伊達家 最上家

政宗は本当に白装束で秀吉にひざまずいたのか?伊達と最上の小田原参陣 その真実

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伊達と最上の小田原参陣
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陸奥のことは徳川家康に任せる時代

天正14年(1586年)春、その情勢は確たる命令として、豊臣秀吉からつきつけられました。

伊達と蘆名の抗争を止めるよう、佐竹義重に命じてきたのです。

このとき政宗は蘆名の同盟者である畠山氏を攻撃していました。文書は上杉家に伝来しており、佐竹氏まで届いたかどうかはわかりません。

とはいえ、じわじわと「関白が戦を辞めろと命じている」という命令は東北まで届きつつありました。

同年秋には、秀吉が家康と対面を果たします。

そして、このときより、奥羽を含めた東国の支配は、徳川家康を経由して行われるようになりました。

天正16年(1588年)秋、家康は、伊達と最上の抗争調停をはかります。

しかし、そうする前に調停を成し遂げたともいえる人物がいます。

伊達政宗の母であり、最上義光の妹である義姫です。

両者の間に駕籠で割って入り居座り、両者の衝突を避けたとされます。彼女の突発的な行動というより、政宗の腹心である片倉景綱らの意向もあってのこととされます。

義姫と景綱が外交をふまえて停戦に持ち込んだスマートな解決と言えるでしょう。

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家康としても、落とし所です。

奥羽の大名に顔を売ることはできたし、佐竹義重から陸奥の担当者に交代できた。

「なんだ、きみら仲直りしていたのか。これからも関白の意向に沿って、派手にやりあわないようにしてくれ。よろしく頼む」

家康の登場により伊達も最上もトーンダウンして、その後は争い事が起きても、大事になる前に仲介することによって講和に結びつける展開となってゆきます。

最上義光は出羽探題として「関白の使者が来たらお出迎えしなさいよ」と命令を出すなど、我こそは出羽支配者という姿勢を強く押し出すようになりました。

そんな義光にとって、徳川家康は救いの神に思えたかもしれません。

同年夏、最上義光は痛恨の大敗北を喫しています。

義光は大宝寺義氏が前森蔵人に討たれたあと、実質的に庄内を支配していました。

しかし大宝寺義勝が上杉家に従う揚北衆・本庄繁長と手を組み、庄内を奪還されてしまったのです(【十五里ヶ原の戦い】)。

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惣無事とは戦による領土拡張を禁じているはずだ!

そう義光は考え「上杉氏による庄内支配は無効である」と訴えます。義光が頼ったのは家康です。

しかし、上杉氏は早々と豊臣大名となっていて、豊臣にしてみれば重要な存在です。

結局、最上の訴えは退けられ、交渉は失敗に終わります。

それでも義光にしてみれば「家康は信用できる」と受け取り、以降、頼りにするようになりました。

もう時代は変わった。戦ではなく、家康公を通して中央と外交で渡り合おう。頭をそう切り替えたのでしょう。

しかし、血気盛んゆえか、見通しが甘かったか。伊達政宗のパーリータイムはまだ続いていました。

 


会津の蘆名を倒したものの、時間切れだ

天正17年(1589年)、政宗は虎視眈々と会津を睨みつけるような状況でした。

陸奥国の要となる会津。

その地を支配する蘆名氏は、当主の早死にといった不幸が続き弱体化していました。

天正14年(1586年)、第19代・亀王丸が疱瘡で死去してしまうと、政宗は弟の小次郎を第20代当主として送り込もうとします。

しかし、よりにもよって、蘆名は伊達の敵である佐竹義重の弟を迎えてしまうのです。

こうした因縁のある蘆名家を倒した合戦こそ、馬上の政宗にとっては華――天正17年(1589年)【摺上原の合戦】へとなだれ込み、政宗は蘆名家に大勝利をおさめたのでした。

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こうしてみてくると、こんな疑念が頭をよぎるでしょう。

その華々しい大勝利は秀吉を怒らせるだけで、外交という観点から見て、無意味どころか危ういのでは?

蘆名氏の危機に対し、秀吉が何もしていないわけもありません。目配りし、蘆名支援の勢力を南陸奥に配置していました。

弟である蘆名義広を会津から追われた佐竹義重も、黙ってはいられません。

義広ともども、外交による敗者復活を探っていました。

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