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『光る君へ』感想あらすじレビュー第2回「めぐりあい」

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第2回「めぐりあい」
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お前は一体誰なんだ?

「なんであの日来なかったんだ。菓子を持ってずっと待っていた。気がつけば月が空に見えたが、俺はずっと待っていた。なぜ来なかった?」

そう問いかける道長に、まひろは返します。

「あの日のことは思い出したくないの。だから話せない」

母が殺されたあの日、幼い頃の姿が挟まれます。

時を超え、まるで昨日のことのように、ありありと思い出す二人。

「まひろ、お前は一体誰なんだ?」

道長は困惑したように尋ねます。

忘れられない。もう一度会いたい。そんな気持ちにさせる相手が理解できず、素直に聞くしかない。

絵師の住所を伝え、そこで代筆をしていると答えるまひろ。

「いろんな人の気持ちになって歌や文を書く仕事。それは楽しい仕事なの」

吉高さんがいいですね。彼女はハスキーボイスを作り込まず、自然に出します。インタビューの時よりも滑舌はスッキリしているものの、無理に高くしない。

微笑む彼女を見て、道長は不思議そうに語ります。

「へえ〜、この世には楽しい女子もいるのか」

「三郎の周りは楽しくない人ばかりなの?」

「俺の周りのおなごは皆、さみしがっておる。男は皆偉くなりたがっている」

「三郎こそ誰なの? 偉くなりたい人?」

そう言ってから、三郎は名前しか書けないから偉くなれないなと笑い飛ばしている。まるで男のように笑うと道長がつっこみますが、口を開けて豪快に笑うところは、確かに男のようだ。

今日、男の声を出していたからだと彼女が答えると、三郎を呼んでいる従者の姿に気付きます。

「絵師のところに毎日いるのか?」

「毎日ではない」

「では、出会えるまで通う!」

こうグイグイ推してくるところが、なんとも悩ましい道長ですね。

「好きな人がいるなら、いい歌を作ってあげる!」

からかうように答えるまひろに返しておいて、歌は好かぬとだけ言い、三郎は去ってゆく――甘ったるいようで、皮肉な史実も見えてくる場面でした。

道長は名前しか書けないわけではないけれども、お手本にできない個性的な筆跡です。書道を嗜む人が見た瞬間、動揺するほど癖が強い。

為時やまひろの字は残っておりませんが、書道の根本知先生が綺麗な字をしっかりと生み出し、書いています。

なんで道長はあんなに変な字体なのか。まひろが言いたくなる気持ちもわかる。結局、名門なら、悪筆でも出世できるということか。

ちなみに科挙のある国の場合、悪筆はその時点で不合格となります。

そのため、基本的にエリートはある程度達筆になる。

紫式部よりやや後になりますが、科挙に合格し、官僚としても、詩人としても名高い蘇軾は、書道でも一流の人物です。

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お前とは務めだ、母としてだけ生きよ

内裏では数年ぶりに円融天皇藤原詮子のもとへ向かうとか。

女房たちがヒソヒソと話しています。なんでも湯浴みもして、やる気満々なのだとか。

しかし現実は違いました。帝は、詮子の贈った和歌を突き返します。

「これはなんだ? 見苦しいことをするな。そなたは懐仁の母であるぞ、穢らわしい!」

詮子は動揺しつつ、かつての寵愛はついえたのか?と訴えかけます。穢らわしいことだったのか……と。

子を為すことが帝のつとめだと返す円融天皇。朕は真面目に務めただけで、もう忘れたのだ、そなたも忘れ、母として生きよ、国母となるやもしれぬ立場を忘れるなと念押しします。

詮子は訴えました。

「お上! 私は東三条殿に下がります」

「好きにせよ。ただし、懐仁は置いておけ。遵子とともに大切に育てよう」

残酷なことを言う帝。あまりに残酷なようで、『源氏物語』では光源氏もそうしています。

最愛の紫の上との間には子ができず、明石の君が産んだ子を、紫の上が育てる。文字通り「腹は借り物」にされる残酷さが伝わってきます。

帝にしてみれば、藤原兼家の増長を抑え込みたい意図はあるのでしょうが……。

 


どんな者でも、使い方次第だ

藤原兼家のもとには藤原為時が来ていました。

東宮である師貞親王の勉学の成果は、全くあがっていない。

なんでも昨日は、母親と娘と関係を持った話を延々としていたとか。似ているから見分けがつかないと、足で扇を広げつつ、おちょくるように語ってきたそうです。

痴れ者のふりをしているのか、まことの痴れ者なのか。帝になっても誰も付いてこないだろうと、困惑しながら為時が語ります。

すると兼家は、京都盆地を見下ろす山に藤原道兼を連れてゆきました。

ここから見下ろす景色が好きだそうです。

父に連れられ嬉しそうな道兼に、一族がここから見下ろし続けるためには、お前の力が必要だと兼家が語る。

一体何をさせる気なのか?と思えば……蔵人頭で、帝のそばにいる道兼に、陪膳(ばいぜん)の女房を手なづけさせ、帝の食事に薬を漏れと命じてきました。

命までは取らない。気持ちが弱るように仕向けるのが狙いだとか。

「そのような!」

愕然とする道兼に強い口調になる兼家。

「そのようなことを為すのはお前の役目だ!」

兼家は、6年前のちやは殺害を知っていました。揉み消していたのです。

高貴な者は自らの手で殺めぬ――その掟を破ったせいで、従者を殺す羽目になった。わしの手も穢れた。

道兼は観念したように「わかりました」と言うしかありません。しくじったら一族の命運は尽きるとさらに脅されてしまいます。

二人の姿に目をやれば、烏帽子が透けて見え、髻がわかりますね。本作の男性は、地毛で髻を結っている方もいるとか。

ここで東洋医学のトリビアでも。

一月のうちに書けてよかった話として「お屠蘇」があります。

日本古来の飲み物とされていますが、『三国志』でもおなじみの名医・華佗が作り上げたとされていて、不老長寿の酒というより要はハーブドリンクです。

ハーブを飲むことをありがたがるほど、当時は医学が未発達でした。それに中国由来ですので、為時のような文人貴族は蘊蓄を語り、気取りながら飲むことができるのですね。

この屠蘇を飲む風習は本場中国では衰退し、日本で残るという興味深い現象でもあります。

そんな東洋医学で「毒を盛る」となれば、「証」(体質)に反するものを敢えて飲ませればよいとなる。

たとえば高血圧で悩んでいる人に、「元気が出ますよ!」という効能のものを飲ませると、その成分がますます血圧を高めて体調を悪化させることがある。

そういう薬のようで、あえて毒になるものを飲ませることが東洋ドラマではお約束です。

まひろが代筆業にやってきています。絵師の作品にはおかしみがあると言うと、

「おかしきものにこそ、魂が宿る」

と絵師が答える。そこへ麻彦がやってきて、また歌をつき返されたと嘆いています。

まひろは、最初に突き返された時も、お代はいらぬと断ったほど真面目な性格です。何がいけないのかと悩み、相手についてもっと聞かせて欲しいと言います。

なんでも、やんごとなき家の女房で、学も深く、字も書けない麻彦は到底敵わない、身の程知らずと思われているかもしれないと悩んでいます。

まひろは困惑します。

代筆そのものが騙していることになっていたとは……!

嘘はいずれあらわになる。いっそ本当のことを言ってしまった方がいい。嘘を打ち明け詫びることで、かえって仲が深まるかもしれない。歌などいらぬ。まことの姿を見せろということではないか。

まひろは、そう告げ、幸運を祈っておると相手を送り出します。

この麻彦への助言が、全部自分に跳ね返ってくるようだ。

道長は気もそぞろで矢を外すし、まひろも三郎を思い出す。そんなすれちがいが募ってきます。

 

円融天皇の譲位

高麗人(こまびと)が筑前に来て、太宰府からの知らせによれば無事帰国した。

源雅信が円融天皇に報告しますが、具合が悪い様子。

隣にいる兼家は満足していることでしょう。

「高麗」(こま)とは一体なんなのか?

日本では、王朝が交代しても、そのまま呼び続けることがしばしばあります。しかも範囲が広い。

「高麗」は現在の朝鮮半島を指す概念として、長らく使われてゆきます。

中国は「唐」(から)です。

「高麗」や「唐」は判定が曖昧なので、例えば他国の人や物が、朝鮮半島や中国経由で届けても、そうなってしまったりする。

しかも、当時から輸入しなければどうにもならないものがありました。

例えば「檳榔毛(びろうげ)」の車。牛車の一種です。この「檳榔毛」とはヤシの葉です。

当然ながら京都近郊にあるはずなく、貿易で取り寄せねばなりません。

何かで代用したらいいんじゃないの?と言いたくなりますが、当時の貴族は慣習を守りたい性質ですので、結構な問題になったとか。

閑話休題。

藤原為時が、師貞親王に奸臣・趙高のことを解説しています。

しかし相手は相変わらず飄々とした態度で「内緒だけどいよいよ帝(花山天皇)になるみたいだ」と囁いてくる。

即位したら為時も引き立てる、式部丞に任じるとと語る東宮。

彼なりに為時に恩義は感じているようですね。

好き者として振る舞っているようで、俺だって見るところは見ていると語る東宮。

本郷奏多さんが、エキセントリックなところと、気品の入り混じった難役を見事に演じております。

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麻彦は思い人とともに、まひろにお礼を言いに来ました。

先生の言った通りだと麻彦は感謝し、相手の女性も嬉しそうな表情です。

世の中に通じている人はさすがだと語る二人に、まひろは通じていないと思いつつも、代筆もこれでは商売あがったりだと笑い飛ばす。

確かにこれはそうかもしれない。詮子だって和歌が逆効果でしたから。

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