鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第46回「将軍になった女」

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なんとかして政村に北条を継がせろ!

義時が食事をしています。

茶碗に大盛りのご飯をのせ、隣には妻ののえ。

彼女が眉をひそめながら「泰時のことを聞いた」と言ってきます。

また義時に刃向かったと責めつつ、そろそろ後継のことを考えるように促します。

しかし義時は、嫡男は太郎だとそっけない。

反抗的な態度がよろしくないと指摘されても、父に平気で楯突くのがよいと義時は相手にしていません。

ついにのえは、泰時は母親が訳ありだとして、世間に納得されないと非難。

ならば次郎だと苛立った義時は、もうこの話はしないようにと打ち切ろうとしますが、のえも簡単には引きません。

「八重も比奈も北条とは敵の血筋ではないですか」

耳の痛い話だったのか、義時が床に箸を投げつけます。

「何が言いたい!」

義時とのえの息子である北条政村も15歳になった。あなたと私の子が後を継ぐべきだと告げるのえ。

義時にしても、自分はまだ死なない、今する話ではないとそっけないのですが、こういうことは元気なうちにしておいた方がいいとまだまだ粘るのえ。

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彼女は完全に開き直りました。

前回の放送で、八重と比奈と自分を比べられたからなのか。仕返しをするように二人の血統を貶めるようなことを言い出し始めた。

義時にも迂闊なところがあり、北条政村は庶子を入れると実は五男なのに、時政と義時と通じる「四郎」と名乗らせ、しかも兄たちより元服がずっと早い。

一言で言えば優遇されているのです。

かといって、この義時はのえを寵愛しているわけでもない。面倒でのえの思うままにした結果と思えます。

どうにも足元が危うい。伏線ですかね。

二階堂行政は「ばかもん!」と孫娘であるのえを叱り飛ばしています。

行政の見立てだと、北条の天下は数百年続くってよ。

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だから何がなんでも政村に家督を継がせろ、泰時に持っていかれたらいかんと煽っています。

「あの親子は気持ち悪い、反発しているくせに認め合っている」

義時と泰時をそう評するのえ。

菊地凛子さんが本気で気持ち悪いと嫌悪感を抱いている顔を見せてくるものだから、こちらまで胸が痛くなるほど。寝室でゴキブリでも見てしまったかのような顔だ。

こうなれば、行政はあの方に相談しろと言い出します。

政村の「村」の字を与えた、烏帽子親の三浦義村――相談すると陰謀が失敗することで定評のあるあの男ですね。

それにしても、眼を見張るのが新原泰佑さん扮する北条政村です。

のえの脇で控えている姿が凛々しく雅。

京都の香りが血にこめられているようで、素朴な泰時や朝時とはまるで異なりますね。

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母ののえは、この見目麗しい我が子に全てを賭けています。

義時との愛は既に枯れ切った。こんな愛の消えた妻なのに、復讐に燃える様は美しい。

これは全面的に義時が悪いでしょう。

当初は腹黒くとも美しい生花だったのえを、こんな冷たい石の花に変えてしまった。

私の中で彼女は無罪です。名花に愛を与えず放置した義時が圧倒的に悪い。

 


「私の考えが、鎌倉の考えです」

京都から実朝弔問の使者が到着。そのついでに無礼な命令をしてきました。

荘園の地頭の任を解いて、上皇の寵姫である亀菊の荘園とするとのこと。

しかもその荘園の地頭は義時です。

嫌がらせだと怒る義時。広元にいかがなされるか?と問われ、断固突っぱねると返します。そうすれば朝廷は怒り、親王の下向もなくなり、願ったり叶ったりだと。

時房は、後鳥羽上皇の次の手を気にしています。

広元にしても、これ以上の鎌倉殿不在は御家人の信を失うと警戒。

さすがに意地の張り合いはそろそろ止めにすべきではないかと提案されても、義時は「それはならん!」と頑なになるばかりです。

上皇が実朝亡き後の鎌倉を試している。下手には出られない。そうしたらこの先西に頭があがらくなると義時は警戒しています。

ではどうするか?

そこで義時は、北条時房に1,000の軍勢を率いて京都へ行かせることにしました。

次の鎌倉殿には、皇族(親王)ではない摂関家の誰かにすれば、西の意のままにはならず済む。

政子が「他の宿老も同じ考えなのか?」と問うと、義時はしれっと言いのけます。

「私の考えが、鎌倉の考えです」

兄に忠実な時房ですら、顔にすっと嫌気がさしているのが見て取れます。こうなると義時の絶頂も長くはないのでは?

もしも本当に天命があるならば、義時に反発する者もそうそういないはず。

しかし実際は、泰時が思い切り反抗しているし、のえも敵意と嫌悪を剥き出しにし、義時の強い支持者であった時房ですら疲れてきている。

天命は義時に与える役目をあくまで短期間に留めるのではないか、と思えてなりません。

時房が、廊下で泰時を相手に本音をこぼします。

軍勢を率いていくのはどうにも気が重い。いっそ蹴鞠で決着をつけたい。

泰時も、親王を断るからには頭を下げるように時房に言います。兄上に逆らうのか?と一瞬ムッとする時房は、蹴鞠なら自信があると続けます。

蹴鞠のことはとりあえず無視して、泰時は真剣に「鎌倉の行末は叔父上にかかっている」と語りかけてきます。

 


蹴鞠勝負で決着だ

かくして3月15日――時房は京都院御所にいました。

後鳥羽院は実朝を悼みつつ、北条軍の兵数を確認。1,000だと確認すると、脅しか?と詰めてきます。

滅相もないと返す時房に、さらに言葉を続ける。

「トキューサ」

上皇は、考えは同じだとして、勝負で決めようと言い出しました。

「勝負?」

「勝負といえばあれ」

「望むところでございます!」

かくして蹴鞠で決まることに……それでいいんですか?

蹴鞠のラリーが続き、回数は実に920を超えています。両者フラフラになりながら、少しそれた鞠を兼子が勝手に奪い取り、引き分けということにしてしまいました。

まだやれると時房が抗議をするものの、兼子は、上皇様を負かしたら一生許されない、末代まで朝敵の汚名を着ると脅してきます。

「私の負けにございます」

そう屈するしかない時房。

後鳥羽院は私を負かすことなどできないが、そなたの力は認めると余裕を見せています。

「ありがとうございます!」

かしこまる時房に、本音を明かす後鳥羽院。

親王を鎌倉にやる気はない。代わりの者を出すからそれで手を打てとニヤリ。

時房も顔を伏せつつ、これにはニヤニヤが止まりません。泰時の言った通りになりました。

 

増長する慈円

慈円が鎌倉にやってきています。

なんでも九条一門に、寅の年、寅の月、寅の刻に生まれた「三寅」という男子がいるとか。

しかも源頼朝とも血縁関係があります。

源義朝は敗北後、その娘たちも落命しました。しかし坊門姫は生き残り、頼朝は彼女を大事にしていたのです。

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血統の繋がりを長々と繰り返し、慈円が美声でスラスラ説明しますが、要するに坊門姫が京都の公家に嫁いだ、その血を引いていると。

頼朝と遠縁で摂関家の血を引いているならよいというころで、話を聞いていた義時と政子も提案をあっさり受け入れます。

ちなみに三寅はまだ僅か二歳だとか。

一方、後鳥羽院は悔しそうに、慈円の得意げな顔が目に浮かぶと言います。

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兼子が不満か?と聞くと、結局は鎌倉の思うままになったと返し、手にした盃を投げつける。

ここで見るからに精悍な武士が弓を手にしています。

藤原秀康――彼は重々しく、慈円僧正が気になると言います。今回の件を単独で進め、いささか図に乗っているのではないか。

兼子もこれには同意。

確かに三寅は九条家、つまりは僧正の身内です。慈円は九条兼実の弟ですので、これ以上好きにさせてよいものかと気にしています。

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弓を構えた後鳥羽院が、見事に的へ矢を的中させる。

と、続いて秀康が射て、カッと砕け散ります。

「この藤原秀康にお任せいただければ、ひとつきで鎌倉を落としてご覧に入れます」

「頼もしいな、秀康」

微笑む後鳥羽院、跪く秀康。

なんでしょう、この失敗するしかない君臣は。

もう全てが駄目ですね。星智也さんの秀康が仕上がりすぎていて笑えるほど。

日焼けした肌、傷、的を射抜くと割れる派手さ。こんなに精悍なのに、張子の虎に思えて、ものすごく高度だ。

ビジネス書の帯にいる作者や、ラーメン屋店主の写真はなぜか腕組みをしていますね。

定番になってしまったせいか、かえって胡散臭い。そういう雰囲気が秀康にはあります。

時房と比べるとよくわかります。

時房はあんなにかわいいのに、戦うときはおそらく凶暴になる。実写版ピーターラビットのようなえげつなさを秘めている。

時房に瀬戸康史さんをキャスティングするなんて、なんて悪魔的な発想なのでしょう。毎回見るたびゾッとします。

一方で秀康、こやつは形だけ入った武士よな。いや、刀傷もあるし、実戦経験はあるのでしょう。

ただ弱い。こいつは無茶苦茶弱い。

だって兵法を真面目に計算すれば、あんなに自信満々に、無根拠で、ひとつきで鎌倉落とせるなんて言いませんてば。

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それに突っ込まないでニコニコする後鳥羽院も、もうだめだという雰囲気が見えてきました。

このタイミングなのでしょうね。

油断して弛緩し切った古い神である朝廷に、新しい神である鎌倉がぶつかる。だからこそ歴史が変わるのでしょう。

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