『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ視聴率 第21回「別れの唄」

こんばんは。武者震之助です。
今週も厳しくなります。西郷どんファンの方、申し訳ございません。

【21話の視聴率は12.0%(前回から0.2%ダウン)でした】
※過去の西郷どん視聴率

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ドジな好青年、妻を愛し、子が生まれて喜ぶ

今回は美しいロケシーンからスタート。
楽しみといえば、奄美大島の美しい景色です。

西郷どんは、愛加那の出産に大騒ぎです。こういう路線がやりたいんでしょうね。
ちょっとドジな好青年、妻を愛し、子が生まれて喜ぶ。

そういうことをしたいのなら、ナゼ西郷隆盛なのか。

「桜田門外の変」を超高速で終わらせておいて、子供を抱く父親としての場面は臭いほどダラダラ流す。
このドラマには指摘するまでもない致命的な欠点があります。

もう一度言います。
こういうぬるいホームドラマをやりたいのならば、ナゼ西郷隆盛なのか。

とにかく、その点がわかりません。

主人公の選択と描きたい物語像が構築された大河ドラマを二年連続見たこちらとしては、首をひねるほかありません。
もう放映期間は折り返し地点だというのに。

オープニングの島唄は頑張っていると思います。

ただ、西郷隆盛という人物を奄美大島の歌が礼賛するという趣向は、正直、悪趣味としか思えないのです。
「大島商社」の人だというのに……。

※詳細は以下の記事をご参照ください。

奄美大島での西郷隆盛
奄美大島で「狂人」と呼ばれた西郷~現地でどんな生活が待っていた?

続きを見る

 


太郎ではなく次郎にして……の長いやり取り続く

赤ん坊を抱いて喜ぶ西郷。
島の人が大きくなあれと祈り、踊っています。

奄美大島に来てもう二年、つい父になったと言われても感慨はあまりありません。

子供には、菊太郎とつけようとする西郷どん。

しかし、龍佐民からは菊次郎にしなさいと言われます。

ここが島妻とその子供の悲しさ。薩摩に戻れば正妻を持つだろうからというわけです。

それにしても……です。
ラブストーリーとしてでも引っかかるのが、西郷どんが岩山糸のことをまったく言及しないところなんですよね。

たとえ別の相手と恋をしていても、心の隅に運命の人が引っかかっている――そういうのが、ジリジリする恋愛ものの王道ではないですか?
朝ドラの『半分、青い。』が、今、まさにそういう展開をしていて、多くの視聴者の心を震わせているんですけどね。

この出産祝いのウダウダが何分続くのか?
数えてみたら8分でした。井伊直弼は瞬殺だったのに。

番組公式SNSで「井伊直弼、最期の心の声」を補完していたのですが、さすがに、それはないよなぁと思いました。なぜ劇中で語れなかったのでしょう。

 


思想を削除したらヤンキー漫画になってもた

薩摩藩では、大久保利通小松帯刀が、藩主・父の島津久光から起用されています。

そして、このへんが奥歯に物が挟まったような不快感があるんですけど……。
要するに尊皇攘夷思想をまるっと無視して話進めているんですよね。

「テロリストサークル」と揶揄されながらも、一応は吉田松陰の思想を描いた『花燃ゆ』のほうが誠実でした。
苦闘し、泥まみれになりつつも、当時の長州藩に漂っていた剣呑さをある程度は描いていたのです。

本作は、思想的なバックグラウンドを引き抜いた結果、ヤンキー漫画みたいになっているんですね。

政治劇はおざなりに描かれ、奄美大島に話が戻ります。

ここで大久保正助がやってきます。
いつまで青臭いことをしているんだろう。

流刑地でも西郷は、他の人と友情を結んでいるわけです。

奄美で友情を結んだ、あの赤山靭負の弟でもある桂久武の立場がなさすぎませんかね。

桂久武
西郷の親友となった桂久武(赤山靭負の弟)西南戦争には不参戦の予定だったのに

続きを見る

赤山靭負
西郷に衝撃を与えた赤山靭負の切腹~なぜ薩摩の御曹司は処罰された?

続きを見る

 

友情愛情を描くのに直接会う以外の方法を考えてほしい

桂久武は、井戸田潤さんが演じられております。
制作サイドにその気があれば十分に描けたはず。

そういうのを無視して正助改め大久保一蔵を引っ張ってくるというのが、もう単純過ぎて。
一人は薩摩、もう一人は奄美大島でも、芯のある友情は描けると思います。

この先、西郷が二度目の流刑のとき、岩山糸が会いに来る展開もあるようですね。

離れていても相手を思う気持ちすら描けない、顔をつきわせてはしゃぐことでしか描けない友愛って、本当にどうにかなりません?
歴史ドラマというより、普通のドラマとして見てもダメだと思うのです。

今回、わざわざ奄美までやってきた大久保と西郷の会話もひどいなぁと感じました。

史実の西郷は、一日も早く復帰することを目指していたのに、ドラマの西郷どんは戻りたくないとウダウダ。

大久保は薩摩には西郷が必要だと語りかけますが、そこまで西郷どんが役に立った場面を見せてもらってないので、意味が全然わからない。直近で思い出せる西郷の活躍と言えば、月照をおぶって運んだぐらいでは?

そこまで薩摩には人材がいないのか~い、とむしろ不安になってきます。
いらないよ、全然いらないよ。西郷どん。

 


リゾートエンジョイ中に面倒な話は勘弁してくれってか

しかも西郷どんが奄美大島に残りたい理由がひどい。

景色が綺麗、山に猪がいる、海には魚もいる。って、猪なら薩摩時代にも狩っていたましたし、豚肉はもっと簡単に手に入るはずです。
薩摩時代だってウナギをさんざん獲っていただろ、いい加減にしてくれい!

奄美大島の南国風景が美しすぎて、
「おれはビーチリゾートエンジョイしてるから、お前が困っていようが帰りたくねえ!」
と語る無責任男にも見えてしまいます。

この無責任男がっ!
水戸藩を血の海に沈めた「戊午の密勅」を、西郷どんから出させたこと。製作者は忘れても視聴者は忘れておりませんよ……まぁ、そんなに数は多くないかもしれませんけど。

大久保も大久保なのです。
愛加那に頭下げて「返して」って。

いや、もっとやりようあるでしょう。薩摩藩で出世しているはずなのに、頭を下げるだけって。
無能に見えてしま〜〜〜〜〜う!!

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