大河ドラマ『べらぼう』第42話を漫画で振り返る。今週の注目は「商業主義とアートの葛藤」です。

大河ブギウギべらぼう編

カネか?アートか?それ以前の問題 まんが『大河ブギウギ べらぼう編 第42話』

毎週土曜日13時50分に大河ドラマ『べらぼう』をマンガで振り返る――。

第42回放送の見どころは「商業主義(蔦重)の暴走」でしょう。

絵画や音楽、文学などの作品は、たびたび「カネか?アートか?」という葛藤が取り沙汰されます。

絵師として売れてきた喜多川歌麿もまたそういう局面に……と思いきや、蔦屋重三郎の場合、それ以前の問題。

歌麿の意向などお構いなしで勝手にジャンジャン受注してきて、しかも「弟子に描かせりゃいいじゃん」とまで言ってしまう。

歌麿は「こんな商業主義の絵を描きたくねぇ」なんてことは一言も言っておらず、ただ誠実に絵を仕上げようとしているだけで……ということで漫画で振り返りましょう!

📘 『べらぼう』総合ガイド|登場人物・史実・浮世絵を網羅

 

偲ぶ会

◆江戸っ子らしいサッパリしたおっかさんで、高岡早紀さんの演技が最高でした。

史実の蔦重も、決して彼女を嫌っていなかったようで、よろしければ以下の記事も併せてご参照ください(本マンガ末にもリンク先あります)。

蔦屋重三郎の母・広瀬津与
『べらぼう』高岡早紀演じる蔦重の母つよ(広瀬津与)を史実面から深堀り考察!

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ロシア来航

◆アンタがわかってないんかーい!

と、それは漫画だけの冗談にせよ、松平定信がオロシャ(ロシア)への危機感を抱いていたことは事実。

実際、大黒屋光太夫を乗せてきたラクスマンだけでなく、

ラクスマンの肖像画

ラクスマン/wikipediaより引用

その11年後の文化元年(1804年)にニコライ・レザノフが長崎へ来ています。

日本側が記録したレザノフの船と兵隊/wikipediaより引用

当然、江戸まで来たっておかしくはなく、ペリー来航以前から幕府は様々な外圧に頭を悩ませていたんですね。

 

共同作業

◆入銀の保障付きで絵が売れるなら、そりゃあ大量受注したほうがお得。

とはいえ歌麿の同意もなく、弟子に描かせりゃええでしょ、ってのはないでしょ、蔦重。

 

弟子

◆売れ線の黄表紙を奪われ、商売を安定させるまでは無理をしなければならない――そんな蔦屋重三郎の事情もわかりますが、それはあくまで耕書堂の事情であって歌麿には関係ない。

浮世絵が商業主義に則った作品であることも踏まえ、歌麿は普通に絵を仕上げたいだけ。

弟子だって、本心では自分の名前で売りたいでしょう。

 


西村屋二代目

◆絶好のタイミングで現れました。

片岡愛之助さん演じる鱗形屋孫兵衛の次男は、西村まさ彦さん演じる西村屋与八に養子入りしていたんですね。

まだ蔦重が若かった頃、鱗形屋を潰した!として恨みを持った少年がいま歌麿の前に。

初代西村屋与八
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茶屋

◆子供を55人も作った徳川家斉、その父親・一橋治済。

血は争えないようで、その余波が蔦屋重三郎へ。

 


仕方なかばし

◆せっかく手掛けた町娘シリーズも話題になったことで“物価規制”の面から再び松平定信に睨まれてしまい、八方塞がりの蔦重。

吉原への借金も返すことができず、歌麿の絵と引き換えにその返済条件をまとめてきてしまいます。

西村屋からの打診があった後で、間が悪いというかなんというか……。

ついに歌麿は見切りをつけることにしました。

 

離反

◆カネか?アートか?蔦屋重三郎が上がれなかったステージから始まる西村屋の二代目。

しかし彼の企画力からして、絵師と現実(予算や売上など)をすり合わせていくことはできるでしょう……というわけで次週以降も乞うご期待!

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アニィたかはし

漫画家。現在は武将ジャパンにて、まんが『大河ブギウギ べらぼう編』シリーズを連載中。 2014年より歴史漫画家として活動を開始し、2015年には連載作品をまとめた商業コミック『織田信長の戦国ブギウギ』(鉄人社)を全国発売。 以降、独自のポップ表現と歴史知識を融合させた「ブギウギシリーズ」を継続し、戦国・江戸・幕末など幅広い時代を題材とした作品を制作している。 2024年からは大河ドラマの各回を題材にした“ドラマ考証型マンガ”へと表現領域を拡大し、作品の幅をさらに広げている。 ◆主な著書 『織田信長の戦国ブギウギ』(鉄人社、2015年、ISBN:978-4865370324) ◆国立国会図書館データ https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/001200494

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