お好きな項目に飛べる目次
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「哀れだね、あんた」って誰に言ってんの?
慶喜を迎えた勝海舟も、最低最悪です。
なぜか主君を罵倒する。
こいつ、誰?ほんとうに勝?
家茂が死んだ直後にもニヤついていたし、どんな武士でしょうか。
厳しいことを諫言するならまだしも、主君を罵倒するとかさすがにありえません。
まぁ、西郷どんはじめ、最低の薩摩隼人たちも、島津久光を散々小馬鹿にしておりますし、要するに、本作を作っている側は、幕末武士の道義心すらろくに知らないわけです。
そんなんでよく大河を作ろうと思いましたね。
勝海舟が「哀れだね、あんた」とめっちゃフランキーに言います。
哀れなのはこんな脚本やセリフを通してしまう本作のスタッフ。
そして、こんなデタラメを見せられている視聴者なんだよ!!
歴史に詳しくない人は本当に信じちゃってる人もいますからね。もう絶望的な気分ですorz
イギリス人医師がやってきて信吾助かる
傷ついた信吾のところには、異人がやって来ました。
ここで取り乱すお虎のシーンもバカっぽい
異人を見たからってここまで反応するバカ、さすがに当時でも少数ですよ。
江戸っ子なんて、黒船見物していたぐらいですからね。
そして信吾の命が助かり、外国人バンザーイ描写。
幕府とフランスとの結託はサイテーと言われ、薩摩とイギリスの絆は良き話かな――って、また本作お得意のダブスタが来ました。
そもそも貫通銃創如きに大げさなんです。
明治政府になってから、散々イギリスに介入されていることを考えると失笑もんですわ。
西郷は、信吾の見舞いはできない、とか言い出していて、私も笑いそうになりました。
勝手に傷を大事にして、勝手に周囲で騒いで。何をとっちらかってんだか……。
そして、ここで明かされます。
なぜイギリス人が、わざわざ治療にやってきたのか?
そうです。
西郷どんが呼んでいたんですね。
一言いいですか?
やっぱりバカなの?
弟や味方の命にだけは優しい人って、どうなのよ
西郷の描写がやっぱりおかしい。
①当初、人が死ぬのはダメ、絶対!な平和キャラ
↓
②徳川慶喜を殺すために豹変
↓
③大将を殺すための戦争だ!
↓
④退くな、退くんじゃない!
↓
⑤戦うのは日本のため
↓
⑥自分の弟や味方のためには医師を呼ぶ
↓
⑦今後、東日本へ攻め込む(戦場はボロボロになり、多数の人が死ぬ)
あんだけ平和を謳っておきながら、突如、ブラック西郷になって合戦に狂い、そして今後は東日本へ攻め込みます。
多くの人に反対されながらも攻め込むのです。
そしてたくさんの人傷つき、死にます。
それでいて、信吾や味方を救うためには何でもする。天子様に直接お願いまでする。
西郷さんって、そういう人なの?
なんてドラマを見た人たちも困惑するんでは?
なお、東日本へ強引に攻め込んだせいで、弟の西郷吉二郎と妹・琴の息子は死んでしまいます。
そんな西郷の武力倒幕に関しては以下の記事をご参照ください。
彼が武士であり、単なる平和主義者でないことがわかると思います(当時の侍なら自然なことであり、責めているわけではありません)。
なぜ西郷は強引に武力倒幕を進めた?岩倉や薩摩は下策としていたのに
続きを見る
江戸を描くときの手抜きがひどい
このあと、和宮の書状に塩対応する西郷どんが描かれます。
徳川慶喜は上野の寛永寺で謹慎している。
もう進軍する必要はない。
そのとおりとしか言いようのない話です。
ブラック西郷は、そんなこと気にしない。
「手を緩めちゃいけない」とイケイケ。徳川慶喜が死ななきゃ意味がないと言い切ります。
更には「(慶喜討伐は)俺ら天子がいるぜえ」とカッコつけていますけど、その根拠となる【討幕の密勅】は偽勅説が根強いという……。まぁ、ブラックだからいいんですよね。ちなみに『八重の桜』は偽勅と言い切ってました。
直後の勝と慶喜の会談も見ていて辛いものがありました。
「相手は慶喜の首が欲しいはず」なんて勝が言うワケない。
そんな幕臣として最低最悪の振る舞い、あるわけがないんです。言葉が軽いんだよなぁ。
家臣が勝海舟一人しか映らないってのも不自然です。
当時は、武闘派と和睦派で幕臣が真っ二つになり、慶喜は「高橋泥舟」をボディガードにしていたほどです。
薩長同盟であんだけモブ使ったのに、幕臣旗本は使わないってか!
手抜きが露骨過ぎるぞ!
薩長同盟は何のために結ばれた?龍馬が西郷と木戸を繋いだ理由とは?
続きを見る
なぜ高橋泥舟は勝海舟から馬鹿正直と評価された?槍一筋に生きた武士
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なぜ敵陣へグングン一人で行けたのか?
ここで突然、山岡鉄舟なる武士が出て来ました。
えぇと、「誰?」って思いませんか?
勝海舟が呼んだのだから、幕臣には違いないでしょう。めちゃめちゃガタイが良くて、たぶん強いひとなんだろうなぁってのもわかる。
しかし、いかんせん突然すぎる。
しかも、西郷のところへズンズン進んじゃってる。
敵軍の中ですよ。
一人でどうやっって行けた???
ムリよ、ムリムリ。あまりにもダイジェスト感が半端ないです。
結局、西郷に集められた浪士たちが江戸でテロを起こしまくった「薩摩御用盗」の描写はなく、山岡鉄舟が西郷のもとへと歩むことができた「益満休之助」も描かれておりません。
なのでわかりづらい。唐突感が満載なんですね。
よろしければ以下の記事をご覧ください。
山岡鉄舟~西郷を説得して無血開城を実現させた生粋の武人53年の生涯
続きを見る
一人の凄腕剣士がいれば、何万の敵でも問題ない!
そんな世界観なら、近藤勇が板橋で捕まって斬首されないと思います。
ぬるすぎて戦争やっている感が、伝わって来ない。
やっぱり西郷どんのしかめ面は、電車の中でトイレをこらえているだけでは?
交渉を決めたのは切腹なんかじゃござーせん
交渉内容も、歴史と関係ない話でした。
相変わらずワンパターンの西郷どんがバカっぽいんです。
あのですね、山岡の決め台詞はこうですよ!
「同じ条件を島津の殿につきつけたらどうですか?」
例えば島津斉彬の命を差し出さなければアナタはどうする?
死ぬまで戦うでしょう?
江戸の幕臣たちを、そこまで追い詰めて、互いに戦死者を出すのですか?
そう言われたからこそ、西郷だって無血開城(正確には、勝海舟との会談)に応じるワケです。
山岡が切腹しようとするあたり、視聴者をバカにしてるんでしょうか?
本作に出ると、知能指数が極端に下がりそうです。
『信長の野望』の能力値なら知能平均7ぐらいでは。
ここの西郷どんと山岡の会話、史実をかすりすらしません。
というか、史実そのままでも描けるし、そのほうがよほど面白いのに、歴史的センスゼロなのに、どうして捏造しますか?
信吾のことダラダラやるくらいなら、ほかにやることあったでしょ!
ちなみに史実での西郷は、イギリスから「慶喜公殺すな」と念押しされています。
たぶん、それもやらんよね。
やっぱりやったか篤との再会
この後、西郷は川路や中村と共に、幾島と再会。
治安は大丈夫でしょうか。
今、最高潮なまでに悪化しているときで、ホイホイ移動できるとは思えない。
もしかして幾島を経由して篤姫との話をやる気なのか……と思ったら、案の定、幾島の手引きで、ノコノコと篤姫に出会います。
「待っておったぞ、西郷」
史実ならここで篤姫が助走つけてぶん殴っていい場面ですわ。
「てめえ! 薩摩御用盗が江戸城放火しおったな!」
という決め台詞を付けてもよいかもしれません。
しかし、再会した二人はなぜか終始にこやか。
史実の篤姫って、実家の島津家に激怒していたんですけど、これは一体どうしたことか。
幕末 薩摩と徳川の緊迫したヤリトリがわかる 篤姫と西郷隆盛の殺伐とした関係
続きを見る
本当にもう、冒涜が過ぎてアタマが痛くなってきました。
総評
まずは海外の歴史ドラマ戦闘シーンを貼り付け、本作のショボすぎる鳥羽伏見をぶっ潰そうと思います。
こうした数々の映像を見ていて、しみじみと思ってしまいます。
「ああ、日本の時代劇って、最高峰の大河でアレなんだから、もう最低レベルなんやな……」
いやいや。
5年前の『八重の桜』は、VFXを駆使してよかったんですよ。ここまでスカスカ、恥ずかしい戦闘シーンではなかったのです。
会津まつり&綾瀬はるかさんと言えば『八重の桜』いま見ても面白い魅力を解説!
続きを見る
たった5年間でここまで駄目になるとは……。
ここはひとつ、『ゲーム・オブ・スローンズ』を見てみません?
もう大河に戻れなくなりますよ。
【関連記事】ゲーム・オブ・スローンズ解説
それにしても、今年の人選ミス感は半端ないです。
西郷隆盛という維新三傑なのに、どうしてそうなったか。
【明治維新でみんなハッピー!やったね!!】っていう、アホアホな価値観と全然西郷は一致しないんですよ。
だって、明治政府と合わないから西南戦争を起こしてます。
ちなみに新ビジュアルはこんな感じだそうです。
【公式サイト(→link)】
もう、役者さんには悪いんですけど、コスプレにしか見えん。
なぜ、明治維新でハッピッピ〜パヤパヤ〜でやるのに、よりにもよって西郷を主役にしたのか。
今更ながらにアホらしく思えてきます。
大河最低の人選ミスは『花燃ゆ』と思っていましたが、今にして思うと正解だったかもしれないですね。
彼女なら、政治情勢吹っ飛ばしてテキトーに展開できますもんね。限度ってもんがありますけど。
しかし、今年は西郷なのです!
ごりごりに権力闘争を勝ち上がってきた人です。
政治からは逃げたらダメ絶対!
それなのに逃げ惑い、このザマです。何を考えていたのやら。
そして、こんなダメ大河なのに、出演者だけ豪華なのがこれまた辛い話で……。
本作の出演者は豪華です。
『花燃ゆ』から出演者が逃げまくった教訓で、ガッツリ押さえられたのでしょう。
これがもう、腹が立って仕方ありません。
特に、過去の大河で名演を披露した役者さんが出るとなると、失望感が半端ないです。
もう全員ペッパー君が演じればええんや。
考察:本作の歴史ものとしてのセンスが最低過ぎる
時代劇を書くうえで大事なのって、史実を調べることです。
もうひとつ。
調べるまでもなく、歴史モノのお約束やあるべきリーダー像をスッと描ける力量も大事なんです。
本作はそれがしみじみつくづく、駄目なんですね。
今週気づいた点をあげてゆきます。
信吾の負傷描写が駄目
前述の通り、こういう時の歴史ものでのお約束は、
「確かに俺も怪我をしている。しかし、もっと深刻な者もいるから、そちらを先に救いなさい」
と譲ることです。
そこで周囲が、
「いやいやあなたは指揮者だから!」
なんてとりなして、それで仕方なしに治療を受ける。そのくらいがよいのです。
それが本作はなぁ。
しかも貫通銃創でこのあとも戦闘に参加しているから、たいしたことがない怪我なのに重症のフリをして、お虎の口利きで優先して治療を受けた最低藩士にしか見えません。とても薩摩隼人じゃない。
身内を心配する描写が駄目
西郷どんが弟を心配している――そんな描写も駄目です。
先週の子供をあやすところでも思いましたけど、本当にやったらアカン。
ノブレス・オブリージュという考え方がありましてね。
戦うことで地位を得ている人間は、血を流してこそだ、と、そういうことです。
これは西洋だけではなく、武士もそう。武士であるからには、流血やむなしという考え方です。
これをきちんと出来ていたのが『八重の桜』でした。
三郎が戦死したとき、その報を受けて父親は表面的には喜び、心の中では嘆き悲しむのです。
表向きは、武士として名誉の戦死を遂げたと振る舞う。しかし心の底では、父として泣く。こういう描写が、時代劇の定番で心打つものなんです!
一昨年の『真田丸』で真田信繁が「息子可哀相」だと息子の大助を真っ先に大坂城から逃亡させるとか。
昨年の『おんな城主直虎』で、直虎が「小野政次は大事だから殺さないもん!」と庇うとか。
そんな風にバカみたいな描き方をされたら、想像するだけで、ガッカリしません?
時代劇っていうのは、自分の半径5メートルの人間はともかく愛して庇うという価値観だけでは、陳腐になるんですよ!
妾ども、うぜえ
大久保利通の妾・おゆう。
西郷の妾説もあるお虎。
慶喜の妾・ふき。
とにかく彼女らを出し過ぎですわ。
おゆうが「錦の御旗」制作にかかわった。慶喜が妾を軍艦に同乗させた。
そういう説や史実があるエピソードです。
しかし、ニュアンス的には、
「こんなもん妾にさせるなよ」
と非難対象とみなすべきもの。
本作みたいに、女が緊迫感を和ませているでしょ、という使い方はバカげているとしか言いようがありません。
こういう予感はありましたよ。
初回から「妙円寺詣り」に男装した糸が紛れ込んで、ぶち壊しにしましたよね。
当時の武士、男尊女卑が厳しい薩摩ならば、糸は鉄拳制裁で二度と西郷と口すら利いてもらえなくてもおかしいくらい、酷い話です。
それなのに、エエ話扱いにしていましたからね。
いいですか。
正しい女性による幕末への関与の仕方ならば、『八重の桜』から学んでください!
それまで女だから鉄砲を習っても仕方ないと言われていた八重は「会津が危難であるからには男女なんてない!」と啖呵を切って参戦。
中野竹子は、長刀に句を結びつけておりました。
「ものゝふの猛きこころにくらぶれば 数にも入らぬ我が身ながらも」
(男である武士の猛々しい心に比べたら、数には入らない女の身ではありますが、戦い忠義を見せます)
こういう史実準拠の女性描写と比較したら、本作の割り込み女どもはカスにしか見えません。
江戸に人がいなさすぎ
今週吹き出したのは、あのスカスカ江戸城や寛永寺ですよ!
あんな謎の縁側みたいなところで、勝海舟とマンツーマントークってアホかと。
磯田屋や薩長同盟の時のワラワラ感はどうしたあっ!
本作はこういうところ、本当に駄目です。
大政奉還も人がスカスカでしたっけ。
あのですね、歴史ものの醍醐味って、スケール感のある絵ですよ。
「どうせ幕府は敵だしぃ、エキストラ雇うお金ケチりたいしぃ」
というゲス本音がダダ漏れ過ぎて、見ていて辛いです。
忠義の概念が『47 RONIN』以下
本作って、武士が忠義を持っているようにすら思えません。
山岡鉄舟の、
「同じ条件を島津の殿に迫られたらどうしますか」
という概念が出てこないのも納得ですね。
もう、こいつらメンタリティがカスすぎる!
貧しい身の上から引き立てた慶喜を罵倒しまくるふき。
主君の家茂が亡くなろうがヘラヘラ笑い、慶喜のことを罵倒する勝海舟。
ことあるごとに島津久光をバカ殿扱いする、クズ薩摩藩士ども。
こいつら、本当に幕末の人間ですか?
江戸時代を通して養われた武士にとって最大の感覚って、忠誠心なんです。
戦国時代は下剋上もありでした。
そういう価値観を一変し、主君に逆らうことこそ最悪の所業だと叩き込んだのが、江戸時代です。
それが最も顕著に表れたといえるのが、『忠臣蔵』でしょう。
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『忠臣蔵』は、海外の人からすると理解に苦しむ物語なのだそうです。
問題のある主君に殉じるために、老人の屋敷を推そう武士がよくわからないのだとか。
ですから、ハリウッド映画なんかだと脚色されまくるわけです。
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このあたりと物語の芯としていたのが『八重の桜』です。
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そこには、背後に将軍家や主君への忠義があったわけです。
ところが本作のゲスなバカどもは、平気で主君をコケにしてヘラヘラしています。
時代劇に求められる価値観への理解度がゼロ。
日本史を毎週土足で踏んづけて小馬鹿にして、何が楽しいのでしょうか。
考察:『新潮45』と『西郷どん』
『新潮45』が大炎上しています。
個人的な話でなんですが、私も激怒しております。
この新潮45に対し、キレッキレで最高だったのが、このせやろがいおじさんの動画です。
この話がナゼ大河に関係あるかって?
2015年と2018年の大河にはあるんですよ。
確かに出来の悪い大河ドラマは存在する。
『篤姫』二匹目のドジョウを狙った『江 姫たちの戦国』とか。
しかし、その系統と、2015年と2018年の大河はちょっと別ものという気がするのです。
まず2015年。
当時これを指摘したら散々ボコられましたけど、蒸し返しますね。
吉田松陰の妹主役の大河であった『花燃ゆ』。
人選の異常性、大坂の陣四百年記念の歳に割り込んだこと。
このあたりはさんざん突っ込まれて来ました。
松陰には三人妹がおります。
このうち最も存在感が希薄なのが、三女の文です。
年齢差もあるためか、松陰も幼い妹として扱っていたようです。
当初の発表では「三姉妹」を描くというニュアンスがあったのです。
それが不可解なことに、蓋を開けてみれば三女の文が中心。姉妹の仲でも最も松陰と交流があり長女は存在が抹消され、二女はゲスでミーハーという扱いでした。
文がイケメンと恋をするという売り込みも不自然でして。
文は最初の夫・久坂玄瑞から「不器量」と言われたほどで、実際に久坂は浮気相手との間にのみ、子を作っています。
二番目の夫・楫取素彦も、姉が死んだから妹を娶るという、ロマンスとはほど遠い結婚でした。
こうした不自然な事実の背景には、こんな事情がありまして。
文の夫・楫取素彦とは、政治団体「日本会議」放映当時の副会長の先祖だったのです。
その結果、他の人物のしたことまで楫取がやるという異常なゴリ推しをされ、某政治家支援者の息子が奇兵隊士役で出演した、なんてことも囁かれています。
◆大河『花燃ゆ』 出演者華やかだが「史実と違い過ぎ」の声も(→link)
そして2018年。
事態はさらに悪化しているんじゃないかと、懸念してしまいます。
「ともかく幕府が悪いんだも〜〜〜ん! 幕府は売国的だーーー!」
「長州を倒すのは駄目絶対許せない! でも東日本は殺しまくるぞヒャッハー! あいつら自業自得だもーん!!」
「国を守るために、戦争はやむを得ないもーん!」
ってさあ……。
そんな主張を西郷どんにわめかせて、何がしたいんでしょう。
こういう台詞をフィクションで言う奴って、不誠実なゲス政治家っていうのがお約束だと思います。
『八重の桜』の時、一部から「長州を悪く描くな」というクレームがあったそうです。あ
でも、あの作品は、主役の会津だってマイナス面をきっちり描いていたんです。
「ヤダヤダァ、悪いところ描かないでよぉ、敵が全部悪いんだもん!」
っていう、幼稚な価値観とは無縁でした。
『西郷どん』レベルの歴史歪曲に抗議するのならばまだしも、会津戦争という史実での不都合が見たくないというのはどうなんでしょう?
史実を見れば、下策とまでされた武力倒幕って、敵対者を力づくで黙らせて、自分たちの政権がひっくり返されないようにする、薩長の都合があったのは明白です。
あまりに無茶ぶり過ぎるから「奥羽越列藩同盟」も結成されました。
そういうところを描かないって、幼稚過ぎませんか?
こんなもん薩長閥を批判できない戦前レベルの歴史感じゃないか――と本レビューでも突っ込んだんですけれども、幕末史の研究者の方も同じ事を書いておりまして。
ああ、やっぱりと、腑に落ちました。
70年以上も前の、現在は完全に否定されている歴史感覚を平気で垂れ流す大河ドラマ。
せやろがいおじさんの言い回しを借りますとですね。
もう忖度と史実捏造と不勉強と 薩長の都合をミキサーに入れて出来たゲロマズスムージーみたいな味わいで 消化不良を起こしたから ここで吐き出させてもらうで!
コレなんですよ。
『新潮45』みたいな本が売られるのも。
『花燃ゆ』や『西郷どん』みたいな駄作が流されるのも。
なんかヘンな忖度があるのでは?
こういう意見広がれっていうなんかそういう変なモンあるでしょ?
不自然なんですよ。
今年なんて薩摩ドラマなのに、薩長同盟や長州征伐ばっかり気合いが入っていて、長州大正義、長州に頭を下げたからこそ薩摩が躍進する、みたいな内容だし。
変な政治利用としか思えないことまでされているし。
本作の薩長同盟回とあの鹿児島での表明、偶然カブったんですかね?
政治と大河を結びつけるなって言われるかもしれないですけど、幕末の薩長優遇はモロに政治的な話ど真ん中ですわ。
明治以来、これでどんだけ揉めたか、って話ですわ。
それでいて戊辰戦争150周年の節目に、
「薩長は正しいもーん、悪いのは幕府だもーん!!」
って大河で流して、そりゃあ幼稚ですよ。
大河に政治を持ち込なって言う人に反論したい。
薩長閥の正統化は、もう政治問題ど真ん中ですわ。
『花燃ゆ』も『西郷どん』も、放映年は多少観光に貢献するでしょうけれども、5年後には『八重の桜』とは違い、ただの恥さらしになっているでしょう。
そんなもん作ってどうするのか。Vシネで作れ、と言いたい。なんて言ったら、小沢仁志さんに怒られそうだ。
もうね、『新潮45』も大河ドラマも、民意とかけ離れた変な忖度の結果、ぶっ壊れて言っているとしか思えないのです。
本作がつまらないのは、
「原作者と脚本家が女だからだ、スイーツだからだ」
という問題点しか指摘できないのも、ちょっと違うと思います。
脚本というのは脚と脚の間じゃなくて、耳と耳の間、つまりは頭で書く。そこは性別の問題じゃない。
原作者と脚本家が女性だろうと、ゴーサインを出している上層部は、男性の方が多い。それが日本の組織です。
目立つ女は、弾よけですよ。
弾よけではなく背後にあるものを突っ込まないと、問題の本質は見えて来ません。
もうともかく、妙な忖度を感じさせる大河にしかならないなら、幕末は時代ごと封印していただきたい。
そうとしか言えません。
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【参考】
西郷どん感想あらすじ
NHK西郷どん公式サイト(→link)等