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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第11回「許されざる嘘」】
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景時が義盛の下で大丈夫?
同じ日、西では――。
以仁王を匿った園城寺はじめ、南都が平重衡ら平氏によって焼かれました。
東大寺大仏殿が焼け落ちる様は見ていられなかったと、三善康信が頼朝宛の文に書いています。
今年の大河は、実に意義があることを描いてきました。
文化遺産や宗教施設の破壊は、戦争や政治闘争につきもの。心理的に打撃を与え、逆らうものには容赦しないと示すには有用とされます。
ここ数年でも、こんな事例はあります。
『麒麟がくる』では印象的に描かれておりましたが、残念ながら昨年はまるでありませんでした。
人類の普遍的な悪事ですので、ぜひともよく見ていただきたい。
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史実では、東大寺が焼け落ちると、その復興のために南宋から陳和卿(ちんなけい)という大工が呼び寄せられます。
彼の出番があるのかどうか、楽しみにしています。
そして梶原景時が頼朝の前に現れます。
「石橋山で見逃してくれたからこそ、今のわしがおる」
頼朝がその恩に報いたいと言い出します。
まだ幕府ができて間もなく、頼朝の個性とは思いつつ、どうにも甘いところがあるとも感じます。景時が、義盛が別当となる侍所の所司とされました。
この人事はどうなのか。景時のような切れ物を、大雑把な義盛の下につけるのはよろしくないのでは?
景時タイプは軍師役といいますか、盛長の代わりに頼朝側近あたりにするのがよさそうです。
りくの野望
時政が、赤ん坊をあやしております。
子の母であるりくは不満そう。頼朝が、しい様を軽んじていると不満なのです。
思惑が外れたんでしょうね。
舅として頼朝に睨みをきかせ、あわよくば幕府を仕切るくらいはして欲しかったのに全然そうなっていない……。上総広常や梶原景時に警戒心を募らせています。
それでも夫の時政は能天気に姫(娘のこと)を抱っこして喜んでいる。
そう、この赤ん坊は女の子です。りくからすれば、これも気に入らない。
なぜ妻が不機嫌なのか。真意を全くつかめない時政は、自分の代わりに小四郎(義時)が頑張っていると返します。
「あなたが頑張らないといけないのです!」
だんだんと“りくの野望”が見えてきましたね。
時政が幕府を仕切る
↓
りくが男児を産む!
↓
その男児が義時ら異母兄をさしおいて、北条家当主となり、幕府の頂点に立つ
時政と義時・政子の間で大事件となる……野望の行く末を見守りましょう。
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そんな、りくをよそに、時政は何かのにおいを察知します。
定番である赤ん坊のおむつ替えサインかと思ったら、そうではないらしい。実衣のもとに“あの男”が来ているとか。
別室で阿野全成と実衣が話していました。
彼は香を焚くので、時政はそれを嗅ぎ取ったのでしょうね。
占い好きな実衣は、全成に心を掴まれています。
彼女の幸運の門はすぐ目の前にあるとのこと。その扉を開ける人物は、癸酉の歳、卯月生まれの男だってよ。
細かい占い結果に驚いていると、こう来ました。
「ちなみに私は癸酉の歳、卯月生まれ……」
「えっ!」
仕込みじゃないか。そう突っ込みたいけれども、占いで実衣を釣る気満々の全成です。
弓の腕前があり孫子も引ける義円
なんだかしょうもない全成に対し、頼朝には優秀な弟もいました。
「お見事!」
と、言葉を発する源範頼ではなく、弓の腕前を誉められている義円です。
これには頼朝も満足気。続けて九郎の腕も相当だとフォローするかのように頼朝が言いますが、仏頂面の義経は、自分はたいしたことないと拗ねています。
平家を倒すためには何をすべきか。
そんな頼朝の問に対し、義経はぶっきらぼうに答えます。
「……武具を磨く」
次に義円が促されると『孫子』計篇第一を引きます。
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道・天・地・将・法が必要である。
と、義経が苛立ち、立ち上がります。
「もういい! なぜ平家討伐にでないのですか! 兄上は清盛に侮られてもよいのですか!」
義時が困り顔で、御家人たちが坂東から離れたがらないと言うと、今度は「お前がなんとかしろ!」と義時に凄む。
そんな義経を頼朝が嗜めると、義円はこう言います。
「九郎の兄上を思う気持ち、どうかわかってあげてください」
庇われた義経は、かえって燃えるような目で義円を見ています。
場面が変わり、義円が政子たちの前にいます。
そして紀貫之の和歌を詠んでいる。
春日野の若菜摘みにや白妙(しろたえ)の袖ふりはへて人の行くらむ
これには政子も、読まねばならぬ書物がたくさんあるから指南して欲しいと笑顔を浮かべます。
「小四郎、義円は頼りになるな」
「まことに」
頼朝と義時もそう頷いている。ますます憎悪をたぎらせる義経。
面白いことになってきました。
義経が不気味ですが、あえてその心を考えてみましょう。
史実の義円は、鎌倉ではなく西から【墨俣川の戦い】に向かったともされていて、坂東には顔を出していなくてもおかしくない。
本作では、そんな義円を敢えて登場させ、かつ『孫子』を読ませている。
そこに大きな意味があるのではないでしょうか。
義経は、鬼一法眼から兵法書『六韜』(りくとう)を習っていたとする伝説があります。
なんだか妖術のようですが、人間とは理解できぬものをしばしばそういう扱いをする。『六韜』は現物もあり、現代でも読むことができます。
そんな義経伝説を、ドラマでは義円がより現実的に上書きしている。
この義経が『六韜』を学んでいるかどうかはまだ判明しませんが、後天的な知識よりも先天的な何かを持っているようには思えます。
義円は、義経にはないほどの弓の腕前も持っている。
『孫子』や和歌の知識もある。
そして義円は優しい。義経を思いやることができる。
義経にはないものを持っているんですね。
同母兄の阿野全成は占いぐらいしかできず、軍事的にも政治的にもライバルにはなりません。
半兄の源範頼も、義経からみれば「無能」。佐竹攻めでは、兵糧攻めという全く役に立たない策を出してきた。
つまり、この二人の兄はどうでもいい。
しかし、義円は潜在的な敵となった。
この“敵”を義経はどうするのか?
清盛の死
治承5年閏2月4日――歴史が動きます。
平清盛が世を去ったのです。
「頼朝を殺せ……わしの墓前にあやつの首を供えるのだ」
享年64で死亡。
なぜ平清盛は平家の栄華を極めながらすぐに衰退させてしまったのか
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頼朝は合掌し読経しているものの、大笑いをしてしまいます。
清盛の首をこの手でとることはできなかったが、平家のとどめはわしが刺す!
そう言い切り、我らの力で平家を滅ぼして見せると宣言します。
「兄上!」
「鎌倉殿!」
そう言いあう頼朝と御家人たち。なんともおそろしいことだと思います。
一見すると共通の怨敵である平清盛が死んだ。
そこから残党狩りが始まるわけですが、父の仇討ちという名目がある兄弟たちと、それがない御家人たちでは、何かが違うのでは?
一枚岩ではなく、亀裂が入ったままのように見えてしまいます。
後白河法皇は上機嫌です。
白拍子が今様に合わせて踊っていますが、今年はこの舞姿にも注目でしょう。
伝説の美しき白拍子・静御前を石橋静河さんが演じます。白拍子としての舞姿が一番美しくなると見込んでの抜擢でしょうから、どうしたって期待が高まります。
後白河法皇はこうきました。
「天罰じゃ! 天罰がくだったわ!」
隣で丹後局もニッコリ。彼女は口紅が誰よりも鮮やかな紅色をしていて、これが実によくお似合いです。
あとで文覚が呪詛が効いたとヌメヌメしながらやって来そうではありますが。
「まあ!」
そう驚く丹後局。
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彼らの前に現れたのは、文覚ではなく、平宗盛でした。
後白河法皇に政権を返上すると言いに来たのです。そして、戦を止めるつもりがないとも言い切る。
「あらためて頼朝追討の院宣を賜りたく存じます」
頼朝を殺せ――。
そんな清盛の死に際の一言が、平家の運命を狂わせてゆきます。
安徳天皇を出家させてしまえばいいし、権力を手放せばなんとかなったかもしれない。このドラマでは、平家を滅ぼした最大の責任者は、平清盛その人であると描いています。
そしてこのことは何も清盛一人ではないと思わせる伏線がいくつも出てきています。
義経が跡取り候補だとぉ
頼朝が政子のもとへ向かい、これで亡き父上によい知らせができると告げています。
政子が祝うと、頼朝は苦労をかけたと労わる。
いい夫だなぁ。亀とのことがなければ100パーセントそう言いきれそうだ。
政子は、世継ぎの男児ができないことを謝ります。
亀との間で無駄にエネルギーを使う頼朝が悪いのではないか?と突っ込みたくなりますが、話を先へ進めましょう。
頼朝はさらにゾッとすることを言います。
もしも男児が生まれなければ、義経に跡を継がせるつもりである。あれには自分にはない軍を操る才能がある。
こういうセリフのためにも、前回の佐竹攻めがあったのでしょう。
武人としての才能は源氏の棟梁には欠かせぬものだと頼朝が言います。
頼朝も、人の上に立つ頭領としてはまずいのかもしれない。
ざっと挙げてみますと……。
・まだ自分自身も政子も若いのに、男児を諦めるようなことをいうのは不用意。北条の力を頼りにしているのに、これではあまりに無神経だ
・しかも後継者が義経、一番下だ。兄との間に不和が生じることをしている。義経の性格はこの際問題ではない
・武勇の才能が問われるとするのは、乱世が続くという認識があること。そうではなく、政治の才能がある人間のことを考えていかねばならない。義経の人望があると思っているのかどうか?
頼朝は危うい考え方をしています。清盛が平家を滅ぼしたように、頼朝も源氏を滅ぼすように思えてなりません。
そんな夫婦のやりとりを破るように、安達盛長がやってきて、叔父である源行家の来訪を告げます。
頼朝はうんざり。
行家と関わるとろくなことがない。今度は何か?と盛長に聞き返すと、清盛の死を受け、京都に攻め上れと言ってきました。
言われなくてもわかっておると不機嫌になる頼朝。
お会いにならなくてもよいのか?と政子に念押しされると、頼朝はこう来ました。
「鎌倉殿は多忙である!」
政子は安心して頼朝にしなだれかかっています。
衣装もすっかり洗練されて豪華で、ますます美しくなりました。
どうしてこんな政子がいるのに、頼朝は浮気をするんでしょうね。けしからん男だ! まあ、それもそろそろ天罰がくだりそうですが。
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