西郷隆盛の愛人

西郷隆盛(石川静正画の油彩)/wikipediaより引用

幕末・維新

あの西郷にも愛人がいたってマジ?その名も「豚姫」という祇園仲居の人柄に惚れて

2025/08/17

大志を抱き、死と隣り合わせの京へやってきた志士たち。

そんな危険な薫りをまとった男たちに、恋い焦がれる女たち。

幕末の京都には、数多の名物カップルが誕生しました。

木戸孝允と幾松(木戸松子)。

久坂玄瑞と辰路。

近藤勇と深雪太夫。

山南敬助と明里。

そんな中、西郷隆盛はどう過ごしていたのか?

女遊びや色恋沙汰とは、とんと無縁のイメージですが、実は相思相愛だったと噂される女性がおりました。

その名も「豚姫」。

誤記ではありません。「豚」と書いて「ブタ」姫です。

その正体は諸説ありますが、林真理子氏の『西郷どん』原作では【祇園・奈良福(ならとみ)の仲居・お虎】とされています。

言わば西郷隆盛の愛人的存在ですね。

 


酒豪で肌がきれい ポッチャリ系の「豚姫」さん

「豚姫」とは、愛称からもお察しの通り、なかなか大柄な女性だったようです。

単なる大柄というワケではなさそうで……要するに、ぽっちゃり系だったんですね。

しかも年齢は30才前後だったといいますから、ぴちぴちの若いお嬢さんというわけでもない。

この逸話から「西郷はぽっちゃり好き」なんて推測もありますが、そう単純な話でもないと思います。

性格・相性の良い女性がたまたま太めだった、というのも十分にありうるでしょう。

なんせ虎は、酒豪できっぷがよく、豪快で度胸満点の性格だったと伝わります。突き抜けた性格の人物は、男も女も、強烈に愛されるケースは決して珍しくありません。

というより、モテるのが一般的です。

また虎は、色白で肌が美しく、酒を飲んで肌が火照るとなんとも艶めかしかった、なんて話まで残されています。

美肌にこだわりがあった、という話でもよいではないですか。

 


「女遊び一つとっても、たいしたもんだ」

他ならぬ勝海舟がこう語ってもいます。

「たかが女遊び一つとっても、西郷はたいしたもんだよ。何か見た目じゃないところで惹かれあったんだろうね」

美人にポーッとなるのではなく、豪快で気の合う女性と愛し合う西郷っていいよね、というわけです。

勝は「西郷がぽっちゃり好き」とは言ってません。

「西郷は女でも見た目ではなく、人柄に惚れる」と強調しておりまして。ここは重要ですゾ。

勝海舟/wikipediaより引用

そもそもロマンスといっても、どういう関係なのか、ハッキリしていません。

男女の仲なのか、男女間の友情なのか、惚れたのか、惚れられたのか、相思相愛なのか。

今後二人のラブレターでも発見されたら面白いかもしれません。

 

歌舞伎にもなったロマンス

大柄だった西郷と、これまた大女の「豚姫」。

キングサイズのロマンスとしてなかなかユニークです。

数多の浮き名を流した幕末志士たちの中で、西郷のロマンスは珍しい。

そんな“美味しいネタ”に劇作家が目を付けないワケがなく、過去には劇作家の池田大伍が歌舞伎の脚本にしました。

西郷に惚れているお玉(劇中での豚姫の名)が、彼と心中しようと思い詰め、なんだかその頃、煮詰まっていた西郷もそうしようとするのですが、大久保利通が止めるというあらすじだそうで。

大久保利通/wikipediaより引用

残念ながら現在ではめったにお目にかかれなさそうですが、大河効果で上演されるかもしれませんね。

そもそも短い演目なので上演しやすいですね。

 


大河ドラマにも出ていた?

さてこの豚姫。

そのモデルと思しき人物が大河ドラマ『西郷どん』にも出演しておりました。

仲居の「お虎」役でご出演された、お笑い芸人・ハリセンボンの近藤春菜さんです。

「角野卓造じゃねーわ!」でお馴染みの方ですね。

近藤春菜さんは「豪快さ」というよりメンタル的な「優しさ」を感じてしまうのですが、明るい方には間違いありません。

リアルに斬り合いがあり、殺伐とした京都で、彼女のようなキャラが出てくれば、少しは気持ちも楽になるのでは、と思います。

西郷だって、幾度も哀しく理不尽な目に遭い、自らも非情な決断を下しております。

まぁ、ドラマではなんだかドタバタした感じで、愛人という雰囲気はほとんどなかったのですが。

今回の大河で再現するにはあれが限界だったのかもしれませんね。


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【参考】
勝海舟/江藤淳/松浦玲『氷川清話 (講談社学術文庫)』(→amazon
歴史読本編集部『物語 幕末を生きた女101人 (新人物文庫)』(→amazon

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小檜山青

東洋史専攻。歴史系のドラマ、映画は昔から好きで鑑賞本数が多い方と自認。最近は華流ドラマが気になっており、武侠ものが特に好き。 コーエーテクモゲース『信長の野望 大志』カレンダー、『三国志14』アートブック、2024年度版『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『覆流年』紹介記事執筆等。

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