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【青天を衝け第7回感想あらすじ】
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帰ってきた斉昭
ドイツには『帰ってきたヒトラー』がある。
イタリアには『帰ってきたムッソリーニ』がある。
では日本は?
誰が帰ってくるのか、それが問題です。
取扱注意の人物といえば……彼でしょう。こんなん幕末のトランプやん。
ベテランである時代劇研究家のペリー荻野さんに反論して申し訳ありませんが。
「困った時はおやじを出せ!」というのは、私が勝手に言ってるヒットドラマの鉄則だが、今期は『青天を衝け』で竹中直人演じる徳川斉昭の鼻息が荒い。
ここであげられている、
「(外国勢など)打ち払ってしまえ!!」
「なんと腑抜けな」
「黙れ黙れ黙れ!!」
(下田沖で津波のためにロシア船が転覆した聞くと)「神風が吹いたのじゃ」「皆殺しにせよ」
今の感覚からすると、ハラスメントとヘイトスピーチそのもので、むしろ不愉快に思う人がいてもおかしくないのでは?
今週も酷いセリフがありました。
本来、ナレーションはああいうセリフの背景を説明し、和らげるためにあるものでしょう。
ここで表現されているような「キャラが立った殿様」は、2021年ともなればただでさえリスク要因。
森喜朗氏にせよ、佐々木宏氏にせよ……平成の世までは「キャラが立った殿様」だったのでしょう。
それが今ではただのトラブルメーカーと化した。
歴史とは皮肉なものです。
時代は変わる。そうなれば鉄則も変わります。そこを認識できないから、こういうことをやらかす。
近年、差別がらみで炎上が増えたのは、変わる時代の流れに、鉄則がついていけないからなのでしょう。
必勝の法則などない。
あったとしても、時代とともに変わる。
変われなければ、滅亡あるのみ!
鉄砲伝来以降、弓矢しかないと思った状態で戦っていたら百戦百敗は当然の帰結です。それと同じことが放送業界だけでなく社会全体で起きているのでしょう。
代替がなければ室町幕府や明朝のようになんとかなるかもしれませんが、ことテレビに関してはVODやYoutube、あるいはAmebaTVなど各種のウェブコンテンツが急伸しています。
笑い事ではなく今は危急存亡のとき。
テレビが近いうちに、今のラジオのような立ち位置になっていても不思議はないでしょう。
いっそ『帰ってきた斉昭』で映画化したらいかがです?
もちろん竹中直人さん主演で。バラエティ番組ではしゃぐ斉昭を見て、みんなでゲラゲラ笑って、一緒に写真撮影を楽しむ。
そうしているうちに、気づけば天狗党の乱が全国規模で発生。そういうお話にする。
【水戸の三ぽい】
元は水戸藩の「水戸っぽ」の気質を表す言葉であった。
かつては「日本のテロ史上に水戸出身者あり」と言われるほどであったが、今ではそうした義侠心は影を潜めている。
既に「三ぽい」の性格が見られたのは昔のことであるという主張がなされる一方で、県名「茨城」を「いばらぎ」(正しくは「いばらき」)と言うと怒り出す、鹿島アントラーズのサポーターのエネルギッシュさなどに受け継がれている、という見解もある。
そのうちこうなりますかね。期待してもよいですかね。
「こんばんは、徳川家康です。いやぁ〜、天狗党もハッスルしましてね。活動資金を求めて民家から強奪放火殺害。ワイルドにやりすぎちゃいました」
ドラマ本編でやらないなら、こちらで解説します。
『魔群の通過天狗党叙事詩: 山田風太郎幕末小説集』(→amazon)で復習しておかなくちゃ。皆で天狗党地獄にいきましょう。
徳川斉昭は幕府を揺るがし滅ぼす問題児だった?そして水戸藩も崩壊の憂き目へ
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SNS依存症にはご注意を
今、大河はかつてないほど厳しい目に晒されています。
大河ファンが役者の容姿をジャッジメントしていたり、ハラスメントじみたことをツイッターで、ハッシュタグをつけてしていたらどうなるのか? そういうリスクも考えましょう。
誰が見ているかわかりません。それを拾ってニュースにする誰かがいる。リスク管理は大事です。
◆吉沢亮主演「青天を衝け」、好調のウラにスタッフによる同時進行ツイート(→link)
こういう同時進行ツイートをいちいち見ることもどうかと思います。集中力が削がれる。
『麒麟がくる』のときは脳が痺れて翌日午前まで疲労感がありましたが、今年は全くそういうことがない。
集中しなくてもよいほっこりドラマなんだろうとは思いますよ。
そして、ドラマの反応はハッシュタグのおかげで分析も容易です。
◆「#麒麟がくる」「#青天を衝け」Twitterでのハッシュタグ出現数を調査 男女の反響に差(→link)
このように女性が多いとされています。
つまり、女性視聴者層が不快に思うようなニュースが大河がらみであれば危険です。
◆ 「ジェンダー平等をかかげるのは時代遅れ」報道ステーションの女性蔑視CMがネットで炎上(→link)
憂慮すべき事態が大河ドラマでも起きました。
あの『応仁の乱』で一躍表舞台に躍り出た呉座勇一氏が、SNS上での問題発言から、時代考証を降りることになったのです。
◆NHK「人種や性別を差別的に扱ってはならない」 来年大河ドラマ 時代考証の呉座勇一氏が降板(→link)
40万部のベストセラー『応仁の乱』呉座勇一が人気を博した理由は?
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呉座勇一『応仁の乱』は勧善懲悪不要のモヤモヤ時代だからベストセラーに!?
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さて、この降板についてですが。
『麒麟がくる』の帰蝶役でも書いた記憶があります。
一人抜けたようで崩壊するのであれば、それは組織そのものに欠陥があるということ。
『鎌倉殿の13人』はかなり作りが盤石であり、あの程度で落城するとは思えません。
考証チームにせよ複数名おり、かつ研究分野で中核に近い側が残った。
ちょっと不気味な例えをしますと、人間は目や手足が片方失われても、適切な処置さえすれば命を救うことはできます。
ただ、内臓や脳を刺されると危険です。今回は致命傷ではない箇所の傷だったのでしょう。
東洋医学で診察すれば、士気低下は深刻な事態を生じさせ、ジワジワと盛り下がると現場にも悪影響が及びます。
そこで何をすべきか?
もちろん、いかにして盛り上げるか(やる気を引き出すか)を考えることであり、病身からの回復で効果的なのは栄養と休養ですね。
ハラスメントに詳しい専門家の招聘はよい手かもしれません。時代考証の木下竜馬氏はきっちりとジェンダーについて公式発表で触れています。
演じる小池栄子さんは極めて聡明で感受性が強い方。
三谷幸喜さんは脛に傷のある者は名乗り出るよう訴えていた。
これは皮肉でも何でもない。そんな総大将の呼びかけが通じたからこその、この処断という解釈は十分できます。
いかがですか?
盤石でしょう。この戦、勝てますぞ!
そうそう、今回の件で「女性をエンパワメントする大河」あるいは「ジェンダーについて配慮した女性向け大河」として『江』『花燃ゆ』『青天を衝け』をあげることはおやめください。
「女の子はイケメンが好きぃ!『篤姫』の二番煎じ!」
「おにぎりマネージャーにほっこりきゅんきゅん!」
「イケメンの裸を見せたらおなごは泡吹いて倒れるかも!」
こういう古臭い広告代理店ノリがあるだけで、ジェンダー的には問題があります。
本作のジェンダー観点でのリストアップは敢えてしませんけど。
黒田基樹氏は『今川のおんな 寿桂尼』で書いておりました。
あるドラマのある女優と話したとき「時代劇は女性が輝けないから苦手」と言われ、そこで何か閃いたと。
「そりゃそうでしょw 戦国時代っすよw」
そんな風に笑い飛ばしたらそれまでのこと。
どうして苦手なのか?
そんな歴史は過去のことなのか?
女性が放つ輝きを見落としていないか?
そう立ち止まってこそ進む研究、学問、認識、そして歴史はあります。
わかりますよね。
何でもかんでも「ちょっとぉー男子ぃー」と小うるさい、学級委員長タイプの女が悪いってことにすれば気楽ですよね。
しかし、そんな学生時代は数十年前に終わりました。
ついでにシェイクスピアを勧めさせてください。
昨年の吉田鋼太郎さんは『麒麟がくる』の女性像をシェイクスピアと比較しておりました。
佐々木蔵之介さんは秀吉を演じていて『マクベス』を思い出したとか。
そんなふうに別の国の歴史と重ねることで、もっと深みが出てきます。
北村紗衣氏はジェンダー観点の評論にも詳しく、三顧の礼で迎えてもよいほどと言いましょうか。
日本史とシェイクスピアの比較論なんて盛り上がらないわけがないのですよ。
追っかけから始めて何が悪い『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』
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では最後に『論語』より。
暴虎馮河、死して悔無き者は、我与(とも)にせざるなり。
虎とバトルしたり。
急流渡ったり。
それでも後悔すらしないようなイキリとは、私は一緒に行動せんよ。
本件はnoteにでも。
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
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◆青天を衝け感想あらすじレビュー
◆青天を衝けキャスト
◆青天を衝け全視聴率
文:武者震之助(note)
絵:小久ヒロ
【参考】
青天を衝け/公式サイト