青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第18回 感想あらすじレビュー「一橋の懐」

青天を衝け第18回感想あらすじレビュー

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青天を衝け感想あらすじレビュー

※文中の記事リンクは文末にもございます

烈公(徳川斉昭)から受け継いだ尊王攘夷の心を見せるため、上洛中の天狗党。

息子の徳川慶喜ならばわかってくれると京都へ向かっています。

これに対し「京を守るために討伐する」と言い出す慶喜。

因果関係が少しおかしいところがあります。

武田耕雲斎は水戸藩で追い詰められ、一縷の望みをかけて上洛するしかなかった。

慶喜も「京を守る」以外に動機はあります。天狗党は長州藩と手を組んでいますから、そんな天狗党と慶喜の結びつきがバレたら危険です。

このドラマでは、史実にはない「慶喜から耕雲斎に送った文」もあるのでなおさら危険なはずですが……。

 

天狗党と耕雲斎

渋沢栄一は、不安ながらも進軍。

俺が小四郎を焚き付けてしまった。挙兵は俺のせいかもしれない。それを討伐するなんて!

ん? たった一度会ったきりの栄一の言葉で、そこまで思い詰めるものでしょうか。

史実では、一度顔を偶然合わせただけではないのです。栄一と小四郎はかなりの仲良しで、天狗党の幹部・薄井龍之が助けを求めてわざわざ栄一に会いにいきますが、栄一はこれを断っています。

渋沢成一郎は、慶喜からの密書を携え、天狗党の武田耕雲斎の元へ向かいました。そして疲れ果てた天狗党を目にします。

こうして困窮する天狗党を目にすると気の毒ではありますが、これもちょっとおかしな点はあります。あまりに大雑把に端折っているためで詳細は以下の武田耕雲斎記事をご参照いただければ。

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小四郎と耕雲斎は、降伏を促す書状を読みます。上洛を諦めろとキッパリ言われたのです。

史実にはなかった耕雲斎を呼ぶ文のせいで慶喜の冷たさが増しているのはどうしたことでしょうか。

小四郎は烈公の遺志を守らぬ慶喜、攘夷を否定する慶喜に失望し、我が身可愛さを重んじていると怒ります。これは大体史実通りの解釈ですね。

しかし耕雲斎は、むしろ挙兵で慶喜を追い詰めてしまったと悟り、

「もはやこれまでじゃ」

と、悟ります。

降伏を受け入れる姿を見つめる成一郎。小四郎と向き合います。

もう主君に等しい慶喜とは対峙できないと天狗党。史実では、小四郎による「長州へ逃げる」という案もあったのですが、それはカットされています。

成一郎は、慶喜と栄一が気にかけているとは言います。

気にかけてるとは言いながら、この先の天狗党の悲劇を踏まえると慶喜と栄一が一層邪悪に思えてしまうのですが……。

 

天狗党352人が処刑され

栄一は天狗党が降伏したと聞き、藤田小四郎と対峙せずに済むことに安堵しています。

藤田小四郎
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史実では天狗党と手を組んでいたことがバレなくて安堵したとのだと受け取れるところですね。

ここで妻の千代に文を送る栄一です。

京都では各藩のお偉いさん方の宴会準備に勤しんでいるようです。が、栄一は嘘をついていますね。京都では女遊びしまくりでした。

渋沢栄一のワイルドな下半身事情は周知の事実なのに、その辺は隠す方針なのでしょう。まぁ、描けるワケもないのですが、真逆の描写となると勘違いしてしまう視聴者も増えてしまいそうです。

そんな栄一の手紙に従い、足袋や衣服を準備する千代。すぐそばでは平九郎が木刀を振り回しています。

慶喜は天狗党の処遇を気遣い、田沼意尊に念押ししていました。

「天狗党の乱は水戸の争いだから、耕雲斎のことは引き受けたい」

しかし、これも理屈がおかしい。そもそも水戸藩で処理できないから幕府が出てきて、天狗党は上洛に動いた。

田沼は「水戸の騒乱でどれほど迷惑を被ったことか!」と憎々しげに語ります。

そして天狗党の352人が処刑されました。

ここは史実通りではありますが、重要な点が改ざんされてるように見受けます。

史実→「慶喜が天狗党への厳しい処置を黙認」

ドラマ→「慶喜の嘆願を無視して幕府が処断」

フィクションですからどう描こうと自由かもしれませんが、それでも最低限のルールはあるでしょう。さすがにこの描き方では田沼と幕府が気の毒です。

こと大河は、フィクションであると認識できずに信じる視聴者が多いものです。

 

攘夷なんてどうでもいい

天狗党にくだされた厳しい処置(352名の処刑)を知り、怒りに震える栄一。

「戦が終わったのになぜ!」

国を思う者を無駄死にさせた……とは言いますが、それまで天狗党は各地で略奪放火をしており、罪人として認定されても仕方ない。被害に遭った民からすると、とんでもないという話。

栄一が小四郎を焚き付けたと悔やんでいると、成一郎は自惚れるんでねえと言い返す。

渋沢成一郎(渋沢喜作)
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そして成一郎は、天狗党の処遇の理由説明します。

俺たちの信じた「攘夷」の成れの果てだ。

さらに成一郎は「幕府に侮られたから」とも言います。

一橋家には兵がいない。天狗党を残しておけば慶喜が取り込み、強くなりすぎる。だから皆殺しにしたと。

「俺は、はあ、攘夷などどうでもいい! この先は殿を、一橋を守るために生きる! おめえはどうする?」

あれ? 最初からそのつもりで仕えていたと思っていたのですが、違ったのですね。

一橋家には武力がない。さてどうする?

と、ここで徳川家康がでてきます。

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こうして尊王攘夷は終わったと言いますが、史実では終わりません。明治以降も攘夷を掲げ、そのせいで悲惨な末路を辿った人もいます。

さらに家康は続けます。

天狗党のせいで外様武士が外国に頼り始めた。長州と薩摩がイギリスにすりより、変わり身をした。

彼らの敵は外国ではなく徳川――って、そんな事態に陥ろうものなら「関ヶ原の後で毛利と島津を徹底的に潰すべきだった!」と歯ぎしりしそうなものですが、なんだかちょっと嬉しそうにも見えるのが不思議。

問題は天狗党でしょう。

「外国を打ち払うなんて無理だ」という攘夷の限界点を、幕府(幕臣)はペリーの来航以前からわかっていました。

薩長側も【薩英戦争】や【下関戦争】で痛感している。ゆえに薩長の意向と、天狗党は無関係です。

しかし、何の意味もなく天狗党が死んでいったとするとまずいとでも思ったのか、家康に嘘の説明をさせたように感じます。

もしも本当に【天狗党の乱】が時代のターニングポイントになっていたなら、【大塩平八郎の乱】のように教科書に載っていることでしょう。

ただ……史実では大久保利通が「幕府滅亡のあらわれである」と指摘しています。

天狗党を厳しく処断したのが、慶喜だろうが、田沼意尊だろうが、そこは重要じゃない。問題は御三家、しかも斉昭の寵愛を受けていた天狗党を、幕府側がむざむざと殺した。

それに劇中ではわかりにくいのですが、慶喜は朝廷の許可を得て天狗党を討伐しようとしています。

こういう複合的要素から、大久保も「幕府は長くない」と察知したのかもしれません。

しかし本作はその辺をぼかす。慶喜が倒幕に向けてオウンゴールをすることは、ドラマでは別の理由にすり替えられるかもしれません。

 

英仏の代理戦争

さて、そんな幕府はフランスと協力しようとしています。

小栗忠順には秘策がありました。会社を作り、製鉄所も作る。コンパニーを作ると説明される。となると、金に強い奴(栄一)が必要だという誘導ですね。

この後、小栗忠順の悲劇的な結末も出てくるのかどうか気になります。

栄一は慶喜にお目通りをして訴えます。

募兵業務をまたやりたい。恩義をアピールしながら、公儀に侮られぬ兵隊を作りたいと言います。

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栄一は軍制御用掛、歩兵取立御用掛に任命。かくして栄一は募兵ツアーに出発します。

一橋領へ行くと、親切な埼玉清兵衛が出てきました。

スピーチに取り掛かる栄一。

それをだらけきった表情で気もそぞろな百姓たち。

そのころ英国からはハリー・パークスが来日し、海外事情が説明されました。

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幕末日本は英仏の代理戦争めいた一面があります。

日本が植民地にされなかった理由は色々ありますが、やはりイギリスの思惑は大きい。

ロシアを牽制するためには、日本を植民地にするより同盟国にした方が役立つ。【日露戦争】でそれが証明されました。

が、そういった解説までは踏み込まず、どういうわけか徳川家茂和宮のイチャイチャ場面が入る。

政治情勢を説明して欲しいと切に願うところではあります。

というのもこの先の【長州征討(長州征伐)】は幕末の決定的イベントとも言え、第一次と第二次があるにもかかわらず、本作ではいきなり第二次にまで話が飛んでしまいました。

第二次の準備中に家茂が陣没するから、わざとらしく和宮との別れを入れたのでしょう。

ではなぜ第一次を飛ばしたのでしょう?

ドラマではこう描かれています。

「長州がイギリスと手を結んで、幕府が不審に思ったから」

史実ではこうです。

「孝明天皇が【禁門の変】に怒りを爆発させ、幕府に強く長州を討てと迫る。なまじ孝明天皇の意思を背景に権力を握っていた慶喜は断りきれない」

つまり、孝明天皇と慶喜のオウンゴールを消した結果、こういう描写になっています。

【大坂の陣】を【夏だけ】描く大河ドラマがあったら、きっと非難轟々だったことでしょう。それが幕末ならOKだとしたら、中々の珍事ではないでしょうか。

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