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【『SHOGUN 将軍』て本当に面白い?】
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ゴブリン扱いされても怒らないジャパンは「クール」なのか?
そんな異世界転生ワールドともなれば、そこに暮らすものたちはゴブリンやオークのような扱いでも不思議はありません。そう腑に落ちました。
日本人を口汚く罵倒し、野蛮人どもと見下すブラックソーンたち。
何かあると怒りだし、やたらと叫び、殺し合いをしようとする日本人は蛮族そのもの。
大筒にひれ伏す様など、文明の光を知らぬ哀れな連中なのでしょう。
そんなブラックソーンに艶かしくサービス精神を発揮する美女たち。
アメリカの化粧品広告から出てきたようなマスカラとアイシャドウをつけ、頬骨を強調したメイクをしております。
薄暗いゴブリンワールドで繰り広げられるのは、異世界ハーレムラブコメディだ。
無駄な「マグワイ」。
すぐに殺戮。
キレの悪い殺陣。
滑舌の悪い語り口。
どうして我々がそれをありがたがらねばならないのでしょう。
アメリカン時代劇は実は評価されにくい
アメリカの作る歴史劇は、実は評判が悪いものです。
フランス革命を扱ったアメリカ映画は、大抵フランス人歴史研究者団体から苦言を呈されます。
マリー・アントワネットをパリピギャルに描くとはどういうことか。
革命の描写をおちょくるな。
そう語るフランス人の口調には実に苦いものがあります。
それというのも、アメリカ独立戦争を支援し、勝利に導いたのはルイ16世の貢献も大きいのです。
フランスの名将であるラファイエットの墓を恩返しに参ることが恒例行事としてあるのに、ウケるとなればルイ16世の王妃ですら平気でおちょくるのが、アメリカのセンスです。
イギリス人は苦い顔で「またセンスの悪いことをしやがって」と、しばしば感じているようです。
英語圏で定番の人気作家として、ジェーン・オースティンがおります。
アメリカでも人気があるだけに映像化が何度もされています。
しかし、しばしば原作の味わいを台無しにするこれみよがしのキスシーンをラストで入れたりする。
アメリカ版とイギリス版で展開が異なることはもはやお約束です。
娯楽の王者のようなディズニーものにせよ、原作の味わいやセンスを破壊しているという批判は付きまといます。
ディズニー配給『ムーラン』と『SHOGUN 将軍』の差
ディズニーは『SHOGUN 将軍』を配信した会社です。
そのディズニーをめぐっては、象徴的な作品と反応もあります。
最近では、実写版『ムーラン』がありました。
コロナ禍で対中感情が悪化する中、世界的な興行収入で伸び悩んだこの作品。
では中国ではどうか?
というと、これも酷評されました。
時代考証がお粗末すぎると、失笑されたのです。
それでもアニメ版よりは正確で、改善されていました。では何が異なっているのか?
国力ではないでしょうか。
アニメ版公開時の1998年、中国はまだ経済が伸びる途中であり、中国の物語がディズニー映画で扱われることそのものに大きな意義を見出されたものです。
しかし2020年ともなれば、自国を舞台に、もっとしっかりした映画を作ることができる。こんなお粗末なもどきを褒める必要はない。そんな自信をも感じさせます。
そしてこの『ムーラン』と『SHOGUN 将軍』、その反応の違いからは、何か悲しいものも見えてきました。
考証がお粗末な作品を見ると失笑し、これなら自国でもっとよいものが作れると自信を見せる中国。
考証がお粗末で、蛮族じみた描き方をされようが、褒めてしまう日本。
はたしてこの差は何なのでしょうか。
それを考える契機をもたらしたことは、私が『SHOGUN 将軍』を見た意義の一つであるのかもしれません。
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【参考】
『SHOGUN』公式サイト(→link)