長束正家

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家康も警戒した長束正家は豊臣五奉行の一人~有能な戦国官吏は切腹に追い込まれ

慶長五年(1600年)10月3日は、長束正家(なつかまさいえ)が切腹した日です。

関ヶ原の戦いで西軍についていた豊臣五奉行の一人ですね。

【豊臣五奉行】
浅野長政
石田三成
増田長盛
長束正家
前田玄以

と言っても、西軍で五奉行となると、やはり石田三成の存在感がデカすぎて、他のメンバーが霞がち。

特に長束正家なんかは、下手すりゃ三成配下の島左近より印象が薄いかもしれません。

むろん、だからといって能力が低いワケじゃありません。

むしろ高いからこそトップ官吏の五奉行にも名を連ねるのであり、実際、長束正家も若かりし頃からその才能は注目されておりました。

早速、その生涯を振り返ってみましょう。

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丹羽家に仕えていた長束正家 秀吉に気に入られ

長束正家は永禄五年(1562年)、近江あるいは尾張で生まれました。

いきなりあやふやですが、確たる記録がありません。生まれた時点では、あまり高い身分でなかったということがわかりますね。

はじめは織田家の「米五郎左」こと丹羽長秀に仕え、本能寺の変後、秀吉から特に算術の才能を見込まれて豊臣家に移ります。

丹羽長秀
丹羽長秀は安土城も普請した織田家の重臣「米五郎左」と呼ばれた生涯51年

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この時の経緯が正家の性格をよく表している気がします。

実は長秀が亡くなった後、丹羽家でお金の問題が持ち上がったことがありました。

秀吉は「何かヤバイことしてたんだって? 潰す前に、言い訳があるなら聞くよ^^」(※イメージです)という態度を取りました。

正家は丹羽家で銭勘定を任されており、帳簿をきちんとつけていたので、それを提出して秀吉の疑いを解きます。確定申告みたいですね。

結局、丹羽家の領地は減らされてしまうのですが……。

天下人になったからには、一人でも多くの有能な家臣が欲しい秀吉。

さっそく正家に目をつけ、
「ウチに来てほしいんだけどどうよ? 給料はずむよ」(※イメージです)
と誘いました。

正家はまだ14歳の主・丹羽長重が心配でしたが、最終的には秀吉に仕えることを選びます。

秀吉からの圧も強く、状況的に「選ばざるを得なかった」というほうが正しいかもしれません。

 

小田原遠征では20万石を滞りなく差配

根が真面目な正家は、くさくさせずに仕事をします。

太閤検地や豊臣家の直轄地の管理など。

お財布面から秀吉を支える立場であり、この手の仕事が三成だけというイメージでしたが、決して一人ではなかったことがわかりますね。

九州征伐、および小田原征伐では兵糧輸送を担当しました。

小田原のときは、20万石もの米を順調に送り届けています。

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こうした兵站は非常に重要で、特に大軍の場合は消費量もハンパじゃないので命がけ。十分な才能と言えるでしょう。

一方で、正家本人の武働きは目立ちませんが、家臣の何人かが忍城(おしじょう/現・埼玉県行田市)攻めで武功を挙げました。

特に弟の長束直吉は秀吉の目に留まり、直参に取り立てられるほど。

長束正家は、朝鮮の役でも兵糧奉行を務めています。

これも三成とかぶってますね。

だからこそ正家の知名度が上がらないんでしょうか……(´・ω・`)

 

忠勝の妹を正室に迎えている

文禄・慶長の役(1592~1598年)では、特筆すべきエピソードはありませんが、三成と協力して仕事をしていたのかもしれませんね。

そして、同じ仕事をしているはずなのに周囲からの好感度の差は何たることや。

話が前後しますが、九州征伐の年(1586~1587年)、長束正家は本多忠勝の妹・栄子を正室に迎えました。

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三年後には長男が生まれていますので、夫婦仲はそこそこ良かったのではないでしょうか。

おそらくは、徳川家との関係を良くしておきたいという秀吉の方針でしょう。

秀忠が人質としてやってきたときには、正家が出迎えを務めるだけでなく、外交役も任されておりますので、かなり人当たりのいい性格だったのかもしれません。

また、正家は内政にも関心を持っていました。

文禄の役と慶長の役の間に、豊臣秀次に相談の上で豊後(現・大分県)の荒れた農村を再建すべく、手を講じています。

いろいろと細かいところに気が回る人っぽい感じがしますね。

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