べらぼう感想あらすじレビュー

背景は喜多川歌麿『ポッピンを吹く娘』/wikipediaより引用

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第36回鸚鵡のけりは鴨 豆腐の角に頭をぶつけて

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第36回鸚鵡のけりは鴨
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絶版を言い渡される耕書堂

江戸の街を、黒い羽織に十手を持った奉行所の男たちが歩いてゆきます。

後に続くのは三尺棒を持った捕手。

鶴喜が不安そうに出てくると、男たちは耕書堂の前に止まりました。

蔦重が出てきて用件を尋ねると、こうきました。

『鸚鵡返文武二道』(おうむがえしぶんぶのふたみち)

『天下一面鏡梅鉢』(てんかいちめんかがみのうめばち)

『文武二道万石通』(ぶんぶにどうさんごくどおし)

この三作を絶版とする!という申し渡しです。

役人が去ってゆくと、つよは「これ以上の御咎めはあるのかね……」と不安そうにしており、蔦重は鶴喜に言います。

「越中守に会えませんかね? こりゃ直に訴えるいい折だと思うんでさ。俺らだっていい世にするためにやってんだって。きちんと申し上げてみようかと」

「……ご老中といえば田沼様のような方だとお思いになってらっしゃるかもしれませんが、常のご老中とは気軽に町方に会ったりはしないんです」

「けど、人と人ですよ。腹割って話しゃ……」

すると、ていが冷静に言います。

「旦那様が身二つに破られるだけになりますかと」

そうなんです。田沼意次と蔦重が顔を合わせることは色々と批判されてもきましたが、あれも一種の個性なんですね。

田沼意次/wikipediaより引用

鶴喜は、今は派手に動かないように、他の地本問屋も探られかねないと釘を刺します。

こうなると蔦重もしゅんとして言うことを聞くしかありません。

 


朋誠堂喜三二の断筆宣言

さて、探られている者は既におりまして、秋田佐竹藩主・佐竹義和は、松平定信から呼び出しを受けていました。

なんでも家老の資質に問題ありとのことで……朋誠堂喜三二の正体が平沢常富だと露見してしまい、呼び出されているわけです。

定信に投げ出された『文武二道万石通』を手にして困惑する義和。

「これを平沢が……」

その心境を考えると、胃が痛くなってきます……。

殿に怒られたまぁさんは筆を折ることにしました。

黄表紙の執筆だけでなく、遊び呆けていた江戸パリピライフも問題視されたとのこと。

まだ若い佐竹義和は「家の恥だ! ご先祖に申し訳が立たぬ!」と顔を真っ赤にし、涙目で怒っていたのだとか。

それでも蔦重は、やめることはない、名前を変えて続ければよいと引き留めます。

「まぁ、遊びってえのは誰かを泣かせてまでやるこっちゃないしな」

そう笑顔を見せる喜三二は優しい。

どうにも蔦重には、忠義ってもんへの理解が足りない気がします。喜三二はそこをわかりやすく噛み砕いて穏やかに伝えているんですよね。

繰り返しますが、喜三二が優しいからこそこういう対応になる。この先、登場する曲亭馬琴にそういう優しさはありません。イケボでそのあたりを散々当てこすられそうだと思いやすぜ。

曲亭馬琴(滝沢馬琴)/国立国会図書館蔵

生真面目な恋川春町も、喜三二の横で苦い顔をしている。

蔦重がそんな春町に確認します。お殿様は戯作のことを知っていますよね?

 


松平信義は倉橋格を庇う

自分の殿が戯作のことを知っている。それを踏まえて、浮かない顔になる春町。

彼の場合は、殿様公認での当て擦りゆえ、さらに難しい事態に陥っているようです。なんでも「殿こそが恋川春町ではないか?」と疑われている程だそうで。

そのころ、“殿”こと藩主の松平信義は定信に対して弁明をしていました。

恋川春町とは、家中の倉橋格(くらはしいたる)であり、現在は後悔のあまり病を患って隠居した――そう語ったとか。

春町は直参ではないため、これ以上のお咎めはないだろうと続けます。

隠居して倉橋の家はどうなるのかと気を揉む蔦重。

禄は減るだろうけれども、殿も気にかけているから大丈夫、戯作で補うとどこか楽観的に答えます。

その割には顔が暗いのですが、家の存続は、子か、弟か、甥にでも継がせればどうにかなるでしょう。武士でありながら絵師を専業とした歌川広重がその一例です。

「もちろん! 末永く、お願いの介にございます!」

安堵したように頭を下げる蔦重。

喜三二は大田南畝のことも気にしています。

大田南畝(四方赤良)/国立国会図書館蔵

するとその南畝から書状が届きました。

ちなみに書状の開き方ですが、同輩以下だと振って一気に開く。目上の相手だと、そうせずゆっくり。注目して見てみると、蔦重は町人ですから丁寧に開く機会が多くなっています。

さて、書状の中身は、平秩東作(へづつ とうさく)が病気だということでした。

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