英国軍が緒戦で大苦戦のズールー戦争/wikipediaより引用

アフリカ

槍と盾で近代イギリス軍を殲滅させた「インピ」が凄い!ズールー族のシャカ伝説

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戊辰戦争の始まりとなる、1868年、鳥羽伏見の戦い。

近代兵器の圧倒的な力に完敗した新選組や幕府軍が「もはや槍や刀で戦う時代ではない……」と嘆息したのは有名な話です。

しかし、そのおよそ十年後。
火器もろくに持たず、槍と棍棒、そして牛革の盾だけの一団が、近代兵器バリバリの英国軍相手に大勝した戦いは、皆さん、ご存知ないかもしれません。

南アフリカにおけるイサンドルワナの戦い(1879年)――。

ズールー戦争の緒戦となったこの戦いで、英国軍はズールー族の奇襲に為す術なく壊滅。
第24歩兵連隊に属する6個中隊・合計602人が皆殺しにされたのでした。

 

見た目は原始的ながら合理的な戦いに徹する

英国軍を打ち破ったのは、南アフリカで暮らしていたズールー族の戦士「インピ」たちです。

派手な髪飾りにネックレスといった装飾品をのぞけば、腰みのだけをつけたほぼ半裸。
靴すら履かず裸足です。

ズールー族のインピ・その戦闘スタイル

前述の通り、武器は槍と棍棒、防具は牛革を張った巨大な盾のみ。
一見すると原始的にすら見える彼らに、なぜ火器で武装した英国軍が圧倒されたのか。

実はこのインピたち、装備面以外は、ほぼ近代軍に近い先進的な集団だったのです(以下はその再現映像です)。

インピの外見は、合理性や緻密な戦略からはほど遠いように見えます。
彼らは魔術の薬を使えば弾丸を防げると信じ、防御にはまるで役に立たない羽根飾りをつけているのです。

しかし、そんな外見とは裏腹に、彼らは合理的な戦術に基づいて行動していました。

 

一日32kmを踏破 英国軍の倍のスピードだった

インピの戦士は40才まで。
18-20才になるとズールー族から徴兵され、兵舎での共同生活を送ります。
まさに職業としての軍人というわけです。

彼らは「連隊」単位で行動するよう義務づけられ、派手な装飾品も連隊ごとに色分けされていました。
戦士の一団は年齢ごとに分類されているため、同程度の身体能力のものが集まります。

その身体能力は極めて高いものでした。
脱げやすいサンダルは履かずに、厳しい訓練の成果でガチガチになった裸足で、一日32キロメートルを踏破。これは当時の英国軍のおよそ倍のスピードにあたります。
食料は掠奪に頼っており、輜重部隊がないことも行軍速度の高速化の一因となりました。

「信賞必罰」が強い軍隊には必要とされますが、インピも例外ではありません。
ライバルの戦士同士が切磋琢磨しあいました。
「敵の血で槍を洗った」、つまり敵を殺した者は、最高級の頭飾りを身につけることができました。

勲章のようなシステムであり、彼らの誇りとなったでしょう。

 

密集した陣形「牛の角」と諜報を巧みに使い

また、彼らは「牛の角」と呼ばれる合理的かつ密集した陣形を用いていました。

「角」両翼の部隊(敵を包囲する)
「胸」中央突破部隊
「腰」中央で控える予備部隊

「インピ」は斥候を放ち、ジックリと遮蔽物を利用しながら敵に近づき、射程距離まで来ると「投槍」や「掠奪した火器」で遠距離攻撃をしかけ、相手が崩れたところで一気に突進します。
彼らの軍事行動は合理的であり、優れた戦術を用いていました。

諜報も彼らの強い味方です。
降伏した敵兵や斥候に主力部隊を煽動させ、敵に奇襲を仕掛けるのです。
イサンドルワナの戦いも、彼らは奇襲攻撃により勝利したものでした。

確かにこれは、強いでしょう。
そして何より重要なことは、彼らが、かつて強力な指導者に率いられていたことです。

その名はシャカ。
イサンドルワナの戦いから遡ること約100年前。彗星の如く現れた軍事指導者によってズールー族の戦術は一変し、南アフリカに一大勢力を築いたのでありました。

 

「虫けら」と呼ばれた少年

1787年、アフリカ南部。
この年、ランゲニ族長の娘・ナンディが妊娠しました。

彼女はまだ未婚でした。
ナンディは、未婚者同士の性的な戯れの中で妊娠してしまったものと思われました。
当然のことながら父親が誰なのか、議論になります。

その相手とは、隣接するズールー族の首長・センザンガコナでした。
ナンディはセンザンガコナの第三夫人として数年過ごしますが、のちに賠償金である50頭の牛とともに、実家へ戻されました。

センザンガコナはかつて、ナンディの妊娠について「あの娘の腹の中にいる甲虫が、月経を止めたんだろう」と言い捨てました。
望まない妊娠だったんでしょう。
そのため、産まれた子は「シャカ」、甲虫という屈辱的な名で呼ばれることになるのです。

母方のランゲニ族の村で、シャカは周囲からのけ者にされ、いじめられていました。

「やーい、虫けら! 父なし子!」
「お前の母ちゃんはアバズレだ!」

そんな苦境の中、母ナンディは我が子シャカを飢饉や暗殺の危険から、必死で守り抜きました。
シャカは自分を庇う母親に敬愛の念を抱くとともに、いじめた者たちには深い憎悪を抱いたのです。そして……。
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