江戸時代 武者震之助の歴史映画レビュー

映画『柳生一族の陰謀』はタランティーノにも影響を与えた深作欣二の時代劇

時代劇の危機が叫ばれて久しいです。

次々に人気シリーズが打ち切りとなり、今ではBSでヒッソリと再放送が流されるぐらい。

しかし本来は、日本国民にたっぷりと愛されてきたド定番のコンテンツでした。

あの深作欣二監督が携わった『柳生一族の陰謀』は、そんな時代劇黄金期の輝きを身にまとう最後の大型作品ではないでしょうか。

兎にも角にも豪華絢爛な出演者たち。

深作欣二監督が得意とする迫力ある描写。

まさしく大型時代劇の王者と言いたくなる出来で、史実からは大幅に逸脱しているけれども、んなこたぁ関係ない。

そんな豪華かつフリーダムな作品であります。

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基本DATA info
タイトル 『柳生一族の陰謀』
原題 Shogun’s Samurai
制作年 1978年
制作国 日本
舞台 日本
時代 江戸初期、17世紀前半
主な出演者 萬屋錦之介、千葉真一、松方弘樹、西郷輝彦、丹波哲郎、山田五十鈴、三船敏郎、成田三樹夫、真田広之
史実再現度 将軍が次から次へと柳生一族に殺される「ifもの」ですので
特徴 豪華出演者、大胆な歴史改変。これほど迫力のある時代劇は、二度と作れないだろう

 

あらすじ 柳生一族、企む

元和9年5月11日、二代将軍・徳川秀忠が江戸城大奥で突然死去(※史実より9年早いのですが、そのあたりが気になる方はパスした方が得策です)。

あまりの急死ぶりに周囲は動揺する。

事件の臭いがあった。
将軍の胃袋争奪戦が起こり、柳生但馬守宗矩(萬屋錦之介)が手にする。

毒殺の証拠を掴んだ宗矩は、春日局(中原早苗)と松平伊豆守信綱(高橋悦史)が犯人だと突き止め、両者を尋問する。

と、二人は秀忠の長男・家光(松方弘樹)を次期将軍とするため、この暴挙に及んだと告白した。

宗矩は両者の熱い思いに心動かされ、家光派として暗躍することを決意。報告を受けた家光は激怒するものの、宗矩の説得により自らの運命を悟る。

果たして宗矩は武芸修行中の長男・十兵衛(千葉真一)、娘の茜(志穂美悦子)ら柳生一族を呼び出し、家光擁立の陰謀をめぐらせるのであった――。

と、このようにかな~り自由なシナリオなのであります。

 

萬屋さんを筆頭に所作が重々しく美しい

本作は史実という点ではツッコミどころだらけです。

秀忠を皮切りに、死んではならないところで、死ぬはずのない人物が死にます。

遠景には送電塔やビルが映っています。CGもない当時のことですから仕方ないとは言えますし、今見ると違和感を感じる部分もあります。

特にひっかかるのが、主演をつとめた萬屋錦之介さんの強烈な台詞回し。当時から「これはありなのか?」と話題になっていたそうで。

これが最初は戸惑いつつ、だんだんクセになるのです。

出演者が深作監督の代表作『仁義なき戦い』シリーズとかぶっているため、江戸時代なのにやたらとヤクザ映画らしさを感じさせるという、賛否両論別れそうな特徴もあります。

しかし、そんな欠点を覆い隠すほどのパワーが本作にはあるのです。

まず、萬屋さんを筆頭に所作が重々しく美しい。今見てもアクションシーンのキレが凄まじいです。

台詞回しからはドッシリとした重厚感があります。大作として作られただけに、今見ても豪華な映像です。

そんな本作最大の魅力は、登場人物が皆ギラ付いていることでしょう。

 

背脂ラーメンのスープの如く、常に画面がギラついている

背脂ラーメンのスープの如く、常に画面がギラついているのは、登場人物がやたらと野心に満ちあふれているからです。

特徴的な台詞回しで異彩を放つ柳生宗矩一人でも胸焼けしそうなのに、家光や春日局、さらには突如出てくる朝廷の面々までもがギラついています。

どんな育て方をしたら、ここまでヤクザぽくなるのか。

春日局の教育方針に不信感が募る徳川家光。

熊を斬って生のまま喰らっていそうな柳生十兵衛

「おまえのような美少年がいるか!」と言わずにはいられない、やたらとハードボイルドな名古屋山三郎(原田芳雄)。

映像化された中でも、最も強く凶暴な「麻呂」こと烏丸文麿(成田三樹夫)。「将軍家の争いに乗じて朝廷を復権させる」という野望を燃やし、突如襲撃してきます。

時代がちょっとずれているような気がしますが、小笠原玄信斎(丹波哲郎)、別木庄左衛門(夏八木勲)も登場。

主役級のスターを脇役で豪華に投入できるのは凄いことなのですが、息詰まるほど面子が濃いのです。
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