緑色に染められたシカゴ川 (2005年)/wikipediaより引用

アメリカ その日、歴史が動いた

セントパトリックスデーはなぜ川が緑色になる?聖パトリックの生涯を振り返る

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聖職者というと、何となくか弱そうな人をイメージしませんか?
おそらくインドアなお仕事だからだと思うのですけれども、ところがどっこい、ン百年単位の昔だとそうとも限りません。

神や仏の教えを広めるために、いくつもの国を渡り歩いたり海を越えた僧侶の話というのもよくあります。
今回は活動範囲としてはそう広くないものの、「よく考えたら身体能力ぱねえ」な、とある聖職者のお話。

3月17日は、欧米で「セントパトリックスデー」というキリスト教の聖人のお祭りをする日です。

そもそもの由来は、461年のこの日に聖パトリックが亡くなったからと言われております。

ラテン語だと”パトリキウス”、アイルランドだと”ポーリク”などいろいろな読みがあるようですが、おそらく一番通りがいいであろう”パトリック”で統一させていただきます。

 

アイルランドの海賊に連れ去られ羊飼いになる

パトリックは、現在のイギリス・ウェールズ地方でクリスチャンの家庭に生まれました。

品行方正に暮らしていましたところ、16歳のときアイルランドの海賊に連れ去られ、アイルランドで羊飼いとしてこき使われるようになってしまいます。

羊飼いというと、どこかノンビリしたイメージがあるかもしれませんが、羊の群れを率いてあちこち旅するので、実は結構な重労働です。
仕事の内容上独身男性に限られるため、農家の次男や三男がなることが多かったとか。

それでも足りないときは、おそらくパトリックのように無理やり連れてこられていたのでしょう。ひでえ話だ。

このハードな仕事で足腰が鍛えられたことにより、パトリックは重労働の日々を脱することができます。

あるとき彼に「お家に帰りなさい(´・ω・`)」という神のお告げが下り、パトリックは雇い主から逃げることに成功したのです。

一説には、300キロもの距離を歩いたともいわれています
。アイルランドとウェールズの間には海がありますので、どこかで船に乗ったことは間違いないのですが、よく海賊に見つからなかったものですね。神のご加護かな。

 

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大陸で神学を学んだかと思ったら再びアイルランドへ

無事我が家に帰ることができたパトリックは、神への信仰をより強めました。

そりゃあ奴隷生活から逃げ出せたキッカケになったのですから信じますよね。そして神学の道に進もうと思い立ち、大陸へ渡って7年間学びます。

そこで普通の人ならそのまま地元で聖職者になるところでしょう。

さすがに聖人となるほどの人は違いました。
なんと「アイルランドに神の教えを広めることが、私の使命だ」と考え、かつてこき使われまくったアイルランドへ再び向かったのです。

今のアイルランドはカトリックが多数派になっていますが、パトリックの時代にはドルイド教という別の宗教が信仰されていました。
自然を崇拝する多神教の一つで、ドルイドと呼ばれる聖職者を中心としたものです。ものすごく大雑把にいうと、仏教の輪廻転生と神道の自然観・多神をあわせたような感じになっています。

また、自然と関わることからドルイドは薬草などの知識=医学やや天文学にも通じており、大きな権力を持っていました。

 

「処刑しろ!」だったのがナゼか「信じます」

そのドルイド教を何とかしないとキリスト教を広めることはできなかったわけですが、パトリックはこれを比較的平和な手段で解決します。

ドルイド教で「火を使ってはならない」と決められた日に、丘の上という目立つにも程がある場所で焚き火をしてみせたのです。

つまり「この日にこんなことしても罰は当たらないから大丈夫だよ!」と示したことになります。
神がついていると思えば怖くなかったのでしょうかね。とにかく、いい度胸してます。

もちろん、当時の王様は「俺たちの信仰をコケにしやがって! あいつを処刑しろ!」と怒ります。

そこで不思議なことが起きます。
パトリックと直に会って何故か怒りが収まり、キリスト教を信じる気になったとか。古代のこととはいえ展開がすげえ。

もしかしてパトリックの後ろで神様がスタンド状態になってたんでしょうか。なにそれこわい。

そんなわけで王様を味方につけることができたパトリックは、アイルランドの各地で布教を行い、信者を増やしていきます。

このとき三つ葉のクローバー(シャムロック)を手にしていたため、三つ葉のクローバーはパトリック及びアイルランドを象徴する植物になったとか。
三つの葉をキリスト教の「三位一体」になぞらえていたそうですが、よくそれで皆納得したな。

また、今でもシャムロックはアイルランド全域に多く映えているため、緑色がアイルランドを象徴する色にもなりました。

 

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まるでかき氷のメロンシロップ!

そして布教を成功させたパトリックは、12万人もの信者を得ることに成功した後、穏やかに息を引き取ったようです。

聖人というと信仰を貫いてヒドイ目に遭って殺された人が多いので、平穏に最期を迎えられたというのも珍しい気がしますね。
教会を建てたり賛美歌を作ったりと、結構多才な人だったらしく、アイルランドの基盤を作った人という見方もできます。

そのためか、いつしかパトリックはアイルランドの守護聖人とみなされるようになりました。

聖パトリック像/photo by Deadstar 
wikipediaより引用

アイルランドでは彼の命日にお祭りをするようになりましたが、祝日になったのはごくごく最近の1903年。
以来、地元アイルランドやアイルランド系の移民が多い国で盛大に祝われるようになっていきます。

一番有名なのはアメリカ・シカゴのシカゴ川を緑に染めてしまうというものでしょうか。
画像で見ると、まるでかき氷のメロンシロップですが、毎年やってるあたり好評なようですね。

シカゴではアイルランド系の人が一番多いので、伝統化しているようです。

緑色の何かを身につけたり、飲食物を緑色に染めたりもします。
画像検索すると……うん、ダイエットに良さそうデスネー。食欲が失せる的な意味で。

日本でもセントパトリックデーにちなんだパレードを行ったり、アイリッシュパブで割引をするところもあるとか。
日本人の感覚としては、緑色の食べ物や飲み物よりは割引のほうがありがたいかもしれません。たとえ味が普通であっても、染料ですし(´・ω・`)

本日、外食や飲みに行かれる方は、アイリッシュ系のお店に行くとちょっと得をするかもしれませんね。

長月 七紀・記




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【参考】
聖パトリックの祝日/wikipedia
パトリキウス/wikipedia

 



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