明治・大正・昭和時代 その日、歴史が動いた

始まりは太平洋戦争の真っ只中だった「母子健康手帳」の意外な歴史

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1942年(昭和十七年)7月13日は、母子手帳の前身となる「妊産婦手帳」が実施された日です。

戦時中というのが意外ですが、当時は福祉事業というものではありません。

「一夫婦につき5人は子供を産まんかい!」
という政策のために定められたものでした。

ただ、妊娠・出産・保育に関しての制度が整えられたのも、このときのお陰なんですけどね。
目的はともかく、結果としては良い方向へ進んだのではないでしょうか。å

 

プライベートなことになぜ国が口を挟む?

妊産婦手帳を持っていれば、物資が優先されることもありました。
また「定期的に病院へ行くように」といったことも書かれていたようです。

これまた意外に(?)、割と丁寧な文体で書かれています。

「日光によく当たり、程よく運動をして良く眠り、心身ともに元気でいて下さい。激しい仕事は避け、大掃除や引越しなどの歳も気をつけること」
といった感じです。

お上の出す文書なんて、どうせ偉そうな口調だろう……と思っていたら必ずしもそうではないんですね。先入観でスイマセン。

基本的にカタカナ書き・旧字が多いので今の人には読みにくいのですが、一度読んでみてもいいかもしれません。

当初の目的が将来の兵を確保するためとはいえ、「国家が国民の誕生以前から関わる」というのは、世界的にも珍しい制度でした。
そのためか、戦後GHQによってアレコレ制度が変えられた後も、妊産婦手帳は
「母子手帳」
「母子健康手帳」
と名前を変えて残ります。

児童福祉法や母子保健法など関連する法律も整えられ、現在も妊娠中や出産後のお母さん方にとって欠かせないものとなっているのは皆さんご存知の通りです。

ちなみにGHQに妊産婦手帳の話をしたとき、
「妊娠はプライベートな出来事なのに、何で国家に届けるんだ」
と言われたこともあったとか。

これに対し、日本側は
「いやいや、きちんとケアを受けてもらうためには国に教えてもらうほうがいいじゃないですか」
と言い返したのだそうです。

考え方の違いが伺えますね。

 

予防接種の履歴は進学・留学などで求められることも

現在の正式名称は「母子健康手帳」です。
が、日常では「母子手帳」と呼んでいる方が多いかと思いますので、以後こちらの名前で統一させていただきますね。

母子手帳は、お子さんが幼稚園くらいになると「もういらないかな?」と思われる方が多いようですが、実は一生とっておいたほうが安心なものです。

理由は、予防接種の履歴が書かれているからですね。
どの病気の予防接種を受けたかは何となく覚えていても、細かい日時までははっきりわからない人のほうが多いです。

しかし、進学や留学などの際、それらを確かめるために提出を求められることがあるのです。

ある意味、年金手帳より大事かもしれません。
年金手帳は再発行してもほぼ同じ情報が得られますが、母子手帳に書かれている情報は、予防摂取を受けた病院でなければ持っていませんので。

これ、あまり知られていないようで、ちょっとググってみただけでも「そんなときに必要になるの!?」とびっくりされている方がたくさんいらっしゃいました。
こういう情報こそ、もっとお上が広めるべきだと思うんですけど、なぜどこにも書いてない?
細かすぎて読みにくいところに書いてあるんでしょうか。

それとも、最近はいろんな会社が母子手帳を作っているため、表記が統一されていないのでしょうか。
そういうのも少子化対策の一環だと思うんですけども。

まあお偉方へのツッコミはその辺にしまして、最近は「ウチの国でも母子手帳を始めようじゃないか!」という国が増えてきているようです。

 

インドネシアでは全土で使われ、他にも中東各国へ

最初に「これだ!」と目をつけたのはインドネシアの医師で、1989年から手帳の配布を始めました。

字が読めない方も使えるように、A5版でイラストを多用し、今ではインドネシア全土で使われているようです。
1994年までは日本もODAの一環で後押しをしていました。その後は日本人の方が二人ほど、個人的に支援をしているとか。

他にも、パレスチナやヨルダン、イスラエルなどへのODAにより母子手帳が採用され、少しずつ輪を広げています。

残念なことに、近年の事件や騒動によって嫌なニュースでお目にかかることの多い国々ですが、日本とはこうした点で繋がっていたんですね。

世情が世情なので、現地では母子手帳のことを「命のパスポート」と呼ぶ人もいるとか。
予防接種を受けたことがあるか、どんな病気にかかったことがあるかがすぐわかれば、もしかかりつけの病院がなくなってしまって別の病院に行くことになったとしても、すぐに対応できますからね。

将来的にはアフリカ全土での普及も考えているとのことで、日本発の福祉制度が大陸一つ分の人口に関わるかもしれません。
アフリカでは「こうすれば病気が治る!」という迷信によって犯罪が起きたり、殺されてしまう人も多いですから、病気に対する正しい知識を広めるためにも使えますね。

広い意味での平和活動といえるでしょう。

長月 七紀・記

【TOP画像】愛育ネットより引用

【参考】
母子健康手帳/Wikipedia
国立保健医療科学院
母子手帳で見る育児 今昔
Mama's note

 



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