『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ視聴率 第41回「新しき国へ」

まずはこちらのニュースから。

◆鈴木亮平“西郷ロス”はなし 大河「西郷どん」撮影終了「生ききった」(→link

クランクアップおめでとうございます。
鈴木亮平さん、お疲れ様でした。

本作の『西郷どん』は、ハッキリ言って駄作以下としか思えませんが、それは鈴木さんのせいではありません。

彼はむしろ被害者でした。
キャリアに暗雲が立ちこめないことを祈っております。

大河は、低視聴率が主演のせいにされがちです。
そうならないことを本気でお祈りしております。

【TOP画像】
『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』(→amazon

 


西郷どんクランクアップで注目ニュース

本日は、続けて何本かのニュースも見ておきたいと思います。

◆「西郷どん」打ち上げに豪華メンバー スタッフが中指立てる(→link

ん? 中指を立てるとは穏やかではありませんね。
ちょっと深読みしたくなるなぁ。

◆西郷どん、大久保と帰郷 瑛太さん苦笑い「ヤジが…」(→link

今度は、野次だって?
何が起きてるんだよ。またまた深読みしたくなるなぁ。

◆西郷どん:「国父チャンネル」開設 久光が大暴れ? 喜怒哀楽コマ撮り動画も(→link

島津家現当主から、
「“国父”だなんて久光本人が言うのはみっともない」
という苦言を呈されていたのが……このザマです。

酷いです。
公式宣伝の酷さまで『花燃ゆ』を見習わなくてもいいのに、何をやっているんでしょうか。

最低幕末大河の薩長同盟は絆が深すぎる。
そういや先週は、西郷もこれみよがしに【デスおにぎり】を食べてましたね!

そんでもって『この公式やべぇなぁ』と思ったあなた!
正しいです。
あの過去大河の宣伝も振り返ってみましょう。

公式ボーイズラブ漫画を投入した『天地人』!
むやみやたらとスイーツ路線を推し、少女漫画化をしていた『江』!
「幕末男子の作り方」や「松下村メン」診断をはじめ、サンリオデザインのマスコットキャラクター・もゆるんを出していた『花燃ゆ』!

どうやら本作は【公式センスゼロの宣伝部門】でも、四天王を狙うつもりのようです。
すさまじく不名誉な制覇っぷりです。
何がスタッフを衝き動かしているんすかね。いや、動かなくなっちゃったから、そうなのか。

それでも、地元の企業には恩恵がある!
と、思いきや……。

◆「西郷どん」効果、地元企業の55%「ない」(→link

う、うん……このニュースも激しく既視感あるなぁ。

◆防府市がNHKに抗議 「花燃ゆ」台本変更で1億円以上かけた施設が注目されず(→link

◆花燃ゆ:銅像、やっと完成 寄付金不足で5カ月遅れ(→link

大河ドラマというのは、視聴率だけではないものでして。
クオリティや地元からの愛され方も大事なんですよ。そのことを、この「最低幕末大河薩長同盟」から学ぼう!!

 


一分あらすじ【久光をバカにし続けるノルマでも?】

廃藩置県でイライラした島津久光。
薩摩で花火大会をどどーんとやります。綺麗だね〜わあ〜。

政府では、不平等条約解消を目指し、岩倉使節団が出発します。
この使節団、当時から物議を醸したものでしたね。

西郷どんは、菊次郎を留学させたいと思い始めます。いいですね、新政府は、子息を留学させたい放題で。
戊辰戦争云々でブン投げていた政府のお仕事を始める西郷はすぐに嫌気がさいてしまい、さんざん小馬鹿にしてきた久光の前で泣き言を言い始めます。

こんな西郷どんにエールを送る久光が素晴らしい。そこだけはよかったと思います。
菊次郎の留学はどうでもエエから。

 


花火を打ち上げさせる久光が痛々しい

菊次郎が何かをしていると、大砲の音がしたと川口雪篷が慌てだします。
史実のエエ話を全部すっ飛ばされて、キスシーンだのこういうドタバタシーンで使われるだけの雪篷って一体何なんですかね。

音の正体は花火です。大砲と花火を間違えるんだ、へー。

これは史実準拠で、久光が明治になって新政府に対し、不満を募らせた挙句、打ち上げ花火をしたという逸話ですね。

それにしても、この逸話の扱い方、何かの罰ゲームですか?
演出担当者、大丈夫ですか?

久光が花火を眺めて凄みを出すとか、もっと素敵な描き方があると思いますけど、馬鹿げた顔芸をして怒鳴るばかりです。
この逸話に思い入れのあった青木崇高さんが気の毒でなりません。

◆青木崇高:西郷隆盛“英雄視せず”存在感 最後まで貫いた国父・久光の美学(→link

これは現当主も怒るわ。
すごいですね、薩摩大河なのに薩摩家現当主が不快感を表すっていうんですから。

ちなみに会津松平家現当主は『八重の桜』を、真田家現当主は『真田丸』を絶賛しております。
現当主が不快感を見せるというのは、よほどのことなのです。

 

不平等条約って、そもそも幕府のせいなの?

このあと、ナレーションで廃藩置県後の政策について、さらーっと明治の事情を説明します。
まあ、実際やらかしたさまざまな不祥事は、サクッとカットしていますけどね。

ここで大久保利通が、不平等条約を改めると言い出すわけですが。
これも、マッチポンプ感があるんですよね。

幕臣である岩瀬忠震らが締結した時点ではそこまで不平等でなかったのです(以下、関連記事)。

岩瀬忠震
実はアメリカを圧倒していた幕臣・岩瀬忠震の何が凄い? 日米修好通商条約の真実

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それがどうして悪化していったか?

攘夷という外国人相手のテロが頻発したせいです(以下、関連記事)。

幕末の外国人は侍にガクブル~銃でも勝てない日本刀がヤバけりゃ切腹も恐ろしや

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「うちの国民を殺してどういうつもりだ!」
と、幕府がつけ込まれたわけですね。

それを攘夷をやらかしていた側が、
「幕府は弱腰だ!」
と批判していたのですから、もうね……。

攘夷といえば、特に長州が無茶しまくってきたワケで、それが自業自得で戻ってきただけなのに、完全に幕府のせいという。

 


ヤンキーたちが薩長閥の台頭に怒っております

岩倉使節団の話を皮切りに、一気に不満を爆発させる大隈重信や板垣退助。
ヤンキー漫画っぽく、薩長閥の台頭に怒り、使節団の留守中に何かやろうと画策しています。

まあ、これだとこの人らが悪いようですが、岩倉使節団もいろいろ愉快な失態をやらかしていますからなあ。

岩倉使節団
実はトラブル続きで非難された岩倉使節団 1年10ヶ月の視察で成果は?

続きを見る

ここで西郷どんと大久保タイム。
こんな奴に頼っているから、大久保はダメなんじゃないかという気持ちが湧いてきてなりません。

大久保は「使節団が頑張って日本を異国に認めさせるんだ」というわけですが、認められるどころかイギリスで詐欺にあって大金を失うという、なかなか愉快なオチが待っているんです。

以下の記事リンクにもその記述がありますんで、よろしければ一読どうぞ。

岩倉使節団
実はトラブル続きで非難された岩倉使節団 1年10ヶ月の視察で成果は?

続きを見る

この岩倉使節団の話が、西郷家に届きます。
政府の話に、いちいち薩摩家族の反応まで挟んで中身を薄っぺらくする罰ゲーム、もうやめていただきたいです。

どうやら菊次郎の留学話を美談にしたいようで。

菊次郎がここで「どげんすればよか」と聞いてきますが、いや、んなもうどうでもエエがな。いちいち子役を挟んで、数字を稼ぐのはやめてくれ。
ドラマとしては、もう出てこないでくれとしか思いようがないです。

 

使節団では負け組の娘たちも海外へ

岩倉使節団には、山川捨松や津田梅子ら、女子留学生も同行しています。
この女子留学生たちは、幕臣や佐幕藩出身者ばかり。

菊次郎の留学が今日美談として扱われていますが、明治政府のお偉いさん方は、男子ならばともかく、女子は嫁に出すわけだしリスクがあるからと留学させないで、負け組にやらせたんですね。

軽いノリで女子を留学させたとしか思えないわけで。
実際に、彼女らは帰国後ブン投げられて、苦労をする羽目になるわけです。

以下の記事で詳しく触れられてます。

明治維新後の江戸と大奥
近年の幕末大河で触れない不都合な歴史~江戸の街や大奥は明治維新でどうなった?

続きを見る

教科書通りの綺麗事ばかりじゃない。
そういうことを知っていると、
「へえ〜、自分たちの男子だけは優遇して留学させるって、美しい話ですねえ〜(ケッ)」
という気分になれますよ。

そしてこのあと、久光の八つ当たりタイム。
異国の猿真似ばっかりして、と不満そうで、まるで島津久光をバカだと言いたいようです。

これは久光にも言い分があり、実際のところ、日本中で似たような不満はくすぶっておりました。

他ならぬ西郷隆盛自身が、
・西洋の真似ばかりではいけない
・東洋的な価値観と道徳が必要だ
と考えておりました。

 


長屋で明治の歴史を進めるんかーい

東京では、村田新八が出世しておりました。

まだ長屋で暮らしているんですね、西郷どん。
こういう西郷どんの長屋で説明セリフだけで、明治の流れをやるわけですか。

桐野利秋が香水をしている描写は、細かくていい。
よいのはそこだけですね。

それにしても、大隈や板垣のセリフを思い出すと、なかなか複雑ですよね。

こうやって、西郷どんの口利きだの、そういう身内可愛さ身内贔屓で、重要ポストを占めている話を美談にしているわけですから。

薩長土肥の土肥はまだマシ。
幕臣だの佐幕藩の人々は、北海道開拓ワクワクチャレンジ(ヒグマとの死闘つき)だの、失業ライフだの、餓死寸前だの、ひどい目にあっていますからね。

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今年は、明治維新150周年という記念すべき年のはずです。

それが、薩摩閥がアホみたいな長屋トークで、おいしいポジション独り占めしてウキウキだって? いや、もう、どういう嫌がらせでしょう。

 

だから相撲と皇室は関わり深いんですって

このあと、明治天皇相撲を勧める意味不明すぎるシーン。

「えーっ、天子様が相撲なんて!」
というリアクションがマヌケすぎて、気が遠くなりそうです。

もしかして、相撲は、皇室とゆかりが深いということすら知らないとか?
明治天皇自身も、相撲好きだったんですよ。

相撲の歴史
相撲の歴史は意外の連続~1500年前に始まり明治維新で滅びかける

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ついでにいうと、明治初期って相撲最大の危機なんですよ。

ああいう裸体で取っ組み合うなんてとんでもないから、やめようという流れになりまして。
そこを皇室ゆかりということもあって、おさまった部分もあるわけです。

あの、本作制作チームのみなさん。
日本史の勉強をしてドラマを作っていますか?

西郷どんと島津斉彬の相撲場面も、時代考証的にあまりにデタラメすぎて酷いと不評でした。

今度は、天皇を利用しておきながら、天皇のことすらろくに調べていない、本作スタッフの不敬ぶりにビックリ仰天です。

八重の桜』における孝明天皇松平容保との描写と比較すると、悲しくなってきます。

ここは一応、相撲アピールで、明治天皇にも好かれちゃう西郷どんスゴイねー、というアピールらしいです。
あ、ちなみに薩摩藩って、明治天皇の養育係を殺害していました。

田中河内介
明治天皇の恩人・田中河内介の殺害事件は幕末薩摩で最大のタブーだった

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