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【ジル・ド・レ】
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悪魔に子供を捧げれば失った財産を取り戻せる
ジルは、フランス西部ナント近郊に位置するティフォージュ城に引きこもりました。
芸術には理解があるせいか、使用人を着飾らせ、美しい歌声を響かせる聖歌隊を作り、その豪華な制服をデザインします。
フランス屈指の資産家であったジルは、潤沢な資産をこうした浪費によって溶かすのです。
やがてジルは黒魔術にのめり込むようになりました。
戦友ジャンヌを奪った世間に対し絶望し、黒魔術に救いを求めたのか。
失った財産を錬金術で取り戻そうとしたのか。
はたまた祖父譲りの邪悪な魂が目覚めてしまったのか。
理由は定かではありませんが、心を奪われていったのは間違いありません。
そして……。
「悪魔に子供を捧げれば、失った財産を取り戻せますよ……」
黒魔術師からそんなことを吹き込まれたジルは、ついに殺人に手を出すのです。
芸術的センスは歪んだ方面に発揮され
最初の殺人は、1432年から33年の春にかけてのことでした。
城に使いとして来た12歳の少年を手に掛けます。
その後もジルは、少年少女を殺し続けますが、主に対象となったのは少年で、犠牲者は性的な虐待まで加えられたのです。
やり口は変態そのもの。
犠牲者を着飾らせ、豪華な食事を与え、油断しきったところを愛撫し、そして殺す――。
彼の芸術的センスは歪んだ方面に発揮され、殺人をも絢爛に演出したのでした。
「城に出かけた子供たちが戻って来ないぞ……」
やがてティフォージュ城の近辺には恐ろしい噂が流れ始めました。
殺された子供たちの親は衝撃と失意に苛まされますが、しかし誰も領主のジルを疑いません。
高い地位にある誇り高き騎士。教養に溢れ芸術的センスに恵まれた超人。
しかも戦争で活躍した救国の英雄です。
まさか彼が破廉恥な所業を行っているということは、人々にとって信じられないことでした。
悪い噂は全て、ご領主様を妬んだ者による中傷だろう。
それが人々の出した結論だったのです。
しかし……。
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