が毒を仕込むなどできるわけがなく、する理由もない。つまるところ、この贈り物を渡りに船と考えた外道がおるということじゃ」
「その者とは……」
意次が武元を見つめ返します。
「そなた以外の誰かであろう」
懸念していたこととは全く逆の答えが来て、思わず驚く意次。
笑い飛ばし、咳き込む武元。
疑われると思っていただろう、高岳に仲立ちしたのはそなただと武元は言います。
それなのに何故私“以外”か?
そう問われると、意次が犯人なら早々に引き上げるだろうと見通しを語ります。
それなのにまんまと抑えられるとは無様だ。知らなかったという証だと告げます。
「みくびるな! わしはそなたを気に食わんとはいえ、これを機に使い、追い落としなどすれば、まことの外道を見逃すことになる。わしはそれほど愚かではない!」
「愚かなのは私でございました。どうか、お許しくださいませ!」
そう詫びる意次。疑ってもいなかったと武元は言います。
検校捕縛の際、家基に諫言したことで、武元は意次を見直していました。忠義がなければああはできぬと。
武元は意次の考えは好きではないと言います。
「世の大事はまずは金。それが当世であることはわしとてわかる。しかし金というものはいざという時に、米のように食えもせねば、刀のように身を守ってもくれぬ。人のように手を差し伸べてもくれぬ! 然様に頼りなきものであるにもかかわらず、そなたも、世の者も、金の力を信じすぎておるようにわしには思える」
資本主義や新自由主義への疑念のような訴えのあと、この一件の今後について話し合いにいくと告げます。
「長くなるやもしれませぬな」
「では一服とするか」
笑い合う二人。
意次は自邸に戻ると、次の西の丸(世継)を誰が狙うかで答えがわかると見通しを語ります。
意次と武元の二人は、いったん幕を引いて真犯人が尻尾を出すのを待つことにしました。
意知はそれがあきらかになっても、表立って出すことはできないと懸念します。
例の手袋については、意次が自分との関わりを家治に言う。お知保の方には武元が意次は潔白だと証明することになったようです。
げにありがたきは白眉毛――そう笑い合う田沼主従。ですが、意次は夏風邪がうつってしまったようです。
ここで傀儡師の姿がみえ、囃子が響いてきます。
その夜、武元は激しく咳き込み、糸が切れた傀儡のように目を見開いたまま息絶えてしまいます。
手袋は何者かが持ち去りました。
傀儡師の一橋治済は、ニッと笑みを見せています。

徳川治済(一橋治済)/wikipediaより引用
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