べらぼう感想あらすじレビュー

背景は葛飾応為『吉原格子先之図』/wikipediaより引用

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第15回死を呼ぶ手袋~蝦夷地とロシアの重要性

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第15回死を呼ぶ手袋
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蝦夷地という可能性

平賀源内が暗い室内で呆然と歩き回っています。

かつて源内は、万歩計にあたる「量程器」を意次に紹介したものでした。歩数というよりは歩行距離を測るものですね。

意次が興味を持ち、源内の発明か?と確認すると、オランダのものを真似て作ったと返答。その上で、裏を返せば国の力で作れるものをべらぼうな高値で売りつけられていることだと続けます。

幕府は異国に金銀を吸い上げられているという提言ですね。

そればかりではなく、長崎では国にある薬草や替えが利きそうな薬まで買い入れていると源内は指摘。

日本の津々浦々から値打ちのある品を掘り起こし、売り出せるよう工夫することだと断言します。

国を富ませる道だと説き、そして『物類品隲』という本を渡したのでした。

意次は、平賀の名を聞いてくると、本草学者だと平賀源内が答える。

平賀源内/wikipediaより引用

ここはなかなか重要な場面でしょう。

2023年に朝ドラ『らんまん』がありました。あの主役モデルとなった牧野富太郎は、本草学から植物学へと切り替える過程を生き抜いた植物学者です。

彼と比較すると、平賀源内の学んだ本草学の特質が見えてきます。

本草学は東洋医学の延長上にあります。

東洋医学の神である「神農」は、ありとあらゆる草を食べ、効能を分類。

植物を調べるうえであくまで薬効を重視していたということです。

明代の本草学者・李時珍『本草綱目』を取り入れ、そこに日本の植生を反映させることが、本草学の重要な過程となりました。

平賀源内は、医学だけでなく交易と本草学を接続させ、先に進めようとしていたことがわかります。

当時ヨーロッパでは「プラントハンター」と称される職業がありました。

異国へ向かい、役立つ植物がないか調べ、収集するのです。

美しい花。食べ物。当たれば一攫千金で、日本にもやがてこの目は向けられてくるわけです。

中でも茶葉は、大きく歴史の変動に関わることになります。

そんな源内のもとへ、平秩東作がフラッとやってきます。エレキテルで大変なことになったと聞きつけているようです。

東作も借金取りから逃げていて大変だとか。

そのうえで面白い話に当たったと言います。彼が差し出した袋には、何か驚くべきものが入っているようです。

熊狩りの様子が描かれたアイヌ絵/wikipediaより引用

 


迫る「お魯西亜」、交易の可能性

徳川家治は、武元と意次に家基が亡くなった理由の再調査を命じました。

壮健であった息子が、心臓病で急死することに納得できていない。武元は、毒を盛られる不覚を将軍家が許したとされてはいかがなものかと反論します。

威信を気にかける武元。

真相を知りたい家治。

さらに武元は、同席していた意次が毒殺犯と噂されていることに懸念を示します。

そこで家治が、意次は疑うまでもないと返すと、知保の方も同じように考えるかと武元は反論。

「疑いを晴らしたい」

田沼意次が声を強め、かくして家基急死事件の捜査が始まります。

しかし、毒を盛る隙が全く見つからないという結果となり、意次は自邸で意知と三浦庄司に説明しています。

ありとあらゆる場で毒味は行われていた。狩りの場での茶も調べられていた。一体どこで毒を盛るのか。

と、そこへ平賀源内が来ました。

エレキテルで散々な目にあったことを気遣われると、過ぎたことに囚われてもいられないと笑って誤魔化します。

そして本題を切り出しました。

「田沼様、蝦夷にご興味はございませんかね?」

そして東作が渡してきた小さな巾着を差し出します。

中には砂金が入っておりました。

「蝦夷ではまだ、金が採れるのか?」

どこの山から採れるのか現時点では定かでないけれど、まだ採れるのは間違いない。さらに昨年あたりから「お魯西亜」の船が交易を求めてあちこちにきているとも付け加えます。

蝦夷地を公儀直轄とし、鉱山を開き、交易を一手に握る――そうすれば幕府財政は再建できると言い切るのです。

意次は乗り気になるものの、少々面倒な局面だと渋り、家基急死事件の捜査について語ります。

「そうじゃ、その非凡な頭でひとつ、考えてみてはくれぬか? このようにしたら毒が盛れるという手を」

意次の依頼に対して、源内はそれを解決すれば蝦夷に手出しできるのか?と確認し、「お任せください」と快諾するのでした。

ここで補足をしておきましょう。

ロシアとの交易には、何を交易品とすればよいか?

蝦夷地には、清が欲しがる交易品があります。海鼠、昆布といった海産物です。

海鼠は珍味ですが、日本人はそれほど頻繁には食べないでしょう。この海鼠を乾燥させた「海参」が中国料理では最高級食材です。

蝦夷地はすでに清との交易もしていて、ハードルが低いといえばそうです。

さらに蝦夷地は毛皮交易も可能です。

源氏物語』で末摘花が好む黒貂の毛皮は、作中では時代遅れのどうしようもない品として扱われております。

しかし、ヨーロッパに持ちだせば「セーブル」として垂涎の的になる。この毛皮もとれます。

ラッコの皮も同じく最高級品です。

蝦夷地開発は、実に魅力的なのです。

と、大変素晴らしい問題提起ではあるのですが、田沼意次に蝦夷地について提言した工藤平助をどう扱うのか。そこは気になるところです。

蝦夷地は源内。

そこにくるロシア人の詳細は平助にするのですかね。

アダム・ラクスマン/wikipediaより引用

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