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熱血漢を演じさせた方がやっぱり光る
ここから東京へ。
新政府で官位について揉める大久保と木戸孝允です。
うーん、玉山鉄二さん、『八重の桜』の山川浩はよかったんだよなぁ。
木戸孝允に扮しておられ、コレを指摘したくないんですけど、木戸のキャラクターがあまりフィトしていない。
山川浩みたいな熱血漢の方が適材適所だった(よし、やっぱり『八重の桜』を見よう!)。
あまりに雑な説明の後、犬を可愛がる西郷どんが出てきます。
そこにわざとらしく西南戦争でも出てくる若者(中村半次郎やら、村田新八やら)がわらわらと出てきます。
この、ワンちゃんを撫でている横で述べられる、無茶苦茶な説明セリフだけで西南戦争まで行くつもりかな?
西郷どんは東京に行かないと言います。
だから!
大久保がいるからいい、って、それ以外のちゃんとした理由を言ってくれよぉ!
単なる丸投げ野郎ですやん。
なんかカッコつけて、西郷どんがエエこと言えば視聴者がわかるという、そんな思い込みは捨ててほしい……って、捨てられないから視聴率一桁を記録したんでしょうね。もう手遅れや。
そして合間に入る菊次郎の回想。
仕事もせず、着任早々、自分の生い立ちを助役に語る菊次郎が無能すぎて辛いです。
突然シャウトして切腹する人 誰? 誰なの?
なんだかシャウトして、横山安武が死にました。
一体コイツは何だったの?
背景説明してほしいなぁ。突然過ぎて、口ポカーンって視聴者も多かったんでは?
おぅ、その容疑者、海江田だけどな。
有村俊斎(海江田信義)は長州に嫌われたから出世できなかった?残念な功績に注目
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暗い照明と音楽をかければ、なんとなく深刻になるという演出の元、西郷従道が大久保の妾・おゆうと出会っております。
いや、こんな妾よりも描くべきものがありますよね?
どうやら従道によって、薩摩から西郷どんを引っ張り出す流れらしいんですけど。
ここまで西郷どんが有能であった描写が微塵もなかったため、ナゼ望まれるのか理解できない異常事態に突入します。
あんな大久保に丸投げした無能無責任野郎、放置しろよ。
岩倉たちが頑張ったほうがいいじゃん。
甥っ子の死はナレでも触れなかったのになぁ
西郷どん、戊辰戦争遺族の家を訪問しています。
元々は、江戸に放火して「戦の鬼」とカッコつけて起こした戦争ですからね。
そういう姿を描くぐらいなら、甥の死(琴子の長男)を削除するというのが不誠実。
ちなみに琴子の二男と三男は、西南戦争で戦死します。
もう、マッチポンプにしか見えないです。ハッキリ言って気持ち悪いです。
「戦の鬼」とかっこつけて人を大勢死なせて、その追悼をして善人アピール。
さすがに悪質でしょ。
それに、こんなしょうもないことをやるくらいなら、庄内藩との話を先週やるべきでしたよね。
せっかく西郷に箔をつけるチャンスだったのに、ことごとく潰している。
このあと、薩摩の西郷邸では、従道と妻のハグが入ります。
誰の需要もないう駄シーンを入れ込まないでくれ。どうでもエエわ。
いちいち菊次郎がアウェイ感をアピールするような立ち方をしているのも鬱陶しいです。
みんな、構ってあげようよ。
戊辰戦争で大量に死なせたから、政治できない
薩摩の西郷邸では、みんなが集って、ホームパーティみたいに従道を歓迎しています。
最初からそうでしたが、薩摩の男尊女卑とは何だったのでしょう。
鉄道の普及について「すごかーすごかー」というしょうもない子供の声入りで説明されますが、鉄道の普及の説明一つとっても、『八重の桜』とのレベルが違いすぎて辛い。
映像化された幕末明治作品の中で、本作が最低レベルであることはもはや間違いないでしょう。
このあと、西郷兄弟の話です。
はいはい、どうせ従道が誘って西郷どんが断るんでしょ。
ここで従道が、フランスのポリスを作りたいと言い出します。
本作ではどうせしょうもないことになるだろうし、もうどうでもエエから『山田風太郎 からくり事件帖-警視庁草紙より-』の再放送でも検討してください。あのドラマの川路大警視はカッコイイんですってば。
あるいは以下の関連記事をご覧ください。
薩摩の川路利良が導入した近代警察制度~仏英の歴史と共に振り返る
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西郷どんは、弟の誘いに対し、
「戊辰戦争で人を大量に死なせたから、政治できない」
と言い出します……って、そうなの?
本作を観ている限りは面倒臭いことを投げて、マイホームパパしたいようにしか見えんなぁ。
このあたりも、佐幕藩出身者が政治から遠ざけられた経緯を思い出すと、怒りしか湧いてきません。
山川健次郎「薩摩はいいですねえ。会津藩士なんか、政治に参加したくてもできなかったんですよ」
山川浩「例外は軍隊と学問。ま、俺も陸軍少将になるときは散々反対されたがなあ。『八重の桜』ではこの俺が西南戦争でかっこいい活躍をするから見ような! 西郷もこっちのほうがかっこいいぞ!」
菊次郎の言葉で上京を決意する
西郷どんは、糸に対して「俺は責任があるとかなんとか」言い出します。糸は菊次郎のことを語り出します。
マイホームパパアピールがしつこいです。
このあと、菊次郎が「東京に行ってくりしょり」と西郷どんに言い出します。
おっ、なんだなんだ。これぞゲス男ファンタジーってやつですか?
愛人の子供が懐いて父親が聞きたいことを、ペラペラと腹話術人形みたいに喋り出す。それで西郷どんはやっと上京するんですって?
菊次郎がナレーションだとバレたことで、つまらなさ三割、くだらなさ四割増し。
もう、見ていて辛すぎますわ。
先週の庄内スルーに、山形県民の方が静かにキレておりました。
そりゃ、まぁ、ねぇ。
『天地人』の長谷堂合戦スルーといい、もう山形に喧嘩売っているとしか思えないことばっかりです。
上杉鷹山か最上義光あたりを大河にせんと、こりゃもう怒りもおさまらんでしょう。
巨大芋煮鍋「三代目鍋太郎(→link)」で煮られてしまえ!
「女の敵は女」構造に逆戻りじゃないか
はい、今週も苦行の45分間でしたね。
コレが、制作側の考える見所だそうです。
◆NHK大河「西郷どん」妻2人対面で魂ぶつかり合い(→link)
愛加那はあくまで位が一段低い島妻です。
正妻の糸子にかなうはずもない、差別を受けていた存在です。
そういうことを無視して、女の対立こわ〜い、女は男の愛を巡って争うんだよなぁ、と鼻の下を伸ばしたい層。
あるいは、愛人のことをスマイルで許す妻ってエエよねえと思っている層。
そんな連中にアピールしたいようですね。どこまでゲスなの?
こういう妻同士の争いって、時代遅れです。
少し前までは、豊臣家を描くドラマですと、北政所と淀の方が火花を散らす描写がお約束でした。2014年『軍師官兵衛』もこの系統でした。
ところが近年の研究ですと、実はこの二人の対立は後世の創作によるところが大きく、実際は二人とも豊臣家を守ろうとしてきたことが明らかになって来たのです。
「女の敵は女!」
というしょうもない思い込みが、歴史解釈を阻害していたというわけ。
2016年『真田丸』では、この二人の対立は強調されませんでした。
ところが、2018年の『西郷どん』では、そこまで退却したわけです。しょうもないですね。
うん。
「薩長同盟」でごわすな。
この、正妻と妾の間で火花バチバチって、『花燃ゆ』でも盛り上げポイントにしておりました。
だから、それが違うんですって。
「幕末明治ものといえば、やっぱり正妻と妾が揉めてなんぼ! 視聴者が見たいのはそこですよ!」
って主張する奴がいたら、全力で制作チームから駆逐してください。
あ、いや、そうでもないか。
『八重の桜』における山本覚馬(ヒロインの兄)の正妻・うらと後妻・時栄の時は盛り上がったっけ。
「あんつぁま(覚馬)を鴨川に投げ込め!」
なんて声もSNSであったっけなあ。
しかし、あれは別に盛り上げようとしていたわけではありません。
ドラマの出来の差って残酷だなぁ……。
盛り上げようとしていないところでも熱くなれた『八重の桜』。
盛り上げようとしても失笑とブーイングしか湧いてこない『花燃ゆ』と『西郷どん』。
今週も『八重の桜』はいいぞ!
という結論に至ってしまうのは、どうしたらよいのでしょうか。
しつこくて申し訳ないとは、私だって思っているんですよ。
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著:武者震之助
絵:小久ヒロ
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【参考】
西郷どん感想あらすじ
NHK西郷どん公式サイト(→link)等