こんばんは、武者震之助です。
先週、私は見落としてしまいましたが、地図上にセントレア空港がある海岸線が現代のものというミスがあったそうです。
昨年のおむつ事件とは違い、うっかりミスではなくて事前準備していた地図が現代のものであったというのは準備不足を感じます。
以後このようなことがないよう、気を引き締めていただければと思います。
ちなみに今週の地図からはセントレアは消えていました。
◆NHK大河ドラマのワンシーンで「地図上にセントレア空港がある」と大騒ぎに(→link)
いっそ毎年、2016年ノブヤボマップの使い回しでもいいのに、と思ったりして。衣装やセットは使い回しているわけですし。
そしてこのタイミングで織田信長役が市川海老蔵さんと発表されました。出番はいつからでしょうか。
血糊や泥が生々しい桶狭間 戦闘シーンは昨年より上?
さて、今週は桶狭間の戦いです。
昨年の関ヶ原のように四十秒で超高速桶狭間してしまうのでははないか、と不安な方もいることでしょう。
井伊直盛をはじめ井伊家の面々は、楽勝の予感のためか少し気が緩んでいる様子です。
休んでいると、地響きのような音が聞こえて来て織田の軍勢がつっこんで来ます。この場面はなかなか迫力があります。
井伊谷で留守を守る次郎(井伊直虎)と千賀の元に、昊天宗建が敗報を持って走って来ます。井伊谷の人々は思わぬ事態に驚きますが、まだ彼らはその敗北の大きさを知りません。
今年は、アバンの二分間で大敗北を喫するところまでは終了。しかし、井伊の皆については肝心の生死がわからない状態ですから、ここで終わったとは言えないようです。
ここから桶狭間の回想となります。
今年の戦闘シーンは血糊や泥が昨年より生々しく感じます。殺陣もありますし、合戦についてならば現時点で昨年よりは上かもしれません。昨年はスポーツ的な描き方でしたからね。
この敗北の中、松平元康は愛妻・瀬名(築山殿)の言葉を反芻し、ピンチをチャンスととらえ、三河に向かうことにします。
井伊谷には負傷した将兵が運ばれてきます。
傷つき血にまみれた人々を、件名に介抱する次郎たち。負傷した父・奥山朝利を手当てしながら、なつは夫・小野玄蕃の生死を尋ねます。
玄蕃の死を聞き、なつと政次は静かに涙ぐみます。ここで大げさに泣かずにこらえるところがぐっと来ます。
特に小野政次がふっと皆に背を向け、目をうるませる表情が素晴らしいですね。
ついに『anan』の官能特集でグラビアを飾ってしまった高橋一生さんです。
序盤に盛り上がった亀派(井伊直親)と鶴派(政次)の争いは、鶴に軍配があがっているのではないでしょうか。まぁ、亀がサイコパス過ぎて鶴の不戦勝みたいなものかもしれませんが。
松平元康は岡崎城へ 「戻れてしまったのう!」
一方、駿府の今川氏真は父・今川義元と重臣の死を聞き、おろおろするばかりでまったく対応ができません。
現実逃避し家臣任せにして逃げ去ってしまう氏真ですが、とっさの対応ができないのは致し方ないところかもしれません。
この数年で、画面にすら出てこない国衆もあらかた今川家から消えてしまうおそろしい状況が待っているのです。
並の器量、いや平均値より上の人物であっても、ここで適切な対応はなかなかできないと思います。

そんな修羅場で唯一、好機をつかんだのが松平元康(竹千代→徳川家康)です。
元康主従はあっさりと岡崎城奪還という悲願成就を果たします。
主君に続き、石川数正が二年連続出演です。ここで「戻れてしまったのう!」としか言えない松平主従が、三河武士らしい素朴さがあってとてもいいと思います。気の利いたことを言わないからこそ、味があります。
昨年は、武田家滅亡後の天正壬午の乱において、爪を噛みうろたえながらも、真田の力も借りてうまく立ち回った徳川家康が、混乱の中において最大の受益者となる様子が描かれました。
旧武田領をおさめたからこそ、豊臣秀吉も無視できないほどの大大名になれたわけです。
こういう混乱の中で堅実に勝ち点をあげるところこそ家康の持ち味で、実のところ彼はとても優秀な人物であるとわかります。
家康は今川・武田・北条という東国の大大名の領地を、きっちりと自分の掌中におさめ強大化してきたわけです。
その家康が天下を取ることで、日本の政治の中心は西から東へと移ります。
そこまで考えてゆくと、桶狭間は実に大きな歴史上の転換点でした。しかし、本作の人物は誰もそこまで大きな転換点であるとは気づいていません。
白い布から覗かせる生首チラリの臨場感
次郎は奥山朝利を看病しつつ、父・直盛の生死を尋ねます。朝利は直盛を見失ってしまってわからないようです。
そこへ南渓が、直盛が戻ったと呼びに来ます。次郎があわてて駆けつけると、直盛は首だけで帰還を果たしていました。
ここで千賀は首にかけられた白布を取ります。
髪しか見えぬとはいえ、生首をチラ見せされる本作は、なかなか視聴者に厳しいものを突きつけてきます。ここで、直盛の首を持ち帰った奥山孫一郎(朝利の子、しのの兄)の回想となります。
敵に囲まれ逃げのびた直盛は、もはやこれまでと奥山孫一郎に介錯させて自害。その理由は、敵に討たれる屈辱を避けただけではありませんでした。
せめて若い孫一郎だけでも、自らの首を掲げて敵陣を突破せよ、と、自らを犠牲にしたのです。
あるいは見た目にはわかりにくいだけで、負傷や疲労のためもはや戦場を脱出できないと悟ったのでしょう。
主君に言われて素直に従った孫一郎ですが、この場が荒れなかったのは幸いです。
「主君の代わりにお前が死ねばよかったんじゃあ! のこのこと生きて帰るとはこの恥さらしがぁ!」
と、暴走隠居の井伊直平が怒り狂って孫一郎を鉄拳制裁しなくて本当によかったと思います。
千賀は、泣き叫ぶのではなく、愛する夫のひげを優しく整えるのでした。
生首はおそろしいものですが、彼女にとっては最愛の人なのです。井伊家の井戸の前で、父を思い出し泣き叫ぶ次郎でした。
この戦いで井伊谷が失ったのは十六名です。井伊の重臣たちは、誰一人として血縁の者を亡くしていない者はいなかったのでした。
井伊にとって桶狭間は悲劇であり、大打撃でした。とはいえ、その打撃の大きさが本当にわかるのはまだ先のことです。
次の宗主は? 直盛の遺言は意外な人物を指していた
直盛らの葬儀を終えた井伊谷の面々は、今後のことを話し合います。
直平は当然ながら直親を当主にしようとするのですが、奥山孫一郎が直盛から遺言を聞いていました。
直盛は戦の経験が豊富な中野直由を井伊家の後見人として立てるよう言い残していたのです。
直平は不満そうですし、直親本人の顔も一瞬悔しそうに歪みます。
小野政次は「経験不足の直親を混乱の矢面に立てることを避けたのではないか」と直盛の思いを察して説明します。
直平も直親を慰めますが、何か不穏な空気が漂いだした気がします。直盛というストッパーが外れてしまったような、嫌な予感がするのです。
この遺言に不満を持ったのが、孫一郎の父・奥山朝利です。
朝利は小野政次のように頭が回り、口も達者な政次はあやしいと睨んだのでした。
ノブヤボに譬えれば智謀平均50の世界である井伊谷では、70以上の人間は理解されないか、憎まれてしまうのでしょう。
石田三成、直江兼続、本多正信あたりでも、井伊家では使いこなせず死なせてしまいそうです。
政次は混乱に陥りそうな井伊家のため、粉骨砕身してテキパキと物事をこなします。
しかし中野直由や奥山朝利からすれば、「アイツ何でも口挟んで、好き勝手にしようとしているぜ」と思うわけです。政次が報われなさ過ぎて泣けてきます。
これがノブヤボだったら「この家は使えない能力値の武将ばっかりだけど、小野政次は割と使えるから大事にしよう」ってなるところなのに。
千賀は、戦死者の遺族に書状を書くという、心のケアを担当しています。
千賀自身も夫を失い辛い思いでしょうが、彼女は自ら悲しむ暇すらなくしてしまうかのように、書状を書き続けるのです。
当主妻のつとめは大きなものなのです。奥向きでの女性の役割を丁寧に描いているところには好感が持てます。
本作は女性主人公大河のひとつの見本になるのではないでしょうか。
ストッパー直盛がいなくなるや、暴走を始める奥山朝利
奥山朝利は、小野政次憎しで暴走しそうな予感を漂わせています。
直盛というストッパーが亡くなったからか、桶狭間の敗戦で心のタガが外れてしまったのでしょうか。
そんな朝利が不安で仕方ないのは、小野家に寡婦として残っている娘・なつと孫の亥之助の存在です。何としても憎い小野家から、娘と孫を取り戻したい朝利。
朝利から書状が届いた政次は、なつと今後について話し合うことに。
面倒くさいからすぐさま実家に帰れ、と言わない政次の温情を感じます。政次は、直親と違って、人の心がわかる性格なんですね。
政次から今後をどうするか聞かれたなつは、千賀からは小野家に残るように言われてもいるし、亥之助も小野家になじんでいるのでこのまま留まりたいと告げます。
政次は片手を額にあて、ちょっとうつむきます。そして顔を上げると、目が涙で光っているのです。
この自由自在に涙目にできる高橋一生さん、凄いです。
『軍師官兵衛』の家臣・井上之房役ではさほど印象に残らなかったのに、化けましたねえ。今年の演出や脚本が秀逸ということもあるのでしょう。
政次は涙ぐみながら、しみじみと「ありがたい言葉だな。亥之助は玄蕃に瓜二つだからの」とつぶやきます。
政次が弟・玄蕃のために嘆き悲しむ場面はごく短いものですが、その短い場面の中に想いをしっかりこめるのは見事だと思います。
このしみじみとした場面のあとに、邪推でヒートアップする朝利が映ったら嫌だなあ、と思っていると案の定です。
小野家から来た書状をベリベリと破り「守らねばならん!」と何度も繰り返す朝利の姿。これには息子の孫一郎も引いています。私もげんなりしました。
保護を頼まれても即答せず 南渓和尚、ちょい冷たくありません?
南渓和尚は安骨大導師(葬儀の手伝い)として駿府に向かい、妹の佐名の元を訪れます。庭では元康の嫡男・竹千代が遊んでいます。
佐名は井伊家の女性として、今川家の情報を兄に伝えます。
瀬名が事情通なのも、母の佐名ともども井伊のために働くという意識があるからなのでしょう。
この場面で佐名演じる花總まりさんが裲襠をすっとひるがえして歩く場面があるのですが、ほんの一瞬なのに気品があふれていて、これが宝塚の女帝の風格か、と見とれてしまいました。
今川家は「分裂し、弔い合戦どころではない」と佐名から聞き安堵する南渓。しかし、佐名はどこか暗く、浮かない表情です。
それというのも、娘・瀬名の夫である松平元康が、姑である佐名と妻子の瀬名&竹千代を駿府に置いたまま、三河に留まり続けているのです。
元康の三河駐留は、名目上では三河を守るためですが、旧領を手にしているからには叛旗を翻す可能性もあるわけです。いわば、かつおぶしの番を猫にやらせるようなものですね。
そうなれば、今川氏真は裏切り者の身内として、「佐名・瀬名・竹千代」を処刑することでしょう。
最悪の事態を恐れる佐名は、いざというときは瀬名と竹千代を井伊谷に保護してくれるよう頼むのですが、南渓は渋い顔をしています。
さんざん佐名に苦労をかけておいて、その佐名から頼まれたら嫌な顔をする南渓。この人、実は結構酷いと思います。
次郎は、夫の死を嘆く暇すらなく働き続ける母の身を案じています。
疲れて眠ってしまった母の机の下に、母からの自分宛の書状を見つけた次郎。少し迷いますが、中身を開けて読み始めます。
書状にあふれていたのは、千賀から見た直盛の優しい姿と、娘を溺愛する心でした。
井伊のために身を犠牲にする心は父譲りであると、千賀は次郎に優しく語りかけます。
生前の直盛が、美しく成長した次郎を誇りに思い千賀にだけは自慢していたこと。
世がおさまり、穏やかになったら娘に辻が花を着せてやりたい、そうしたらばその姿は月より美しいだろうと話していたこと。
戦国乱世といえど、世の中の大半は彼のような、愛するものと穏やかに暮らすことを願う人だったんだろうな、としみじみしていました。
ベタなんですけれども、あざといんですけれども、ジンときましたよ。
じれったさが心に残り、どうしても捨て置けない政次の性格
目覚めた千賀に、今夜は月見でもしましょうかと次郎が声を掛けると、そこへ直親としのが訪れたとの知らせがあります。
二人が告げたのは、待望の跡継ぎをしのが懐妊したという吉報です。
この子(のちの井伊直政)は、きっと直盛の生まれ変わりに違いないと、しのは千賀に告げます。
失われるものと生まれてくるものと、つながってゆく命のリレーがそこにはあります。この場面でやっと千賀は、声をあげて泣くことができたのでした。
次郎はうれしいような、切ないような、少し複雑な顔です。
めでたいムードはここまでです。
奥山邸に小野政次が訪れ、酒を酌み交わしておりました。
話題はなつと亥之助のことです。
亡き直盛と結んだ弟となつの縁を大事にしたいと語る政次に、朝利は「きれい事言いやがって、本当は亥之助を人質にしたいんだろう」と言ってはならないことを吐き捨てます。
ここまで言われて政次の怒りのスイッチが入ってしまいます。
政次の穏やかな表情が一転。冷酷で相手をいたぶることすら厭わない、そしてあれほどなりたくなかった亡き父を思わせる顔に豹変します。
政次は言葉尻をとらえます。
つまり亥之助を戻したら、あなたは小野の人質を手に入れたと思うということですか、そんなことを思っていると知ったらお方様も他の人もガッカリでしょうね、こんな大変な時に自分のことしか考えていないあなたって最低ですね、と容赦ない言葉を返す政次。
煽る顔つきと、立て板に水のようにまくしたてる政次。
人の心がわかる温情を持ちながらも、その洞察力を相手の傷をえぐるために使ってしまう政次。
この昨年の石田三成にも通じる不器用さ。このあたりのさじ加減が絶妙です。
ただひたすら冷酷で嫌な奴であるとか、またその反対で何も悪くないのに周囲から一方的に嫌われる可哀相なタイプであったらば、小野政次という人物にここまでじれったさややるせなさを感じないと思うのです。
気持ちはわかる、でもここまで言わなくてもいいじゃあないか、そう肩を叩いて言いたくなってしまう、実にじれったくて心のどこかに突き刺さってしまう、そんな力があります。
高橋一生さんが演じる小野政次……これは絶対に見続けないと損をすると言いたくなる、そんな魅力が既に宿っています。
演者、脚本、演出が計算されつくした巧みな演奏をしてところに、さらに魔法の杖を一振りしたような、すさまじい人物ができあがっています。
「奥山殿を……斬ってしまった!」
一通り嫌味を言ってうまくやりこめ、すっきりとした政次。
冷酷な仮面を外し、穏やかな微笑みを浮かべつつそのまま帰ろうとします。その政次に、朝利が脇差で斬りかかります。
先週のしのと今週の朝利を見ていると、父娘なんだなあ、性格が似ているんだなあと思います。
二人ともまず特定の人物への憎悪が先にあり、理由は後付けなのです。
先週懐妊騒動で次郎を恨み刺殺までしようとしたしのと、今週の何となく気にくわないという理由がこじれて政次に斬りかかる朝利は、本当にそっくりです。
負傷している状態で、自分より健康で若い相手に脇差で斬りかかる朝利は、娘よりも短絡的で始末が悪いと言えなくもありません。
その晩、しのの懐妊に感謝して祈りを捧げていた次郎は、血まみれの政次が座り込んでいるところを発見します。
「奥山殿を……斬ってしまった!」
ああ「奥山殿がいきなり斬りかかってきた」ではなく、「斬ってしまった」という政次の性格ときたら。
直親ならおそらくこうは言わないと思うんですよね。事態は、どんどん悪化しています。
本当の地獄はこれからです。桶狭間敗北という結果は巨大過ぎて、その全貌を誰もまだつかみ切れていません。
MVP:井伊直盛&千賀
井伊直盛という人は、いかにも悪そうな顔で胡桃を手にして何か企んでいたりするわけでもなく、ともかくひたすら聖人君子のようで大きな背中を見せているわけでもなく、凡人の中の凡人といった人でした。
印象に残る彼の姿は、やや不安げに物事の成り行きをじっと見守っているところ、心静かに花を立てているところです。
他の人物と比べて嫌味やくせがなく、暖かみのある直盛。
そんな彼の大きさや魅力が死後にわかるという仕掛けには、あざといと思いつつぐっと来ました。
孫一郎のために命を捨てる最期は流石にやりすぎのような気がしましたが、千賀の手紙で「誰かのために犠牲になるところは、娘にも受け継がれた彼の美質」と説明されてはっとしました。
出番がどこまでかもわかっていましたし、別れは早く訪れる覚悟もしていましたが、いざその時が来ると寂しいものですね。今までありがとうございました。
そしてその妻の千賀です。
まさに理想の、強く誇り高き武家の女性を演じています。
時に冷徹に見えることもある彼女ですが、今週は彼女の優しさと慈愛が満ちあふれた回でした。
千賀が亡き夫のひげを整える仕草は総集編入り確実の名場面となることでしょう。
大変なときだからこそ、悲しむことすら労られることすら後回しにされてしまう、その悲哀がよく出ていたと思います。
タイミング的に結局入れられませんでしたが、退場した今川義元の春風亭昇太さんもよかったです。
落語家なのになかなか喋らせない思い切った演出も安直でなくて好きです。存在感があり、こういう役者の使い方、演じ方もあるのかと楽しめました。
総評
歴史の転換点や岐路に立たされた時、当事者は気づかない。
そう描けるかどうかが、私の中では歴史ドラマとして最低限守って欲しいところです。昨年に続き、今年もこのチェックポイントを通過しました。
大敗してしまった。今川義元も討ち死にして、十六名も戦死者が出た。
とはいえ、井伊谷も、駿府も、これから始まるとんでもない大嵐に気づいていないように思えます。
大変なことがあったけれども、いち早く日常に戻ろうと人は考えます。正常性バイアスという心理的な動きです。
これは現代だろうと戦国時代だろうと同じで、皆きっと昔のように戻れるんだと言い聞かせて生きています。
昨年の真田昌幸のように、嵐の予感に鼻をひくつかせ、火種を自らバラ撒くスタイルの人間というのは、かなり特殊なのです。
本作のおけるこうした特殊な人物は松平信康です。ピンチをチャンスにして確実に得点を重ねてゆくというのは実力者にしかできないことで、彼はそれをやってのけています。
徳川家康は天下餅を座ったまま食べたのではなく、蒸すところからついてこねるところまで、しっかりとやってのけた人物です。
そんな彼の歩みは、昨年と今年じっくりと描かれることになるわけです。
大事が起こってオロオロして、それでもまだ元の生活に戻れるはずだと信じている本作の人々を見ていると、何とも言えない気分になってきます。
あの大震災からちょうど六年経とうとしていますが、あの頃のことも何となく思い出してしまいました。
歴史の転換点だったその瞬間、何かとんでもないことが起きたと思いつつも、それでもいつか全てが元通りになるだろうと、信じていた人は多かったと思うんですよ。
今年の大河は等身大です。
等身大だからこそ、ベタと思いつつも直盛の死が心に刺さりました。
縁側で娘に辻が花を着せたいと語る直盛。彼のように穏やかに生きることを願い死んでいった者たちは大勢いたのでしょう。
歴史に名を残さず、地元の人や子孫だけがひっそりと弔う、そんな無数の井伊直盛が日本中にいたのでしょう。
昨年『真田丸』の最終回で、真田幸村は戦国をきれなかった者たちの無念を背負い、銃口を徳川家康に突きつけました。
その時の徳川家康は、きっと井伊直盛のような穏やかに生きたかった、乱世の終結を夢みていた人々の思いを背負っていたのではないかと思います。
乱世を嘆き、穏やかな人生を夢見る人たちは、本作の中であがき、苦しみながらも歩んでゆきます。
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絵:霜月けい
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【参考】
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link)
















