イギリス海軍の歴史

トラファルガーの海戦/wikipediaより引用

イギリス

海賊行為で世界を制覇!イギリス海軍の歴史が凄まじくてガクブルしかない

こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
イギリス海軍の歴史
をクリックお願いします。

 

ジャック・スパロウの時代へ

時代がくだるにつれ、イギリスはじめ各国で海賊への考え方が変わり始めます。

【流石にこれ以上ヨーロッパ近海を荒らすのはいかがなものか】

どうせやるなら、目の届かないところでやれよ、ただし分け前はこっそり寄越せよという方向に……。

【海軍の発展】

エリザベス1世の時代頃までは、海軍の整備が進まず、民間船が戦うほかありません。

ところが17世紀後半ともなると、世界最強とうたわれる英国海軍が整えられてゆきます

「英国海軍の父」とされる人物が、サミュエル・ピープスです。

サミュエル・ピープス/wikipediaより引用

偉大な人物ではあるのですが、エロ本を買いあさっただの、エッチなことをしただの、そういうことを書き留めた日記が有名になってしまったのでした。

そのため「ピープス? ああ、あの恥ずかしい日記の人ね!」なんてことに。

しかも本人は、恥ずかしいと自覚していたのか、暗号を使っていたというのが切ない話です。

バッチリ解読されましたけどね!!!

いや、まぁ、ロンドン大火の記述もありますし、史料価値は高い日記なんですよ。

黒歴史的記述があるだけで。

邦訳もありますので、ご興味があれば是非にでも。

【航海技術向上】

航海技術が発展し、地球の裏側であるアメリカ大陸まで向かうことができるようになりました。

しかもアメリカにはおいしいものがある!

【新大陸は儲かるぜえーッ!】

海の向こうには、ヨーロッパ人にとって利益の大きなものがたんまりありました。

アフリカから黒人奴隷を売り払えばウッハー!

新大陸から銀を掘り出したスペイン船を襲えばヒャッハー!

そこにビジネスチャンスがあったのです。

こりゃもう地球の裏側までレッツ海賊しようぜ♪ というわけで、海賊のグローバル化。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』時代の到来というわけです。

ジャック・スパロウがどうして海賊をしているかって?

そりゃあ、儲かるからですよ!

 

ああいう映画では、ファンタジックな財宝が出てきますよね。

大物海賊が金銀宝石をたんまり隠している――そんなストーリーですよね。

しかし、史実はそうじゃありません。

海賊が目を光らせて狙ったお宝は、自国以外の商船が運んでいる銀や黒人奴隷なのです。

銀を満載した沈没船があろうものならば、今こそ稼ぎ時だとばかりに、海賊船が集まりだしました。

では、こうした海賊になるのはどんな人たちなのか、ご想像つきます?

冒険心ゆえ?

海賊王になりたい?

ヒャッハーしたいワルだから?

そういう理由もあるでしょう。

しかし、最大の目的は生活手段。いわば出稼ぎ感覚です。

海賊は危険極まりないもの。船が沈むかもしれませんし、戦闘だってマジの殺し合いです。さらに当時は壊血病という深刻な問題もありました。

大航海時代に船員を殺しまくった「壊血病」 解決したライム野郎って?

続きを見る

それでも、陸の上でジッと貧しさに堪えるだけでは何の展望もない。

『ならいっちょ、海賊戦で一攫千金を狙ってみるか!】

要するに、海賊はロマンに溢れる荒くれ男というよりも、金がなくてどうしようもない男たちだった……そんな切ない事情があったわけです。

 

女海賊だっていた!

ちなみにこうした海賊には、黒人やムラートも含まれていました。

白人男性だけが海賊だと思うのは、大間違い。

女性だっておりましたよ!

女性海賊は、後世想像力を刺激しました。

中でも有名なメアリ・リードを主役とした小説を、フランス人作家のミレイユ・カルメル氏が手がけております。

※邦訳もあります

このシリーズにもう一人登場する女性海賊が、アン・ボニーです。

この二人こそ、女性海賊として最も知名度が高いと言えます。

『大航海時代V』、『Fate/Grand Order』、『アサシン クリード IV ブラック フラッグ』、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』といったゲームでもおなじみ。

『ONE PIECE』のジュエリー・ボニーは、アン・ボニーをモデルの一人としているという推察もあるほどです。

メアリ・ハーリー、メアリ・クリケットという女性海賊も、史料に名が残っています。

メアリー・リード/wikipediaより引用

さて、リードとボニーですが、その人生は対称的です。

二人とも裁判にかけられ、投獄され、死刑宣告をされたところまでは同じです。

しかし、妊娠中で刑は執行されませんでした。

リードは1721年に獄中死、ジャマイカで埋葬されています。

ボニーは消息不明とされてきましたが、近年、彼女らしき足跡が明らかになりました。救い出されて出産。後に別の男性と結婚し、実に8児の母となったのです。

サウス・カロライナに残る彼女の死亡記録は1782年。

なんと84歳という、当時としては驚異的な長寿を全うしたことになります。

アン・ボニー/wikipediaより引用

彼女たちは、記録に残ったためその存在を確認できます。

『女海賊大全』という、彼女らについてまとめた本もお薦めです。

危険な海賊船や戦艦に乗りこんだのは2人だけじゃない――近年、そんな見方が出てきております。

海軍や陸軍にも、男装して入り込んだ女性がいたのです。

しかも、洗濯や食事の用意をしていただけではなく、戦闘においても参加したことが判明して来ております(BBC)。

戦った勇敢な女性たちの歴史は、今後ますます明らかにされていくことでしょう。

陸軍にも、男装した女性軍人がおりました。

ナポレオン戦争時、ロシア軍騎兵将校として活躍したナジェージタ・アンドレエヴナ・ドゥーロワ。

ドゥーロワ/wikipediaより引用

彼女は『女騎兵の手記』を刊行しております。これも邦訳が出ています。

追っかけから始めて何が悪いの?『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』

続きを見る

シェイクスピア史から無視されがちだった女性を追った好著はこちらのレビューで。

そこにいた女性たちは、歴史から消去されがちな存在であるのです。

 

英国海軍は最強、そして最悪だ!

資源に限りある島国でありながら、地球の裏側まで掠奪を行い、懐を潤してきたイギリス。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでは、ちょっとマヌケな英国海軍ですが、海賊の活躍が翳りを見せ始めると同時にメキメキと力をつけてゆきます。

海賊が海軍に変わったのであれば、掠奪は下火になったのか?

いえいえ、そんなことはありません。

彼らは、自国民すら脅したりするのですから恐ろしいものがあります。

19世紀初頭に廃止されるまで、イギリス人男性は海辺にいる時は警戒しあったものです。

それはなぜか?

「イヤッハー、海軍だぜぇ! オラオラ、戦艦に乗れぇーッ!」

そう脅しながら、善良な市民を戦艦にまで連行する危険極まりない奴らがいたからなんです。

海軍?
海賊じゃなくて?

海軍です(`・ω・´)ゞ

正確に言うと「強制徴募隊」と言い、英語だと“Press-gang”(プレス・ギャング=無理矢理連れて行く悪党ども)という呼ばれ方ですね。

自国民からギャング呼ばわりされる英国海軍とは一体……。

彼らは基本的に志願者から水兵を募ってはおりましたが、どうしても不足するわけです。

そこで用いた手段が、

・海沿いから人をかっさらうこと

・アメリカ船からかっさらうこと

でした。

プレス・ギャングを描いた一枚/wikipediaより引用

しかも、対象者は大人だけではありません。

6歳以下の子供は「海軍少年水兵火薬運搬係(パウダーモンキー)」と称して、戦艦に乗せられました。

「路上で物乞いになるよりも、寝場所と食べ物があるだけマシだろう」

そんな考えのもと、少年福祉扱いですらあったのですから、恐ろしいものがあります。

あるいは戦艦上の女性たちも、パウダーモンキーや看護士扱いされることがありました。

戦艦の勤務は、大人でも子供でも辛いものでした。

1789年のバウンティ号のように、反乱が起こったことも少なくありません。

バウンティ号/wikipediaより引用

子供がいたのは、なにも水兵だけではありません。

士官学校ができる以前、陸海軍ともに中学生くらいから士官として軍務に就くことがありました。

イギリスの場合、陸軍の階級は金銭で取引することが主流です。

そのため、陸軍士官は比較的裕福なアッパークラスの二男以下が多いものでした。

ウェリントン公ことアーサー・ウェルズリーも、そうした典型例です。

初代ウェリントン公爵/wikipediaより引用

一方で海軍は、階級を金銭では取引しません。

そのため、アッパーミドルクラスの二男以下が多くなりました。

12歳で士官候補生として戦艦に乗り込んだホレーショ・ネルソンも、実はその一人です。

ホレーショ・ネルソン/wikipediaより引用

ネルソン時代の英国海軍を描いた『マスター・アンド・コマンダー』の日本版。

その宣伝で、幼い士官候補生の受難をことさら強調したため、

「ちゃんと歴史を調べて! そのくらい当時はよくあることでしょ!」

と、ブーイングを浴びました。

そうなのです、気の毒とはいえ、そういうものでした。

※続きは【次のページへ】をclick!

次のページへ >



-イギリス