べらぼう感想あらすじレビュー

背景は喜多川歌麿『ポッピンを吹く娘』/wikipediaより引用

べらぼう感想あらすじ

『べらぼう』感想あらすじレビュー第44回空飛ぶ源内

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第44回空飛ぶ源内
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こんなものは紙クズですよ

吉原では歌麿が宴席にいました。

鶴喜がやってきて、次郎兵衛になりゆきを聞く。と、歌麿は派手にもてなされ、仕事を引き受けることにしたのだとか。

キセルを叩きつけ、紙花を撒くように促す歌麿。売れっ子の機嫌を損ねたくないのか、おずおずと撒き出す本屋たち。

女郎たちも賑わいに上機嫌で、ぜひ次は自分を描いて欲しいと言い出しています。

そんな歌麿争奪戦に鶴喜は声を掛け、紙花を渡します。さらにあの恋心を描いたという絵を渡しました。

『歌撰恋之部』として蔦屋さんが出すと伝える鶴喜。一足先に入手したと告げ、その出来を褒め称えます。

喜多川歌麿『歌撰恋之部 物思恋』

喜多川歌麿『歌撰恋之部 物思恋(かせんこいのぶ ものおもいこい)』/wikipediaより引用

鶴屋から絵を受け取った歌麿は暗い目を落とし、破り捨てます。

「こんなものは紙クズですよ」

ていの狙いはものの見事に逆効果となってしまいました。

耕書堂へ戻った鶴喜は、破かれた絵を蔦重に渡します。

仲をとり持つつもりが逆効果になったと詫びる鶴喜に対し、持っていってくれただけでもありがた山だと蔦重が返します。

蔦重は鈍感なのか。歌麿が紙花を撒いて吉原のためになったことを喜んでいます。鶴喜が「こっちは大変ですが」とこぼすと、そこは謝っています。

そこへ滝沢がやってきて、相田という町人に婿入りすることが決まったと言いました。

侍髷では相手に悪いと町人髷に変えたようです。

これからは世継稲荷側の伊勢屋という履物屋にいると告げる滝沢。この履物屋を「人に踏まれるものを売りたくねえ」と潰しちまうんですがね。

さらには武家としての滝沢家を継ぐ兄と甥がいなくなり、家を継ぐことに執着するようになるのですが、それはまた先の話。

よろしければ映画『八犬伝』でご覧になって、お確かめくださえ。

映画『八犬伝』のレビュー/役所広司さん演じる曲亭馬琴と、内野聖陽さん演じる葛飾北斎。二人の偉大な戯作者と絵師、そのやりとりから目が離せない。大河ドラマ『べらぼう』と合わせて見るとより楽しくなれる作品。
『べらぼう』馬琴と北斎の続きを楽しみてぇなら映画『八犬伝』を見るしかねぇな

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揃っていたのは復讐を望む者たち

夜、ていが戸口に置かれていた書状を蔦重に渡します。

『一人遣傀儡石橋』と書かれた巻物――あの源内が書いていた七ツ星の龍と源内軒の続編でした。

死を呼ぶ手袋のからくりに気づいたこのコンビが、巨悪の正体に気づいた。それは傀儡好きのさる大名。しかし源内軒は返り討ちにされてしまう。

この続きを書けるのは源内先生しかいない。蔦重はそう興奮します。

さらには安徳寺への呼び出しも付いていました。

蔦重が寺へ向かうと、そこにいたのは松平定信です。さらには高岳と三浦、長谷川平蔵、柴野栗山もいます。

そしてあの手袋を出し、蔦重に渡してきました。

手袋が定信に届き、何かが始まったのだとか。

高岳が言うには、田沼意次から種姫に渡され、毒の塗られた親指部分を家基が噛んでしまった。

しかし、高岳が入手した時点で異変はない。徳川家斉の乳母で、西の丸にいた大崎が毒を仕込んだのではないか?と推理しています。

当時は、そのことを明かそうにも、田沼意次と自分が疑われかねないので黙っていました。田沼意次もそうだったと推察しています。

ただし、定信は慎重なので大崎が確たる犯人だという証拠が欲しい。そこで長谷川平蔵が動いているとか。

実は平蔵も手袋を探していたことがあった。当時は松平武元の手元にあり、いざという段階で急死してしまっていますね。

平蔵も、今こそ田沼様の仇討ちをしてくれと頼まれているようだと語ります。

三浦も「死を呼ぶ手袋!」と続けます。かつて平賀源内が、そんな戯作を書いていたと思い出している。

そのせいで源内が逮捕されたのではないかと推察する定信。

徳川家基。平賀源内。田沼意知。全ては傀儡師に操られていたのではないか。そう考えて仇討ちに乗り出すことにしたというのです。

定信に誘われる蔦重でした。

 


MVP:みの吉

今週は見ていて本当に辛かったでやんす。

自分の身近にもいた陰謀論者そっくりな言動で、見ていて気分が悪くなりやしたぜ。あまりに精緻で、陰謀論者対策にも使えそうに思えてきました。

なぜこの夫婦がおかしくなったのか?

それは最初で最後の一子を失ったからでしょう。

もしも無事に生まれていたら、世話をすることに夢中になり、子供のことでアタマが一杯になり、源内生存説なんて入り込む隙はなかった気がするのです。

蔦重も、最初はあくまで妻を励ますために取り組んでいた気がする。それがどんどん深みにはまってきます。

夫婦揃っておかしな言動をしているのに、周りが引き戻せないのは心理的打撃があるとわかっているからでしょう。可哀想だから、と気を緩めてしまう。

蔦重に、なまじ地位があるもんだから、強く諫言できないということもありまさぁ。

本来、勢いで突っ走る蔦重を、おていさんがブレーキ役となって止めるはずでした。

それがどうにもおかしくなっている。おていさんは漢籍教養豊富なぶん、自らに「ハロー効果」を掛けてしまっていて自信満々。蔦重は元からおていさんに知性で勝てませんから、押し切られてしまう。

東洲斎写楽は、蔦重が暴走して、おていさんが止める側かと思っておりやした。

それが、店が傾いているというのに、夫婦揃って暴走していく展開になるというのは、なんと恐ろしいものか……。

二人とも明るく楽しそうよい?

いえ、これも陰謀論者あるあるでしょう。精神は充足しちまってんだ。

本当にどうしようもねえ。

蔦重の妻への愛や源内への憧れやら、仇討ちへの想いやら、わかるっちゃわかる。でもな、大店の主なら、まずそのことをいの一番で考えろよ。どこまで無責任なんでえ。

所詮、貸本屋やってるのがお似合い程度の器ってことかい?

こんな制御系統がぶち壊れた耕書堂において、唯一まっとうに動いているように見えるのが、みの吉でやんす。

みの吉を誰もが欲しがる気持ちはわかります。おめえだけが頼りだぜ!

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武者震之助

大河ドラマレビュー担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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