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【青天を衝け第2回感想あらすじ】
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そもそもイケメン大河とは?
第二回放送まで見て聞こえてきたのは、作り手のこんな声です。
そうはいっても、一般の視聴者は漢籍知識だの、所作だの、考証だの、どうでもいいからさ! イケメンですよ、イケメン!
栄一の褌一丁シーンは何か狙ってますか?
吉沢亮さんはいうまでもなく美形ですが、方向性が間違っていませんか?
彼には、もっと繊細な人物として登場した『なつぞら』路線が似合っている気がします。
2018年『西郷どん』の鈴木亮平さんといい、どうしてこういう役者の個性を殺すことをするんでしょう。
役者殺すにゃ刃物はいらぬ。おかしな脚本演出あればいい。そんなの勘弁してください。
私は今、吉沢さんを見るとむしろ胸が痛む。
これは『まんぷく』でそうだった長谷川博己さんへの気持ちと重なる。
お二人とも、天の恵みとご自身の研鑽の甲斐があって、磨き上げた玉のような美貌です。
けれども……美とは、顔形だけではない。
心も見える。心の底から納得して演じなければ、美しいとも思えないのです。
目は心の窓。いや、冨岡義勇の真似じゃなくて真面目に言っています。
ゆえにこの手の「イケメン!」報道を見ると胸が痛みます。
男性芸能人は「女性ファンじゃない、男性にも評価されたい!」ということを口にしてしまう。それがきっかけで炎上することもある。
彼らが口にする「差別するつもりはない」という言葉は、本音だろうとも推察できるのです。
根底にあるもの、それは女性差別でしょう。
「女性にもわかりやすい!」
そういうフレーズがついているものって【簡単】を売りにしています。
歴史なんて女にはわからない。でもイケメンで釣ればなんとかなる! イケメンと難易度を下げることこそが、女性向けコンテンツの鉄板戦術とされる。
そうなれば演じる男性サイドにしても、
「うーん、俺は難易度低くて顔しか見られないんじゃ、納得できないんだ」
「男だけ見てもらえるのならば、ちゃんと評価されるかも」
なんて思いが湧いてもおかしくはないでしょう。
◆UVERworld「男祭り」が物議…女性ファン「裏切られた気分」(→link)
こういう偏見は、マスコミの報道や、それを受け取る側が増幅させる。
私は加担したくない。
顔がいいなんて役者ならば当然のこと。演技力を見たいと思うのです。演技をこめて、美しいかどうか。そこを見てゆきたい。
吉沢亮さんは、もっともっと、美しくなれるはずなのに……そんな彼が美しくなれない理由を考えてみたんですよ。
大河はなぜ炎上しないのか?
『鬼滅の刃 遊郭編』が色々と大変なことになっています。
◆鬼滅 次回作「遊郭編」で炎上騒ぎ…論争「遊郭を子供に」「女性差別」「過剰反応」(→link)
遊郭は人気ドラマ『JIN-仁-』や大河ドラマ『西郷どん』でも描かれていると指摘する声もある。
この点に関しては、むしろなぜ、大河にはそこまで優しい目線が注がれるのか不思議でなりません。
あのドラマでは、西郷どんと福井が誇る橋本左内が歴史交渉担当者の名前をつけた遊郭に入り浸り、将軍継嗣運動のためのパンフレットを作るという、全くもって意味不明な描写がありました。
現代ならば「キャバクラで同人誌をこさえて会社経費で落とす」ような無茶苦茶な描写です。
ついでにいえば、新門辰五郎の娘であるお芳を薩摩出身の遊女設定にしたこともワケがわかりません。
いつまでこの甘やかしが続くのか。というのも、
渋沢は、彼自身も認めるほど女関連がよろしくないのです。
こうした不都合なことに対しては
「女関係のルーズさなんて、当時はそんなものでしょ!」
という声も当然あるでしょう。
そこで考えたいのが、同時代人の目線です。
幸田露伴は渋沢の伝記を執筆しました。そして渋沢を調べていくうちに、性的な奔放さに嫌気がさしてしまい、その話が出るたびに顔が暗くなったそうです。
問題は、この手のやらかしが渋沢一人でもないところです。
唐橋の色香に迷ったとか、彼女を悪女扱いする見解もありますが、そこは傍証はあります。
とにかくこの一件で、斉昭は大奥からひどく嫌われました。唐橋は大奥に仕えるものとして、異性関係を断つ誓いを立てていたのです。
そんな真面目な彼女とそういう仲になるなんて最悪だ! そう考える大奥の女性に対して「ヒステリックだなぁw」と笑い話にして過小評価すべきではないでしょう。
#Metoo時代こそ、この事件の重みがわかるのではないでしょうか。
そういう真面目な女性を無理矢理どうこうするあたりに、斉昭の性格的な強引さが見て取れます。
将軍継嗣問題において斉昭の性格がマイナスに作用したとしたら、それは自業自得だったのです。
徳川慶喜だって大阪から引き上げる軍艦に、前述のお芳を同乗させていた。
これには幕臣たちも絶望し、呆れ果てました。江戸っ子も慶喜の弱腰には怒り「とっとと切腹しやがれ!」と悪態をついていたほどだったとされております。
もちろん今更どうこうできることではありませんが、問題は、後世における極端な美化です。
『青天を衝け』でどう描かれるのか(スルーされるのか)。
大河記事を観察するに……
本作は視聴率が健闘したこともあり、初回放送は概ね好評のようです。
ただ、先週の放映日は東北地方での地震と重なります。
悪天候や災害時、NHKは視聴率が上が――そんな皮肉な関係はどうしたって考えてしまいます。視聴率という基準そのものがもはや古びているとは思うのですが……。
こういうことは「船に刻みて剣を求む」と申しまして、少々危険。そこで私は大河のレビュー記事をざっと見てみました。
◆ 草彅剛が大河ドラマで示した「別次元の存在感」 難しい役も必ず物にするトップアイドルの実力 | テレビ (→link)
人気がある役者だから。イケメンだから。あの『あさが来た』の脚本家だから。
そういう過去の名声頼りのものが多く、本作ならではの具体的なよさまで評価するレビューが多くはないようです。
これには少々不安がないわけでもありません。
流水の清濁はその源に在り
◆NHK大河「青天を衝け」なぜ幕末?なぜ渋沢栄一に(→link)
-19年4月に、渋沢が新1万円札の顔になることが発表されました
菓子氏 その段階ではまだ候補の1人でした。その後の話し合いで決まり、お札にも決まり、風も後押ししてくれた感じです。
この言葉を信じてよいものでしょうか?
初めからありきで決まっていたとしか思えないタイミングです。
個人的に渋沢栄一の書籍は読んでおります。大河ドラマの目玉とされている気配はなく、知名度も低下していました。
それが、お札の顔になるからこそピックアップされた気配が濃い。
既視感があります。
明治維新150周年を見据えて大河を狙っていた山口県です。
地元ですら、
「長州ファイブではどうですか」
「ヒロインならヒロインでも、伊藤博文夫人ではいけませんか」
と思う中、吉田松陰の三妹・文が抜擢された2015年。この年は、あの真田幸村四百忌でした。
脚本家が「自分からNHKに企画を持ち込みました」と語っていたにも関わらず、放映中に「NHKからいきなり資料が届いた」と明かしてしまった2019年の事例もあります。
要するに、題材選びという根底という時点で、こうしたドラマは濁っていました。
水源が濁っていれば、大河は当然濁ります。
いくら初回視聴率が好調だろうが、水源が濁っていれば、結果は明白でしょう。
どれだけ視聴率が低迷しても「業界人には高評価」「ネットでは評判が高かった」「最低だけど最高」といった不思議な評価がされたこともあります。
からくりは簡単です。
その大河は、大手新聞の記者が主人公だったから。そりゃそうなりますよね。
褒めている側は無自覚かもしれませんが、報道の影響はどうしたって受けるというものです。
私が某大河を酷評した理由を振り返るに、東京オリンピック招致事情があまりに濁っていて、そんなものを美化されたらごめんだという気持ちがあったのです。
選手目線ならまだしも、招致目線とはどうしたことか。
一世紀後、今回の東京オリンピックがらみのことが、無茶苦茶に美化されてドラマになっていたらと想像すると、馬鹿馬鹿しくなってきませんか?
オリンピックの話だけでもない。
明治の財政界なんて汚いカネ、女、権力、捏造、抱き込み……と、東映の実録映画路線です。
イケメンが演じたら、おどれら山守の悪事(『仁義なき戦い』のアイツ)でもええんかのう! おう!?
と『仁義なき戦い』をイケメン勢揃いでリメイクされたような気分です。
どうして渋沢栄一が大河に今までならなかったのか?
これだけ有名ならば、理由があると推察できませんか?
不穏を察知するのは、私一人でもないようで嫌な予感がします。
◆吉沢亮『青天を衝け』奇跡の高視聴率はマグレか…背景に沢尻逮捕と松本潤とコロナ禍が?(→link)
◆ 『青天を衝け』好調大合唱への疑問~世帯視聴率で空騒ぎする発表記事を憂う~(鈴木祐司) (→link)
今後、何があろうと、吉沢さんはじめ出演者を過剰に責めないで欲しい。
そう願うばかりです。
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
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◆青天を衝け感想あらすじレビュー
◆青天を衝けキャスト
◆青天を衝け全視聴率
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
青天を衝け/公式サイト