西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ第9回「江戸のヒー様」

命を預けよ 剣は自顕流か?

西郷はせっせと庭仕事をしています。
何日も何日も淡々とした庭仕事が続きます。

そしてある日、斉彬がやって来ました。

命を賭けて庭の手入れをしていると言う西郷に、斉彬は水戸の屋敷に行けと言い出します。

島津斉彬(渡辺謙さん)

斉彬は、ここで西郷との会話を交わし、「剣は自顕流(薬丸自顕流)か?」と問うと、西郷はあのとき(第一回)の“やっせんぼ”は自分だと告白。
むむ? むむむー???

このあたりよくわからないんですけど……結局、斉彬と西郷の関係って、どうだったのでしょう。
書状を通じてのソウルメイト的な関係は、消えたり、蘇ったり、毎回変わっている気がしてよくわからない。

斉彬はこのあとカッコイイ刀の渡し方をします。
総集編で流れたらグッときますし、さすがは世界のケン・ワタナベの所作です。

斉彬の中身、英邁さがもっと丁寧に描きこまれていたら素直に感動出来たと思います。
すみません、素直じゃなくて。

「なんでもかんでも命を賭けるな、命はひとつじゃ」
こういうグッとくる台詞は、さすがヒットメーカーの脚本家さんです。

 

江戸で一番目立ってどうする

西郷は雑な地図を頼りに、水戸藩邸を目指します。

これって密命のハズなんですけど、笠は被らない、地図はいい加減、江戸っ子に道を聞く……って、コンプライアンスがユルすぎやしませんか?

西郷がお庭方という特殊な役目に就いたのは、密命をこなすためなんですけどね。
薩摩弁丸出しで、一番目立ってる。

かと思ったら、割とあっさり徳川斉昭と面会。
にしても、です。
背後の掛け軸が【尊攘】って、ド真ん中160kmのどストレートかっ!

斉昭は受け取った書状を破り捨ててしまいます。
ロシアンルーレット以来、こういう【キレて凄味を見せる】のが手癖になりそうで、あまりよい傾向とは思えません。

まぁ、原作にあるので仕方ないのかもしれませんが。
伊武雅刀さんというのは、静かな所作で淡々と笑顔ながら【目は一切笑っていない】という凄みのある役者さんだと思います。
ここは書状を破る――というわかりやすい原作を無視しても良かったかもしれません。

西郷は書状を破った理由を尋ねます。

あの書状には幕府の悪口が書いてあった――と斉昭。
むむ? むむむむむ?
もちろん単なる悪口だけじゃなかったんでしょうけど、そんな言い方されると、
【授業中に担任の悪口書いたメモを回す中学生かよっ】
と思ってしまいました。

このあと斉昭は、
「紀尾井坂」に「水戸」でなくて「井伊」が入っていてムカつく~!
とか、西郷もリアクションに困ることをこぼします。
まぁ、井伊直弼との確執を強調しているのでしょう。

そこに慶喜が入ってきました。
顔を見て驚く西郷。
そしてこの時点で倒幕について言い出す慶喜に対し、吉之助
「ヒー様!」
とか言い出しちゃうのです、おいおい。

松田翔太さんが演じる徳川慶喜一橋慶喜)イメージ/絵・小久ヒロ

さすがにその程度の空気は読んで欲しいなぁ。

西郷と徳川最後の将軍・徳川慶喜(このときは一橋慶喜)との、ファーストコンタクトでした。

 

MVP:井伊直弼

今回、瞬間最大風速を記録したのは、井伊家の子孫、しかも風貌はどこか小野政次を連想させる、この人の出番でした。

彼の言うことはド正論の開国派。
井伊の意志がここまでつながり、無駄な血を流さないために開国を主張したのだとしたら、昨年のファンは号泣必至!でしょう。
小野政次のように、主君のために嫌われて犠牲になる流れではないですか。

って、それ本作の手柄じゃないんですわ……。
昨年の手柄なんですわ(´・ω・`)

隠し田の時といい、まだ盛り上がる「井戸を彷徨う人々の熱意」を感じます。

来年はどうでしょうねえ。
薩摩大河なのに井伊直弼が同情されていいんでしょうか。

 

総評

まずは今週のやらかしをリストアップしたいと思います。

・斉彬と阿部が「開国反対派」にされた

本文でも書きましたように、島津斉彬と阿部正弘に、史実と真逆の思想を持たせるってどういうことなんでしょうか?

薩摩藩士で開明派の五代友厚の考えをここでちょっとみてみましょう。
「開国反対して尊皇攘夷とか言ってる奴って馬鹿じゃねえの。そういうこと言っていると、清やインドみたいに欧米列強に支配されるんだよ。開国して貿易し、国を豊かにしないとどうにもならないでしょ」

こういうことを言っていた五代は斉彬に重用されていますし、これが正論なんだよなあ……。

・一橋慶喜が品川宿で遊ぶアホボン化

ほんと、やってくれましたよ……。

父・徳川斉昭からバリバリの、精神を削られそうなスパルタ教育を受けた一橋慶喜。
彼はなかなかえげつない幼少期を送っていまして。

父・斉昭は聞いていてドン引きするような教育を、我が子に対して行いました。

・譴責(けんせき)
・点灸(てんきゅう)
・座敷牢(ざしきろう)

悪さをしたら、この始末。
スパルタ教育にもほどがあるのです。

明治時代は趣味を楽しんでいた慶喜ですが、それはかなり後年のことでして。
将軍就任前にふらふら遊んでいたら、それこそ座敷牢に押し込められてもおかしくない状況なのです。

それがどうして磯田屋通いとなったんだorz
少女漫画にありがちな、ちょっとワルでクールな転校生キャラにでもしてみたかったとか?
参りました。

昨年、「雑な乙女ゲームみたい」という評価がありましたが、満を持して言いたい。

「世界よ、これが乙女ゲー大河だ」

昔、ちょっと興味本位で幕末乙女ゲーをインストールしてみたことあるんですよ。
そうしたら昼間から徳川慶喜が、遊郭で遊んでいましてね。
お前、仕事しろよ、政務しろよ、身分わきまえろよ、と。

結局もういいや、と数分でアンインストールしたんですけど、それと大差ないやんけ。

・慶喜のせいで最悪の一橋派に

そもそも、慶喜をどうしようもない人物にすると、一橋派全員、ダメな御輿を担いだ残念一派にさせられてしまいます。

普段は身軽で自由人だけど、いざ気を引き締めたらバリバリのエリートになれる男――。
そんな風に描きたいのですかね?

こんな調子で来週、橋本左内が「慶喜様こそ名君の器!」とか言い出したら鼻で嗤うわ~。

というか、まさか本気でフキ=慶喜側室・お芳にする気じゃないですよね?
品川宿の遊女を将軍の側室にするのは、さすがに無理がありましょう。

【関連記事】新門辰五郎と芳

・斉昭と慶喜が倒幕云々言っている

これは斉彬が「武士の世は終わる」といったのにも通じる、重大深刻な馬鹿発言です。

父子の目的は「徳川家の将軍になること」。その目的となる徳川の幕府を潰そうとか考えるわけがないじゃないですか。
これから乗っ取ろうという会社を潰そうとするようなもんでしょ。

未来人視点でやらかしたとしか言いようがないです。
慶喜は自分が政権を手放すことを、最後まで回避しようとしていた人物です(不可避となったらあっさりと謹慎しますが)。

もう、悪質な展開に悪質さを重ねてゆく、悪質のミルフィーユ状態で虚脱感ばかりなんですけど。
ナゼこんなことになっているかというと、

・脚本家は、幕末の複雑な政治状況をきちんと整理できていない
・脚本家は、史実と真逆の思想や行動を人物にされることに、全くためらいがない

ということなんじゃないかと思いますね。
どうしてこういう人に、よりにもよって難易度の高い、幕末薩摩藩、西郷隆盛を描かせたのか、という話になります。

本作の比較として『花燃ゆ』も持ち出されますけど、あの作品は吉田松陰や長州藩士の思想そのものはねじ曲げなかったんですよね。
だからこそ、ストレートに暗殺謀議なんかを描いて、それが危険な雰囲気を出していたんですけれども。
あっちのほうがまだしもマシな気がしてきました。

ストレートに危険な部分も含めて思想を描くのが『花燃ゆ』ならば、今年は深く考えずに、あっさりと正反対の言動でもさせてしまう。
これは相当悪質で、重大深刻な問題だと思います。

 

蛇足:ナゼ本作は牛歩戦術なのか?

異常なまでに話の展開が遅い本作。理由を考えてみました。

◆島津斉彬が目玉キャストなので、なるべく退場を遅らせたい
→『花燃ゆ』でも、吉田松陰退場までかなり引っ張りました。その結果、歴史イベントが駆け足になりました

◆一話完結形式で、ラストに見せ場を持ってくる
→本作が重視している点は、歴史正確性でも話のおもしろさでもなく、
「8:35分頃に人情劇のよい場面を入れる」
ではないかと思いますね。

幼なじみが橋の上で泣きながら思いを叫んだり、桜島を皆ながら死にゆく母を子が背負ったり、妻が離婚を言い出したり。
ともかくラストに「感動しました!」と思わせれば勝ちというような縛りがあるため、そこにいくまで回り道をするのです。

わかりやすさを重視しているから、余った時間に難しい政治パートを入れるにせよ最低限にして、次回以降まで引っ張るような伏線もともかくなるべく入れない。
人情路線で前半ファンを増やす作戦なんだと思います。

後半イベントがばっさりカットされるようなことになっても、あまり気にしないでこの人情劇路線を続けるのではないでしょうか。

 

蛇足2:「本作は『維新三傑・島耕作』ではないか疑惑」

今回惜しいなあ、と思ったのが須賀の扱いです。

端的に言えば、史実の改悪。
須賀が泣けたとかなんとかそんな感動ありますけど、史実のほうが気の毒なんですよね。

「次回以降、伏線を引っ張らない」
という本作の縛り故に、金策でさんざん引っ張って、前回ラストで離縁させた須賀ですが、史実通り江戸に行ってから離婚させたほうがよかったと思うのです。

確かに須賀のツンデレっぷりは感動的だったかもしれませんよね。

しかし、意地悪なことを言ってしまえば、彼女が内心どう思っていようと、
【弟妹を抱えて大変な西郷家から、貴重な働き手が一人減る】
という点は変わりません。

これなら山内一豊の千代みたいに、へそくりで10両出してくるくらいでいいじゃないですか。
それで留守を守り、弟妹の面倒も見て、必死にがんばっているのだけれども、あるとき姑と同じように喀血、泣く泣く離婚……みたいな展開でもよかったと思うのです。

品川宿に行く時に、国元で待っている須賀の顔がよぎり、思わず謝ってしまうとか。
遊んでいる西郷どんの合間に、国元で健気に働く須賀の姿が映るとか。
ベタではあるんですけど、これも幕末のお約束なんですね。

史実をみても「留守にする夫、留守を守る妻」の間にもいくつも哀しいドラマがあるもので、そこが盛り上がるものじゃないですか。
いわば遠距離恋愛なんですから、どの時代でも鉄板だと思いますよ。

2013年『八重の桜』では、ヒロインの兄・山本覚馬が郷里に残した妻をさしおいて、京都で若い愛人を作っていたという、史実準拠のストーリーでした。
この展開は、女性視聴者を中心に「発言小町」的な盛り上がりを見せ、SNSでは「あんつぁま(覚馬)を鴨川に投げ込め」という投稿も見られたほど。

2015年『花燃ゆ』においても、現地で待つヒロインと京都の愛人という構図が、目玉展開として見られたわけです。

ところが本作は、そういう男性視聴者中心に気まずくさせる、そんな展開はないわけです。
女性視聴者狙いなら、惜しい設定をわざわざ無くしているんですね。

やはり本作は「バブリーなビジネスマンにフレンドリーな大河」ではないか、そう思えてくるのです。
こういうさっと現れて、男にとって都合が悪くなると後腐れ無くサッと身を引くヒロイン。
島耕作シリーズに出てきそうじゃないですか。

本作は西郷隆盛に関する史実は横に置いて、
『維新三傑・島耕作』
だと思えばアリかもしれません。

だから史実を横に置いて、キャバクラ遊びを延々としたり、美女が出演することで盛り上げたりするんですよ。
美女湯けむり入浴場面が出てきても、何ら不思議はないんでしょうね。

以前も【本作ってものわかりのいいスナックのママみたいな視点が嫌だ】と書きましたけど。
今週でそれがK点越えしました。

品川宿のくだりはもう脱力。
セクハラというのは男→女だけじゃなくて、女→男もありますよね。
そういうセクハラをする女性の目線を感じました。

「男ならやっぱり……遊んでるんでしょう~」
みたいなことを言う人、いるじゃないですか。

そういう、
「男の子はやんちゃなのよねウフフ♪かわいいわぁ」
「結局男はそういうことに興味あるのよ~」
と、あやしい笑みを浮かべながら聞いてくる。その手のセクハラっぽい目線を感じて大変辛い回でした。

切実に政治劇が見たいです……。
フキとかヒー様とかいらんです……。

いや、私だってそんなクソ真面目じゃないですよ。
『ゲーム・オブ・スローンズ』で一番好きなキャラクターのティリオンは娼館通いしていますけどね。

なんだろう、この得体の知れない、バブリーなセクハラ感。
辛いです……。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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