16世紀半ば〜18世紀ごろに用いられたスペインのガレオン船/wikipediaより引用

宣教師・切支丹

戦国→鎖国への道! 岡本大八事件とノッサ・セニョーラ・ダ・グラッサ号事件

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岡本大八事件とノッサ・セニョーラ・ダ・グラッサ号事件
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旧領、戻したいよね?だったら、わかるよね?

ノッサ・セニョーラ・ダ・グラッサ号攻撃の際、有馬晴信の監視役を務めていたのが岡本大八です。

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家康の重臣・本多正純の家臣であり、晴信などの外様大名からすれば「お偉いさんに渡りをつけてくれる人」みたいなポジションですね。

時と場合によっては、ぶっといパイプにもなりうるし、目の上のたんこぶにもなりうる立場です。

大八は、当初の役割どおり監視役の務めを果たしていながら、そこで変な欲を出します。

「この件の首尾については、私から大御所様にきっちりご報告しますね。きっと鍋島領になってしまった有馬氏の旧領も戻ってきますよ。でも、そのためにはいろいろと入り用なんですよねぇ……(チラッチラッ)」

つまりは晴信に対して“賄賂”を要求したのです。

長崎出島(異国叢書より・シーボルト来日時)/国立国会図書館蔵

大名にとって、旧領回復は何よりの悲願。晴信に限らず、どこの大名でも同じです。

旧領を取り戻すためなら、大八へ多額の賄賂を贈ることをためらわなかったのでしょう。有馬晴信は言うがまま要求に応じます。

しかし、賄賂を要求する人間に、誠意なんてあろうはずがないのです。

その後、何年経っても、旧領回復の連絡は来ませんでした。

シビレを切らした晴信は、大八の主人である本多正純に事の次第を聞きます。

と、当然ながら大八は、正純から「有馬殿から賄賂もらったんだって?^^」と詰問されることになりました。

後日、駿府において大八と晴信の対決が行われ、大八に非があることが確定、彼は投獄されます。

しかし、事件はここでは終わりませんでした。

 

窮鼠猫を噛む?大八vs晴信で最終的に……

大八が「有馬殿は、長崎奉行の長谷川藤広を殺そうとしています!」と訴えたのです。

しかもこれが大八の嘘八百というわけでもなく、晴信にも後ろめたいところがあったものですから、さあ大変。

再び大八と晴信の対決が行われました。

結果、晴信もこの件については弁明できず、最終的に切腹を命じられています。

彼はキリシタンだったことから、自殺である切腹を拒み、家臣に斬首させたとか……。

なんとも後味の悪いこの事件。

まずはノッサ・セニョーラ・ダ・グラッサ号事件で、ポルトガル=カトリックに嫌気のさしていた幕府がいました。

さらに、岡本大八事件の当事者である大八と晴信がキリシタンだったこと。

事の経緯にイエズス会が絡んでいたこと。

こういった流れから、これら一連の事件は、幕府がキリスト教への感情を悪化させる大きな理由になったのです。

江戸幕府のキリスト教禁止政策については「キリスト教の考え方が、幕府にとって都合の悪いものだったから禁じられた」とまとめられがちです。

しかし、どちらかというと「キリスト教国家やキリシタンが立て続けにアレな言動ばかりしたので、幕府がイヤになった」という要因も小さくない気がします。

外国でトラブルばかり起こすよそ者を進んで迎え入れたいとは、フツー思わないですよね。

この後、1616年には欧州船の出入りが平戸・長崎に制限され、1624年にはスペイン船の来航そのものが禁止……というように入港制限は着実に進んでいきました。

さらに、1637年にはかの有名な【島原の乱】が起き、幕府からキリシタンへの悪印象は覆りようのない状態になっています。

これまた有名な【隠れキリシタン】は残りましたが、その話は以下の記事にて。

最後の戦国・島原の乱を鎮圧した知恵伊豆がエグい! 板倉重昌は悲しい自爆

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鎖国までの流れの中に、実はこういう事件があったことも覚えておいて損はないんではないでしょうか。

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長月 七紀・記

【参考】
国史大辞典「岡本大八事件」「ノッサ=セニョーラ=ダ=グラッサ号事件」

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