べらぼう感想あらすじレビュー

背景は喜多川歌麿『ポッピンを吹く娘』/wikipediaより引用

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第32回新之助の義~煽動とはそうと気づかず操られ

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第32回新之助の義
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大江戸プロパガンダ作戦

打ちこわしは全国へと急速に広がり、東海道を下ってきています。

耕書堂でも話題はそのことに。

つよが言うには、江戸の街でも飢えのせいで身投げする者が出てくる。米は百文三合と高いままだそうで。

「飢えたる犬は棒を恐れず。恐ろしきことにならねばよいのですが」

ていもそう懸念していると、笠を被った三浦がやってきて、何かを取り出します。

「読売」の依頼でした。

お上の政策を読売にしてばら撒くというのです。

瓦版を売る読売の姿/wikipediaより引用

現状、読売は打ちこわしを煽るものばかり。そこで、逆に打ちこわしを抑制するためのものを配るのだとか。

そんなことをしたら読売から文句が出ないか?と小泉忠五郎が気にしています。岩戸屋源八も、田沼様の依頼とはいえしょっぴかれかねないと渋る。

蔦重は「そこは必ず守る」と誓い、お救い米にあてる米が届く前に打ちこわしにならないようにしたいと言います。

それでも渋る相手に、打ちこわしになんかなんねえ方がいい!と念押しすると……。

打ちこわしが発生して、かつ田沼のために動いたとバレちまったらあぶねえと地本問屋は恐れるばかり。

だから打ちこわしを止めるのだ!と蔦重が主張しても、「なったらどうするのか?」と堂々巡りです。

するとそこで鶴屋喜右衛門が重々しく入ってきます。

「田沼様からの依頼ということは、相当の礼が出るということですよね?」

「そりゃ、ま」

これで皆「おお〜」と納得。

鶴喜は摺物まではこっそり手伝い、その後で市中にばら撒くのは蔦重が取り仕切るということでまとめてます。

次郎兵衛と忠五郎に目をやる蔦重。

いいんですかい?

いざとなったら吉原に逃げ込めってことかい?

 

 


米がなければ犬を食えばいいじゃない?

かくして始まった読売ばら撒き作戦。

二十日に米が出る。それまでは大豆で食いつなげ。

そういう内容ですが、現実問題、米の手配が遅れているようでして。

松平定信が意図的に遅らせたのか。結果的に「田沼の米出す出す詐欺」になっちまってます。

予定が遅れ、江戸っ子はますます怒り、米屋に押しかけるという逆効果になってしまいました。

「米がなければ、犬を食え!」

「犬を食えとは、まことか〜!」

そんな叫びまで聞こえてきます。

「まことにそんなことを言われたのか?」

「そこのお侍様が」

ちなみに「米がないなら犬を食え」発言は、江戸北町奉行・曲淵景漸(まがりぶち かげつぐ)のものとして記録に残されています。この役には平田広明さんが配役されています。

過激化していく江戸っ子たちを見ながら、蔦重が何かおかしいと違和感を抱いたのか。目を凝らしてみれば、騒動を煽っているのが、あの“丈右衛門”だと気付きます。

「随分と色艶もおよろしく、さぞ腹一杯飯を食われておるのでございましょう! けど、俺たちには犬を捕まえて食えと? 食えと!」

丈右衛門はますます煽る。

新之助の胸に、ふくの言葉が蘇ります。

お上ってのは私たちも生きてるとは考えないのかね――。

新之助はこのやりとりを見て、何かを悟った顔になり、騒ぎを止めます。

「やめい、やめい! お上のお考え、しかと受け取った!」

蔦重はその新之助の背を見送り、「鶴喜さんに十中八九打ちこわしになる」と伝えるように言いつけます。ついでに、店もしっかり閉め切れと。

その蔦重の背を見送るのは、物乞いに化けた一橋治済でした。

治済にここまでやらせるのは流石にやりすぎかもしれませんが、それ以上にこの怒号を聞いても、自己保身しか考えていない身勝手さの恐ろしさを痛感させられます。

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編集管理人・五十嵐利休。 1998年に大学卒業後、都内の出版社に勤務。 書籍や雑誌の編集者を務め、2013年に記者の友人と武将ジャパンを立ち上げた。 月間の最高アクセス数は960万PV超。 現在は企業のオウンドメディア運用やコンサルティング業務もこなしている。

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