麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第44回(最終回)感想あらすじ視聴率「本能寺の変」

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麒麟がくる第44回感想あらすじ
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秀吉と官兵衛のもとへ藤孝からの一報

備中・羽柴秀吉の本陣には、細川藤孝からの伝言が届いていました。

明智光秀が信長に刃向かう恐れがある。

隣には、影のように黒田官兵衛が座っています。

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秀吉は目をらんらんとさせてこう言うのです。

「やればいいのじゃ! 明智様が上様をやれば面白い! 官兵衛、こりゃ毛利など相手にしとる場合じゃないぞ、高松城をさっさと片付けて帰り支度じゃ!」

「はっ」

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官兵衛は脚を引きずりつつ、この場を去って行きます。

「明智様が天下をぐるりと回してくれるわい」

そうほくそ笑む秀吉は、最後の最後まで邪悪でした。

軽い言い方が腹立つ! 信長と明智がそうなっても悲しいどころか浮かれている! 佐々木蔵之介さんが見事にやり切った。もうこの時点でのちにどういうことをするのか完成していて素晴らしい。

そして官兵衛の濱田岳さんです。

やられた! いろいろと背負ってきた暗さ、翳り、淡々と仕事をこなす態度。脚を引きずって歩く後ろ姿だけでもたまらないものがある。これはまさしく黒田官兵衛だ!

『麒麟がくる』は『軍師官兵衛』キャストの再利用がうまいと思います。

それに濱田さんはネタにされるほど火野正平さんを彷彿とさせるわけですし、大河に戻ってくるしかないと思えました。かっこいい。こんなにすごい役者だと思いもよらなかった。短い出番でぐっと掴まれました!

そして藤孝ですが、別にこの書状でもって密約とまではみなせないとも思うのです。

藤孝には藤孝なりの、平らかな世を作るセオリーがある。信長と光秀が争って京都が荒れたら困る。一番動きやすい有力家臣に連携のポーズをとる。

リスク管理として正しい。

そこは冷酷だとも狡猾だとも思いませんし、本作の藤孝は終始一貫してそういう人物像でした。兄・三淵藤英とはちがうのです。

 


「であれば、是非もなし」

信長は眠りにつきます。

人生最期の夜を迎えるとき、大抵の人はそうなるなどと予測だにせずに眠る。

そして天正10年6月2日、早朝――光秀の軍勢が本能寺を取り囲みました。

「かかれー!」

号令をかける光秀。

エエオウエエ!
エエオウエエ!

明智軍がそう叫びながら、本能寺に襲いかかります。

寝所にいた信長が起き上がり、ドカドカと歩いてゆくと、軍勢が取り囲んでいると蘭丸に告げられました。

「軍勢? いずこの軍勢じゃ?」

「水色桔梗の旗印が見えまする。明智殿の軍勢かと」

「十兵衛か!」

矢が飛んできて、信長に突き刺さる。小姓たちが必死に信長を庇い、矢の前に倒れてゆきます。

「上様、奥へ!」

強く促され、奥へ向かってゆく信長。信長はそしてこう言います。

「十兵衛、そなたが……そうか、ははっははっはは! 十兵衛か、はははっ、ははは!」

矢を抜き、血を舐める信長。そしてこう言うのです。

「であれば、是非もなし」

ありとあらゆる感情が重なって、入り混じって流れてゆく。ずっとずっと信じていた。一番近くにいるはずだった。いわば自分の分身が殺しに来る。

他の誰かであれば怒ったかもしれないけれど、十兵衛ならばもう仕方ない。そんな諦念がそこにはあります。

 


わしを焼き尽くせ

矢を抜き、槍を持ち、戦う信長。蘭丸たち小姓も大奮戦をしています。

殺陣に迫力がある。

かなり高いレベルで展開されていて、殺し合いは痛々しく重いものだとわかる動きです。

血が流れ、命が消えてゆきます。

燃え盛る家から幼い少女を助けていた。そんな優しい十兵衛が、こうして人を殺す側になった。そうだ、十兵衛、お前だって変わったんだ。

お互いが変わった。戦のせいじゃない。お互いが、お互いを、変えてしまったんだ!

そう思えてくる、圧巻の殺陣です。

光秀は達成感どころか、悲しい顔で本能寺を見つめています。もう一人の自分を殺さねばならない。

どこで間違ったのだろう?

一体、何が悪かったのだろう?

殺すことなんて思いもよらなかった自分自身を、どうしてこうしているのだろう?

信長は矢を放ち、槍が折れるまで戦い、刀まで抜きました。

血塗れになり、銃で撃たれ、血に染まってゆきます。

蘭丸と共に脚をひきずり、奥へ向かう信長。そしてこう宣言します。

「わしはここで死ぬ。蘭丸、ここに火をつけよ。わしの首は誰にも渡さぬ。火をつけよ。わしを焼き尽くせ」

自分自身が炎と化して消えるように、信長はそう言うのです。

 

長く安らかな眠りが訪れた

外では「火が上がった」と明智勢が言います。斎藤利三が奥書院あたりからだと推測している。

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光秀には、波の音が聞こえます。

朝焼けの中、信長は船に乗って来ました。光秀の澄んだ目に、彼は未知の生き物のように映っていた。

帰蝶に会いに行き、出会ったときのこと。

桶狭間のあとに声をかけたこと。

大きな国を作ると笑い合ったこと。

光秀はそんな相手が燃え尽きる様を遠巻きに見るしかない。明智左馬助と斎藤利三が背後で見守っています。

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信長は腹を切り、目を開けたまま、死を迎えていました。

凄絶な死というよりも、そっと眠る子どものようにも見える。

長く安らかな幼い頃のような眠りが、彼に訪れたようです。

在天願作比翼鳥
天に在りては願わくは比翼の鳥と作(な)り

天では翼を分けあい飛ぶ鳥になりたい

在地願爲連理枝
地に在りては願わくは連理(れんり)の枝為らんと

地では根が分かれていても、枝が連なるひとつの木になりたい

天長地久有時盡
天長く 地久しきも 時有りて尽く

天は長く、地は久しいけれど、いつか終わるときは訪れる

此恨綿綿無盡期
此(こ)恨みは綿綿として尽くる期(とき)無からん

けれども、この満たされぬ思いが尽きることはない

白居易『長恨歌』

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麒麟がくる世にしてみせよう

伊呂波太夫が東庵のもとへ。

本能寺で戦があり、明智様の軍勢が攻め込んだと伝えると、東庵が「本能寺には信長様がいた」と言い出します。

「明智様がご主君を!」

駒はそれを聞きながら、うつむいて手を握りしめています。

ここで光秀が、土を手にして落とすところが映し出されます。

駒はかつて、光秀にこう言いました。

「その人は、麒麟を連れて来るんだ。麒麟というのは、穏やかな国にやってくる不思議な生き物だよ、って。それを呼べる人が必ず現れる。麒麟がくる世の中を――」

左馬助が光秀に、この焼け方では髪の毛一本も見つからないと告げています。

坊主どもがここで間違いなく腹を召されたと言っているそうです。

斎藤利三が「二条御所の信忠様も火の中で最期のよし」と伝え、今少し掘り返し検分するかと問われた光秀はこう返します。

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「いや、もうよかろう。引き揚げよう」

本能寺から去ろうとする光秀の前に、伊呂波太夫が現れました。

「きっとこうなると思っていましたよ。帝もきっと喜ぶでしょう。明智様なら、美しい都を取り戻してくださると」

「美しい都……それは約束する。駒殿に伝えてもらえるか。必ず麒麟がくる世にしてみせようと」

「きりん?」

ここで光秀は急かされ、こう告げます。

「そう言っていただければわかる。麒麟はこの明智十兵衛が必ず呼んでみせると」

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天下を取った

明智光秀は天下を取った――ナレーションがそう告げます。

本能寺の変は人々を驚愕させ、事態を一転させた。

柴田勝家は、遠い戦地にいてなす術がない。

光秀の有力な味方と思われていた細川藤孝や筒井順慶は、一斉に沈黙。

伊賀山中の徳川家康は、次の事態に備え三河へ戻る。

光秀の天下はここまでであった――。

6月13日、西国から思わぬ速さで戻ってきた羽柴秀吉が立ち塞がり、光秀は敗れました。

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世の動きは一気に早まった。そう語られます。

光秀はまるで、信長という存在を追いかけ、風のように消えてしまったように思えるのです。

そして本能寺の変から3年後、天正13年(1585年)――。

京の内裏では、東庵が帝と双六をしております。

「世の中も双六と変わりませぬ、一歩先は見当がつきませぬ」

羽柴秀吉様が世を正しているのはわかる。まさか関白におなりになるとは。

東庵がそう言うと、帝は返します。

「これまでも力ある武家の棟梁が立ち上がっては世を動かし、そして去っていく。世が平らかになるのはいつのことであろう」

それはもう少し先の話になりますし、秀吉が関白になったと出てくることも重要です。公方様ではありません。

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武者震之助

大河ドラマレビュー担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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