光る君へ感想あらすじレビュー

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第2回「めぐりあい」

「ミチカネ」という男によって母が殺された――。

まひろはその死を偽る父に失望したまま、時は流れてゆきます。

 

成人の儀

永観2年(978年)、まひろは成人の儀「裳着」(もぎ)を迎えました。裳を着ける儀式です。

衣装が重たいとボヤいていますが、実際、本作の装束はかなりの重量だとか。

儀式ゆえに辛抱いたせ、とたしなめられても彼女は不満げにこう続ける。

「人はなぜこんなにも儀式が好きなのか」

面倒臭い性格ですね。そういうものだから、と言われても納得できないのでしょう。

藤原宣孝もその場にいて、成人の意義を語ります。

婿をもらって子を産める――。お礼を言う父・藤原為時の態度からして、娘の成人の儀でも、宣孝からそれなりの援助を受けているようです。

弟の太郎は相変わらずマイペースで、かったるそうだ。使用人のいとが、亡き北の方(ちやは)も喜ぶと感慨深げに口にしたことで、冷たい空気があふれます。

為時は、酒を飲むからと、この場を去ります。去り際に、宣孝が「父の気持ちをわかれ」とまひろに告げるけれども、彼女には理解できない。

母は、大人になれば母の気持ちも、父の気持ちもわかるようになると言っていた。けれども、わからない。

突き詰めて考えると幸せになれない、可愛くないと宣孝が続けても、宣孝様にかわいいと思われたくないとまひるは即答。

嗚呼、面倒臭い……。

さらに彼女は、為時が禄をいただいている右大臣(藤原兼家)の二の君(藤原道兼)の名前は「ミチカネ」ではないか?と確認してきました。

シラを切る宣孝ですが、まひろは相手の嘘など見抜いていそうです。

わかったところでどうしようというのか?と宣孝がまひろに聞き返す。

「わかりませぬ」

「わからぬなら黙っておれ。これはわしからの忠告じゃ」

そう言い、去っていく宣孝でした。

藤原宣孝は、後にまひろの夫となります。

この美貌を狙っていたのか?と納得させたいようで、面倒臭さとかわいげのなさも既に出ている彼女。

このまひろに求婚するなんて、宣孝もなかなか面白いものだと思えてきます。いくら美女だろうと、喧嘩になったら大変そうだ。

まひろにしても、相手の軽薄さ、自分と話しても噛み合わないところは理解しているはず。

一体どういう夫婦になるのでしょう。魂まで通じ合う仲にはなれそうにありませんね。

為時は浮かぬ顔で酒を飲んでいます。家の居心地が悪いそうで。

昼間、太郎に学問を授けるのはよい。しかし、まひろの目が怖い。宣孝は、ちやはの死の隠蔽に理解を示します。

為時は学問の才を生かして出世したいものの、6年間も除目から外されていると嘆いている。右大臣(兼家)の子飼いだからだろうか?とこぼしています。

兼家は、円融天皇との間に隙間風が吹いているようです。

宣孝は焦るなと告げます。東宮が即位すれば出世できるであろう。

それでも為時はうまくいくかと弱気です。宣孝はうまくいくと励ますしかない。

まひろは父を嫌っているものの、性格は父親に似ているのかもしれませんね。宣孝にしても、ネガティブで面倒な相手をあしらうコツを習得しているのでしょう。

藤原為時
藤原為時は紫式部の父で何をした?式部丞蔵人とは?光る君へ岸谷五朗

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子を思う道に迷う親

まひろは月明かりを浴びながら、筆を動かしています。

人の親の 心は闇に あらねども
子を思ふ道に まどひぬるかな

子を持つ親の心は闇とまではいかない。しかし、我が子のこととなると、道に迷うかのようだ。

紫式部の曽祖父にあたり、『源氏物語』でも引用される藤原兼輔の歌を書いています。

現実の父親を通してではなく、和歌を通して理解する――そんな彼女の特性がわかるような素晴らしい場面です。

吉高由里子さんの、月光を集めたような白い顔を見たらもう言葉にならないほど。

筆を手に取る横顔も、月を眺める顔も、光り輝くような美しさにあふれています。

 

代筆は楽しい仕事

まひろは、街の中をどこかへ向かって歩いてゆきます。

土埃が待っていそうな道。足がすぐドロドロになりそうです。

絵師の家に着くと、急ぎの客である麻彦が待っているとか。彼女は小さな硯で墨を擦ります。

この硯が素朴でいかにも貧しい。

文房四宝と呼ばれる筆・墨・硯・紙のうち、消耗品ではない硯はステータスシンボルの象徴です。この小さな硯と、後で出てくる大きくて立派な硯を比較してみると興味深い。

まひろの仕事とは、好いたおなごに贈る歌を代筆することでした。

声を低くして「苦手なことは人に任せるのが理想だ」と返しています。そのための代筆仕事だと。

古今東西、そういうことはトラブルも招きかねません。『シラノ・ド・ベルジュラック』なんてそういう話じゃないですか。

まひろがサラサラと和歌を書きつけ、盆に入れて相手に渡すと、客もお礼を言い、絵師が謝礼を受け取っていく。

この代筆稼業の場面は、吉高さんが本当に大変だったと思えるところです。彼女は書道に励んだと何度も語っています。

左利きであるのに右手で筆を持つ。流麗かつ、素早く書かねばならない。しかも机のある場面ならまだしも、ここではそうもいかないので、かなり大変です。

今年の大河は、かな書道を全力で推してきていますね。なんせオープニングから書が出てくる。

この時代は国風文化が花ひらき、日本特有のかな書道が高まってゆく大事な時代です。

本作を契機に、かな書道の素晴らしさを感じたいですね!

 

帝も、実資も、兼家のことが嫌いだが

内裏では、犯罪対策について政務が行われていました。

増加する山賊増加対策として、藤原頼忠が検非違使の増員を申し出ています。

声が小さすぎるため、円融天皇は「聞こえぬ」と不機嫌そうだ。

すると藤原兼家が、こんなことを言い出す。

「やる気のない検非違使の人数を増やしても意味がない! 別当を変え、褒美を出してはどうか?」

隣にいた源雅信が「話が違う」と動揺すると、円融天皇もうんざりした顔をしながら、兼家の政策を受け入れるのでした。

源雅信
なぜ源雅信は愛する娘の倫子を道長に嫁がせたのか?光る君へ益岡徹

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それにしても、兼家の提案はどうなのでしょう。

さすが金で思うままに人を操る奴は違うな! と嫌味の一つでも言いたくなります。

こういうボーナス制度は冤罪を増やす危険性もあります。私人逮捕系YouTuberが、再生数稼ぎのため無茶な難癖をつけるような事例が起きてしまうかもしれない。

廊下を歩きながら、従者に本音を語るのは藤原実資

関白の声が小さい。右大臣のことは好きではないが、右大臣の言うことは正しい。右大臣が好きではないがな、と繰り返しています。

彼は蔵人頭です。円融天皇の側近として、篤い信頼を得ているとか。

このロバート秋山さんは、してやられたと思っています。

実資が記した『小右記』のことを思い出すと、なんというキャスティングなのか?と、どうしようもなくなる。

彼が「なんでこんなことばかりなんだ……」そうぼやきながら日記をつけている様子を想像するだけで、もうたまらないものがあります。

また実資さんが嘆いているよ。また実資さんの胃が痛くなるような事件が起きているよ。そう思っちゃうものでして。

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