『どうする家康』第27回放送は織田信長の就寝シーンから始まります。
それにしても……ここは家康の書庫だったのでは?という書籍だらけの部屋なので、なぜこんなところで信長が寝ているのかという疑問ばかりが湧いてきます。
しかも黒い男が突然やってきて、信長を刺す。
身体能力の高い岡田准一さんを活かしたいという気持ちなのでしょうが、一体これは夢なのか、夢じゃないのか、夢なのか……と混乱しそうになる。
殺陣の設計も江戸時代以降のように思えてきます。
そして緊迫な場面も全部ズッコケさせてしまうあのナレーションが入り、本作の数少ないロケである乗馬シーンが回想されます。
富士山を背景にした家康と信長。
『鎌倉殿の13人』の義時と頼朝と比べてどうでしょう?
「撮影してますよ」感がにじみ出ていて、今まさに戦国時代を生きている人物に見えません。悲しいことに何もかもが安っぽく見えてしまって……。
そして場面は徳川家臣団へ移り、家康がペラペラと、京都はセキュリティがザルだとか何とか言っています。
忍者を京都に放ったようですが、本能寺の目の前にあれでは逆に目立ってしまいませんか。
『麒麟がくる』の場合、菊丸の正体も中々わからなかった。それ以外の忍者もただの通行人にしか見えなかった。そっと密書を渡してくるような役回りです。
忍者の基本は諜報員であり、それほど戦闘に特化していないのでは?
しかも、これほど重大な秘密を大勢の前でペラペラと話す家康が、本当に愚かにしか思えません。
東国同盟による裏切り構想が破れて瀬名が死んだ後だというのに、どうしたことでしょうか。信長の暗殺だなんて、バレたら徳川家が吹っ飛ぶ重大な策は、腹心数名にだけ話せばよいでしょうよ。
『真田丸』の家康は、脇役なので家臣があまり出てきません。重要な策は、せいぜいが本田正信とだけ話し合っていましたね。
それなのに今回は、ぼけーっとスイカバーの精霊が突っ立っている。こんな密談って、もう見ているだけで頭を抱えてしまいます。
そして「慈愛の国構想」が崩壊した途端に「逆らう者は斬る」とか言い出す家康の性格があまりにもグチャグチャだ。
『貞観政要』を愛読書としていた人物とは到底思えない。
知力や政治力などが最低レベルで、パワハラパロメーターが一気に上がっています。
※以下は『貞観政要』の関連記事となります
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家康も泰時も一条天皇も愛読していた『貞観政要』には一体何が書かれているのか
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あらすじ:おじさん構文バージョン
タイヘンダ!✌︎('ω'✌︎ ) 家康チャン、本能寺で、信長討つってよwww
瀬名チャンを、殺したんだモンw それでこそ男ダヨネw 男を見せなきゃwww こういうのオイラも大好きwww✌︎('ω'✌︎ )
麒麟が来るとかいう、駒がうざい、ファンタジー駄作とは大違いだよなナッ!!!!( ^ω^ )
でも、まだ早いんじゃないカナ٩( 'ω' )و
って言われて延期www でも実質、家康チャンが黒幕だよねwww
あんな大事件がさ、黒幕ナシで、できるわけないでしょwww歴史好きなら、常識だヨネ( ^ω^ )改めて麒麟はダメwww
家康チャンは、安土城に、いくんだけど、鯉が臭いってパワハラ大暴れ!まじで怖い信長ダヨネ_:(´ཀ`」 ∠):
早くなんとかしてーーーー!!ww 明智ボコられてざまぁww
麒麟光秀はスカしててムカついたww
※私は『麒麟がくる』が好きです、念の為
どうするスイカバーの精霊
前回(→link)のレビューで大久保忠世のピンク色衣装について言及いたしました。
『麒麟がくる』で朝倉義景の衣装が紅梅の色合いを思わせるのに対し、大久保忠世はスイカバーにしか見えない、と。
しかし、今回の放送で一堂に会する徳川家臣団を見て、大久保だけじゃないなと痛感。
色で区別していて、見ているこちらは「ピスタチオ」「抹茶」と脳内変換してしまう。キャラの描き方が雑だったせいか、それぞれの人物像が浮かんでこなくて……誰が誰だかわからなくなりそう。
例えば石川数正にしても、最初に「ぼっち飯が好きなグルメの人だ」と思い浮かんでしまう方も少なくないのでは?
本作は「漫画のドラマ化だと思えばいい」と揶揄されますが、それ以下でしょう。
色彩設計は、葛飾北斎も参考にしているという『鬼滅の刃』のはるか下です。
どうする家康のメンタリティ
瀬名と信康が死に追い込まれた――それは、あまりにも荒唐無稽な計画を実行したからであり、家康も賛同して、むしろ徳川家を潰されなかっただけでも御の字のはず。
にもかかわらず逆恨みした挙句、「信長を殺す」という私情で突っ走る人物は愚かでしかありません。
『三国志』でおなじみの曹操は、敵の急襲を受け、嫡男である曹昂と護衛を務めていた典韋を失いました。
その追悼の際、曹操は曹昂のことよりも、典韋のことを思い号泣する。その様子を部下たちに見せました。
曹操は別に我が子の死を軽んじていたわけでもなく、死の前には曹昂の死を悔やむ発言をしています。
部下の前で「我が子よりも家臣の死を重んじる」ような言動をするのは、主君としてのパフォーマンスです。
嗚呼、この方は我が子以上に我々部下を愛しているのか。ならば忠義を尽くそう。
そう発奮させるために泣く。
ところがこの家康は、まるで真逆です。
家臣の死を悼む場面すら碌にない。そのくせ妻子のことをネチネチと言い出し、一歩間違えれば家ごと潰れかねない信長殺害計画を持ち出す。
徳川家臣団は家康に絶対忠実だ!!!
そんな前提のもとで脚本が作られるから、こんな冷酷なリーダーでも務まるのでしょう。
家康が、部下思いだからこそ家臣たちがついてくるという描写ではない。
一体なぜこんな人物像にされてしまうのか。
家康以外も本作の登場人物は発想がおかしい。信長が「家康に討たれてもいい」と感傷的に語りますが、誰もかれもがリーダーとしての責任感が欠落していますね。
信長は嫡男・信忠まで犠牲にしてしまいます。
もしそのリスクを前もってわかっていたのであれば、信忠だけでも別の場所に泊まらせておくわけにはいなかったのでしょうか。
瀬名にしたって、自分の構想に信康を巻き込んで破滅しました。
このドラマは大物とされる人物が平気で我が子を巻き込むのです。
我が子ですらこんな調子だから、家臣や民草の命なんて気にするはずもない。どこまで傍迷惑で幼稚なのか。リーダーシップのある人物が誰一人としていません。
家を守るという意識が強い時代です。
その意識すらないから、リアリティが欠けてしまう。
ドラマはフィクションだから嘘はついてもいい。それはその通りですが、その嘘があまりにお粗末だから叩かれるのでしょう。
「史実重視の頭の固い人は」と論点をずらそうとしていますが、それももう通じません。
ついに大手メディアからも、破綻を指摘する記事が出てきています。
◆「どうする家康」は名作か、それとも迷作か 2つの価値観が頻繁に入れ替わる最大の難点(→link)
どうする地図
家康を太陽で表現したピコピコマップ。
それに被せられるあのナレーションもあり、精神をガリガリと削られそうです。
害虫が蠢く様を見せられているようで、気分が悪化。
どうするゲス光秀
見よ、この汚い明智光秀を!
と言わんばかりに、家康の毒殺を信長に勧める下劣な描写にウンザリ。
宴席で毒を盛るのは禁じ手では?
人はなぜ集まって食事をとるのか、というと毒殺のような卑劣な真似はしないと確認するため。
もしも信長がこんな場面で家康を殺したら、信頼感は全くなくなり、天下どころではなくなるリスクがあるでしょう。
しかも、それを明確に肯定も否定もしないままシーンが終わり、なんだかよくわからない。
毒殺はそもそも成功率があまり高くないし、やるならやるで犯人が特定されないよう入念な準備が必要です。これではただの思いつきです。
どうする最低の饗応
信長の饗応があまりにお粗末ではありませんか。
会場の至るところに永楽通宝の旗印が飾られていますが、あれは戦場で使うものでは?
踊る連中もいまいち下手くそで、衣装も安っぽい。
極め付けは光秀のニタニタスマイルです。
なぜ、こんな下劣な男に饗応役を任せるのか。
光秀を演じている役者さんに罪は無く、脚本と演出のせいで下劣にしか見えない。
「もっと他に上手な接待役はいなかったの?」と、信長の能力も疑われる場面です。
だいたい、魚が臭いと言われたからって「家康は田舎者だから味がわからないんだよ」って発言しますかね。
光秀のことをあまりに侮辱している。
どうする折檻
そして信長が激怒。
光秀を打ち据える場面は、信長が寸止めしている動きがわかってしまって脱力してしまいました。
お膳の引っくり返し方も、あまりにわざとらしくて、これじゃあ本当にコントです。食器が吹っ飛んだ時の音がまるでプラスチック皿のような音でした。
なぜこのシーンにOKが出るのかわからない。
どんだけ殴られても光秀はピンピンしていて、「はい、ここはキレた信長が、光秀を折檻するシーンですよ」と説明されている感じしかしません。
光秀がぐったり倒れて動けなくなったりすれば、まだ信長の本気度も伝わってきたのではありませんか。
どうする所作
主演はじめ、ガラリと変わったという賞賛記事は読みました。
私はさして変わっていないと思います。
まず座り方。芯が一本通ったような、キリッとした座り方になっていない。
『鎌倉殿の13人』のとき、北条義時は座って首を傾ける場面が多くありました。
リラックスしているようで、どこか常に冷たい光があるよう。座り方ひとつとっても美しい。
あの小栗旬さんが綺麗に咲く花だとすれば、このドラマは100均の造花のようで見ちゃいられない。
月代になろうが、わざとらしく闇堕ち演技にしようが、芯が通っていなければそれまでのこと。
刀の持ち方なんて、全く力の入り方がなっていません。箒を持って掃除でもするのかと思うほど。
どうする「しくじりは許さぬ」
織田信長は「しくじりを許さぬ」人物だったでしょうか?
前田利家が織田家を追い出されても武功を立てて復帰を許されたり、戦場を勝手に離脱した豊臣秀吉も後に手柄を立て、ちゃっかり褒美まで貰ったりする話が残されている。
謀反を起こした者に対しても、即座に滅ぼすなんて苛烈なことはせず、事前に降伏勧告している。
他ならぬドラマの中においてもそうです。
なにより、マザー瀬名による「慈愛の国構想」を支持していた家康だってお咎めが無かったではありませんか。
こんな甘っちょろい信長は前代未聞。
せいぜい、ぬいぐるみのチワワであり、狼とは冗談にもほどがある。
どうするピロピロしたBGM
BGMが相変わらず素っ頓狂です。
全く場面にあっていないピロピロした音楽は何なのでしょうか。緊張感が削がれます。
スーパー銭湯の待合室あたりで流れていたら、リラックスできそうな音楽ですよね。
どうするBL
『イケメンが顔と顔を近づけて迫れば、BLだって騒ぐでしょwww』とかなんとか思っているのでしょう。
『麒麟がくる』の信長と光秀に遠く及びません。
NHK公式ブロマンスという点では、朝ドラ『らんまん』の圧勝です。
主人公である槙野万太郎を我がものにしようとした田邊教授が、研究を用いてドSぶりを発揮する。
そんな万太郎に、大窪という助教授がツンデレアプローチをした結果、植物の学名に「オオクボ×マキノ」と刻まれるという快挙が成し遂げられました。
『らんまん』と『どうする家康』は、ブロマンスセンスでも10年以上センスの差がついています。
どうする棒立ち部下
信長が刀まで抜いて一生懸命何か言っているのに、背後で家康がぬぼーっと立っている。
なぜ、これでよしとしたのか。何か反応するよう演技指導はできなかったんですか。
「眠ぃ、上司うぜえ、早く家帰って寝たい……あ、スマホゲーのイベント今日までだ。やりてえわw」
そんな現実逃避をしながら上司の自慢話を聞いている新入社員みたいに思えて辛い。
そうかと思ったら口をひん曲げて「あんたみたいになりたくねえしw」とか言い出しますが、これも新入社員が気まぐれで上司に逆らったようにしか見えません。
いや、何も考えてないわけではありませんよね。
家康の脳内を想像してみました。
信長はマザーセナと信康を殺した戦犯なんだ。罪を犯した奴だ。
信長はマザーセナのおかげで大きく発展できたことを忘れてはならない。
わかったな?
マザーセナのおかげで信長は天下を狙えたのだから、その恩を我々に返さなければならない。
信長という大名が恵みを受けて大きくなれたのは、マザーセナが祝福したから。
マザーセナの祝福を受けた者は 必ず恵みを返さなければならない。恵みを施さなければならない!
信長は“慈愛の国”をどうするつもりなのか? マザーセナを追い詰めたじゃないか! 信長の政治はどうなると思う?
滅びるしかないだろう。光秀に教育を受けにこいと伝えろ。わかったか?
どうするジャニーズ頼り
ドラマの出来がどれだけ酷くても、ジャニーズが登場していればメディア対策は問題はない。ファンで数字を狙える。
そんな記事が今週も氾濫しています。
例えばこちらに注目してみましょう。
◆『どうする家康』家康が化けた! 悲しき海老すくいで松本潤の憂いに深み(→link)
見出しにジャニーズ俳優の名前を入れる。
本文には20年以上前の民放ジャニーズドラマを入れて褒めちぎる。
悲し過ぎる「海老すくい」を見て、松本潤が嵐5人で主演した『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』(02年)を思い出した。
こうするだけで「さすが識者様は推しを褒めてくれる!」と喜ぶコメントで溢れます。
そして仕上げだ。
『コンフィデンスマンJP』ではコンゲーム(騙し合い)の世界を痛快なコメディ化した古沢氏だが、どんなに痛快そうな作品でも、どこか状況を冷笑しているようなところがあるのが古沢作品の妙である。『どうする家康』にもいよいよその本領が発揮されてきた。
ジャニーズと懇意にしている脚本家もそつなく褒めればバッチリ……というプロの仕事ですね。
今年の脚本家がジャニーズに近いというのは、私の妄想でもありません。
・『どうする家康』の主演と準主演はジャニーズ俳優
・映画『レジェンド&バタフライ』主演はジャニーズ俳優
・『映画ドラえもん』でもゲストキャラクター声優がジャニーズ俳優
題材の知名度とジャニーズ俳優、そしてこの脚本家を組み合わせれば勝てる!
そういう勝利の方程式があるんでしょうね。
◆ 松潤主演NHK『どうする家康』は「シン・大河」になる? 大ヒット大河ドラマ“勝利の方程式”とは(→link)
◆ “政略結婚カップルの戦国ラブコメ”から始まった古沢良太の脚本の旅。「信長というキャラクターを考えていくうちに、スター木村拓哉と重なった」(→link)
◆『映画ドラえもん』200万人突破で永瀬廉の動画解禁 古沢良太氏の直筆「ソーニャ」画像も公開(→link)
そしてNHKも、この策に乗ったわけですが、他ならぬジャニーズ事務所が故人の性加害告発問題で揺れている昨今、勝利の方程式は崩れつつあるのでは?
そんな記事も出ています。
数字的には、確実に失敗しており、今後の対応が見ものではありますね。
どうする狼と兎
兎が狼を喰らうって、小学生でも恥ずかしくなるような話ですよね。
「そもそも兎は草食じゃねえか! チモシーでも食わせておけ!」
そうつっこみたいが、この狼と兎のたとえって、脚本家渾身のフレーズなのでしょうか。決定的にセンスがないんですよね。
兎にそういう意味合いを持たせる伝統はないし、狼も残虐で強いという意味合いでそこまで使う動物でもない。
「オオカミ!」と連呼するあたりも恥ずかしい。
『麒麟がくる』の語彙力なら「豺狼(さいろう・ヤマイヌとオオカミ)」あたりを使ったのではないでしょうか。
どうする「寺子屋」
スタッフが頑張って漢籍を学んできたことはわかった。
でも『韓非子』ね……。
ドラマ10『大奥』で、徳川綱吉が読む『韓非子』の使い方は見事でしたが、
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ドラマ大奥感想レビュー第6回 求められるのは子作りばかりという地獄
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本作は、突然、何を無理したのよ?としか言いようがありません。あえて四書五経を抜かしたんですかね。
この教育場面も実に乱暴でした。
天井から光が差し込む秘密基地じみた建物は何ごとでしょう。あんな光が差し込む場所で本を読みたいと思います?
だいたい、あそこはスタイリッシュ寺子屋なのか、藩校なのか。江戸時代の教育が混ざっていませんかね。
戦国時代の大名の子息ならば、漢籍は寺で僧侶に習うことが定番でしょう。
突然出てきた教育係の平手政秀が、漢籍読解も書道も教えるというのは、織田家の教育環境が劣悪としか言いようがありません。やたらと厳しいとか、虐待じみていてトラウマになるとか。そういうことではなく、ただ「雑」。
特に、信長が書道を習う場面は酷かった。あんな書いている途中で紙を引っ張ったりしないでしょうよ。
書道というのは単に文字の見栄えだけではなく、精神性や心を養うもの。じっくり最後まで書かせて、どこがよくないのか、どうすればよいのか、見て直すものでしょう。
あんな無礼で邪険な態度で書道を教える奴がいてたまるか。小学校時代の先生と混同していません?
ああいう指導場面を作り上げてしまうことからも、日本の文化伝統に全く興味がないことが明らか。筆の持ち方からしてどうにもおかしかった。
NHKが悪いとは思えません。
『らんまん』の万太郎は、子役のころからしっかりしていました。
朝ドラは所作指導をきちんとして、大河はやらないとは、どういうことなのでしょう。
どうするカメラ
カメラを持ったまま歩いて撮影した場面があります。
ぶれています。
意図していないぶれ方でしょう。
問題は、それがそのまま流されてしまうこと。チェック体制はどうなっているんですかね。
どうするゲス秀吉
しかし、本作にも絶対に手を抜かない場面があります。
女遊びの描写です。
秀吉の場面にすかさず女を入れる。
『麒麟がくる』では台詞だけで秀吉の女遊びを表現していたのに、ゲスい今年は、ここぞとばかりに用意しておく。
秀吉だけわざとらしく訛らせているのですが、イントネーションが他の地域と混ざっていておかしい。
『レジェンド&バタフライ』も訛りがおかしかったものです。
京雀の関西弁すら無茶苦茶なイントネーションに聞こえました。
だいたい、なんでこの秀吉は信長が討たれるかもしれないと期待している前提なのですか? 結果から遡って騙そうとするのって、歴史もので最もやってはいけないことです。
どうする一般常識
このドラマは、まともな知識を持たずに作っているのでは?という場面がちょいちょい現れます。
・北半球なのに南の方角に虹が出る
・当時は茶器だけに用いられた陶磁器に米飯をよそう
・狼が減っている(新規)
狼が減ったのは、明治以降の話ではありませんか?
江戸時代までは狼が人を襲い、食われるような凄惨な事態もあります。
私がトラウマになった絵画作品に、月岡芳年作『郵便報知新聞』第623号があります。
女性二人が山賊に襲われ縛られたまま放置されていたら、生きたまま狼に喰われたという凄惨極まりない作品です。
この事件そのものは虚報説もあるそうですが、こういう記事が出るほど明治時代初期は狼がありふれていたということです。検索する方はご注意くださいね。
そして、こうしたしょうもないミスからわかること。
脚本家がそもそも歴史に興味がないということでしょう。
大河の脚本家となれば、資料を集め、ともかく集中して書くといいます。
しかし今年はそうではないのでしょう。
同時進行していたと思われる作品が数多くあります。
これは脚本家一人の責任でもなく、依頼した側にも任命責任があるのでは?
どうするリベンジ
大河ドラマで織田信長を演じる――。
もしもそんな依頼があれば、役者冥利に尽きる一世一代の大役であり、心踊ることでしょう。
『麒麟がくる』の染谷将太さんは、自分でいいのかと驚いたそうです。
けれども、そんな晴れ舞台の脚本があまりにひどい。
そうなったら、どこに怒りをぶつければよいのか。
過去にそんな無念の思いを抱いた役者はおります。
『天地人』で信長を演じた吉川晃司さんは不満を漏らしていたとか。
しかし、彼が『八重の桜』で演じた西郷隆盛は素晴らしかった。
大河へのリベンジはこれで果たしたといえますが、織田信長という役に対する無念さは……Amazonプライム『MAGI』で見事な信長で晴らすことができました。
こうした無念の信長枠には、『江』の豊川悦司さんもあてはまると思います。
彼も時代劇俳優として活躍し、『仕掛人・藤枝梅安』できっちりリベンジをしていますね。
そして新たな「残念信長枠」として浮上したのが岡田准一さんなわけですが……。
◆「どうする家康」岡田准一 信長役再挑戦に意欲「いつかまた出会えれば」実は“初回からOA未見”と告白(→link)
「信長役の再挑戦に意欲」という言葉でかなり肯定的に描かれていますが、実際は少なからず不満がおありでは?
「実は初回からオンエアを見ていない」
とのこと。
それだけでもちょっとした驚きですが、冗談でごまかしたかのように以下のような発言をされています。
トークショー中も「全部終わってから見ようかなと。途中で見るといろいろ言いたくなる。僕の出番が終わって、松本君の成長を一気見して、ここまで持っていったかというのを見られるのも良さかなと」と明かし「途中で見ちゃうと磯さんに“あれ、どうなってるんですか?”と議論が始まっちゃう」と笑いを誘った。
この笑いを誘うという発言、目は笑っていなかったのではありませんか。
そして甚だ残念なことながら、岡田さんにそのリベンジができるか?というと、現状、厳しい状況が続いています。
◆ 木村拓哉「ジャニー喜多川氏性加害問題」でCM消滅報道ウラにジャニーズの「深刻なスポンサー離れ」(→link)
◆ 資生堂はキムタク起用を白紙撤回報道 ジャニーズ事務所が直面する「大手スポンサー離れ」の必然(→link)
海外を意識した企業からは、すでに所属事務所が避けられる状況であり、NetflixやAmazonプライムなどの海外勢VODも厳しい状況となるでしょう。
では国内のスポンサーはいつまで起用するか。
いくら所属タレントに罪はないと叫んだって、お金を出すスポンサーにとっちゃ、リスクのない方を起用した方がいいのは当たり前。
となると、映画にせよ、民放のドラマにせよ、大河ドラマにせよ、以前とはまるで異なる状況となってくるはず。
考えれば考えるほど、暗澹とした気分になりますが、一体どうすればよいのか……。
それにしても、どうにも脇が甘いというか、隠そうとしても本音が出てしまうというか。
別の記事では、見所をこう語っているわけですが、
◆「本能寺で家康は『第3形態』になる」 今後の見どころで岡田准一さんが予告! 「どうする家康」でコメント公開(→link)
オンエアを見返すこともない人に、ギアをチェンジしたかどうか?わかるとも私には思えなくて……。
どうする陰謀論と有毒ファンダム
今年の大河ドラマは、考え方が陰謀論じみていて困ります。
脚本家からして「史実なんてフィクションだ」と堂々と語ってしまう。
史実とされている物語よりも、自分の妄想の方がいけてるし面白いw その妄想の邪魔になる要素は全部消していくw
といった創作スタイルなんでしょうね。
ただ、一年間を通して描く大河ドラマで、それをやるのはあまりに危険。
だんだんと悪化して、5W1Hみたいな基礎まで飛ばすようになりました。家康の堺見物なんて、思いついちゃったシナリオの邪魔だからすっ飛ばすのでしょう。
構造物からネジを抜いてしまうと、そのせいで崩れてしまうこともある。本作はそういうダメなネジの抜き方をします。
特に、今週放送のラストで
「家康が信長を討ったで!」
と京雀が間抜けな叫びをあげた場面は何ごとでしょう?
それで視聴者を引っ掛けたつもりかもしれませんが、本能寺の変がそうでないことは誰でもわかること。ハラハラするわけがない。
しかもこのひっかけパターンは三方原の戦いでも使っています。
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『どうする家康』感想あらすじレビュー第18回「真・三方ヶ原合戦」
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本作は、陰謀論者が使いそうなロジックで話を組み立てるため、かえって話の展開がわからなくなることがある。
カルト経典の類は、何が言いたいのかまったくワケがわからないことがありますが、それと構造が似ている。
自分たちだけが解読できる! スゴイ! 特別!
そんな優越感を発生させるにはうってつけですね。公式がこんな注釈みたいなインタビューを出さねば理解できないほど。このドラマは暗号読解ですか。
◆「どうする家康」信長が光秀にキレた本当の理由 演出統括・加藤拓、饗応シーンの裏側明かす(→link)
なぜわかりにくいかというと、最大の見せ場すらアドリブだからのようでして。作っている側も混乱しているのでは?
アドリブって料理ならばパクチーみたいなもので、それをメインにしてドレッシングかけて出すようなものではありませんよね。
しかも、台本では家康と信長が安土城で相撲を取るはずだった。
だからタイトルも「安土城の決闘」。殺し合いでもない相撲なら「安土城の大一番」でしょうが、本作のお粗末語彙力ならばそこはあきらめましょう。
いやいやいやちょっと待て……アドリブで相撲そのものが消失したなら、もうタイトル詐欺ですよ!
◆「どうする家康」松本潤&岡田准一のアドリブ光る本能寺前夜の12分(→link)
天下の興亡は匹夫も責め有り
今年の大河ドラマは何が悪いのか。
二週連続こう言います。
天下の興亡は匹夫も責め有り。顧炎武『日知録』
こちらの提灯記事をご覧ください。
◆「どうする家康」井伊直政の「九郎義経と同じ」発言に大河ファン反応 SNS「間違ってもない」「完全に狙ってたでしょ」(→link)
見出しの時点で私は顔がひきつりました。
記事中では、以下の赤字部分ですね。
町娘に囲まれながら薪割りをする直政は「私は見た目は華奢だが力はあるのさ。まっ、九郎義経と同じだな」と源義経を引き合いに自身の力を自慢。於愛からは「またおなごをたぶらかして! いい加減にしなされ!」と叱責されたが、「於愛様、誤解です。私がおなごを好きなのではなく、おなごが皆、私を好きなのです」と軽口をたたくのだった。
この「九郎義経と同じ」という発言がツイッター上では話題に。前大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で源義経を演じた俳優、菅田将暉(30)は16年の大河ドラマ「おんな城主直虎」で井伊直政を演じていたためだ。視聴者からは「そういう意味じゃないけど強ち間違ってもない」「菅田くんと李光人くんが繋がる感じエモい」「現・万千代の口から『九郎義経』の名前が出てきたのなにげにアツいよね」「大河民ならピンとくる」「いずれ板垣李光人さんにも義経やって欲しい」「完全に狙ってたでしょ。 井戸の底の武衛な民を喜ばせようとしてたんでしょ」などと反応する声が上がっていた。
義経のことを「華奢だけど力はあるんだよね」とあっさり語っています。
つまりは、脚本家もメディアも、(実在するならば)Twitterの声も、誰も「義経の弓流し」を知らない。
屋島合戦のとき、義経は愛用している弓を流してしまい、危険を承知でそれを拾います。
なぜか?
義経は力が弱い。誰かに弓を拾われたらそのことが知られてしまう。それを恥じて拾いに向かったのです。
この場面は、あまりに有名かつ定番であるせいか、『鎌倉殿の13人』では出てきませんでしたが、義経の腕力が兄たちよりずっと弱いとわかる場面は以下のように用意されていました。
◆義円の弓の腕前が、自分よりも上だとして義経が拗ねる(鎌倉11回)
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鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第11回「許されざる嘘」
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◆頼朝の弓を義経が引くとき、非力なために腕が震えている(鎌倉14回)
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鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第14回「都の義仲」
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ああいう場面を見ていると、義経はやっぱり腕力に自信がないんだなぁ、そこが劣等感なんだなぁと思えてうれしかった。
弓流しをあえてやらずとも表現できるのが非常に素敵だった。
さすがは三谷さんだ、歴史って楽しいな、という喜びがあった。
それが今年は、義経が腕力自慢をしているという時点で、もう決定的に受けつけない。ふつふつと怒りが湧いてくるレベルです。
個人的な話ですが、私の人生最古の推しは源義経であり、小学生の自分だって、こんなニュースを読んだら「ちがうよ、義経は力が弱いよ!」と怒ったと思います。
おそらく今だって、そういう気持ちの子供もいることでしょう。
歴史の積み重ねを無視して、“井戸の底の武衛な民“だのなんだの、そういう声欲しさにこういうことを書く。それを肯定的に取り上げて提灯記事を書く。何もかもが嘆かわしいとしか言いようがありません。
そしてさらなる疑念も湧いてきます。
彼らは本当に大河を見ているのか?
歴史を楽しんでいるのか?
それとも、大河ファンであると自認する者同士で褒め合い、じゃれあうことを楽しんでいるのか。
今はインスタ映えなんて言葉がありますね。何かを食べ、味わうことではなく、SNSで映えることを重視する。
大河ドラマにそうした層がいても自由ですが、問題は、制作サイドがそうした反応ばかりに目を向けることです。
結果、ドラマが場当たり的なウケ狙いばかりになったら、本末転倒にもほどがある。
となると、今年の大河の低迷は、もはや作り手だけの問題じゃないという気がしてきます。
私は『麒麟がくる』が大好きですし、『鎌倉殿の13人』を大傑作だと思っています。
作品ごとの思い入れは当然ありますが、大河枠ごと好きか?と問われたら、「いいえ、ファンではありません」と答えます。
大河ファンだのクラスタだの、そういう枠組みに囚われることには危険性を覚える。
要するに、私は大河ファンではありません。
豺狼当路
豺狼路に当たれりいずくんぞ孤狸を問わん。『後漢書』「張綱伝」
山犬や狼のような奴らが問題の中枢で権力を握っているのに、どうして小悪人の罪を問うことができる?
そうはいっても、この駄作の責を視聴者が負うのもどうかと思う。
どうしてこんなひどい作品なのか?
幸いにも、狼は姿を見せているようでして。
◆ 「一番いいところを一番素直に届ける」NHK大河「どうする家康」制作統括・磯智明チーフ・プロデューサー (→link)
◆【どうする家康】磯智明プロデューサーが語るドラマ出演者の素顔 シンポジウム記録②(→link)
磯プロデューサーの発言に注目します。
非常に饒舌な方で、ここまで多くを語る裏方さんて、そうそういませんよね。
それに脚本家がふわっとしたことしか語らないのに、磯プロデューサーはプロットの根幹部分のようなことをしばしば明かす。
作品の中に、彼の意識が相当入っているのだろうと思えます。
それにこういうインタビューにしろ、肝心な芯はなく抽象的。
『鎌倉殿の13人』は、多くのスタッフがどこに注力したのか、狙いを含めて語るラジオ番組がありました。私も聞いていました。
複数の証言から見えてきたのは、日本版『ゲーム・オブ・スローンズ』を目指しているということ。
具体的でいいと思うし、実際それを狙ったと思える箇所は多く、成功していたと思います。
ところが不思議なことに、メディアでは三谷さんの過去の作品は引っ張ってくるのに、『ゲーム・オブ・スローンズ』に言及する記事がほとんどありませんでした。
結局、日本のメディアは、海外のことなんて度外視しているのではないか。
去年そう思ったものですが、今や確信に変わりました。それがこの問題です。
◆国連人権理、24日から訪日 ジャニーズ性加害調査も実施(→link)
◆「70年前、ジャニー氏から自室で性被害」俳優の服部吉次さんが証言(→link)
◆ 「その日の夜、ジャニー喜多川氏は5人を次々に襲った」…俳優服部吉次さんらが証言した70年前の性被害(→link)
言語道断で言葉にもなりません。
そう思うと同時に、自分はこの問題を以前から知っていたのかと自問自答しました。
ジャニー喜多川氏の訃報を見ている時、しらけた気持ちだったことは思い出します。
海外のニュースでは性的虐待疑惑をふれているのに、どうして日本はそうでなく、英雄扱いなのか。汚い。そう感じてはいました。
とはいえ、報道される現実はそれをはるかに上回る規模であり、言葉を失うばかりです。
点滴穿石
けれども、大河ドラマは平然と放送されています。
そして放映後、ジャニーズと懇意のメディアとライターにより、じゃんじゃんと提灯記事が量産されます。
まるで巨大な岩のようにすら思えてくる。これは一体どういうことかと。
出演者の一人が「容疑者」となった段階で、『鎌倉殿の13人』は配信されなくなったのに、大河はよりにもよってまたジャニーズ俳優同士が暴力的なBLを繰り広げている。
よりにもよって公共放送が、堂々と看板番組でこんなものを流していたら、何の説得力もない。この家康が愛だの正義だの、よくも言えたものです。
ジャニーズが関わっただけで全てお蔵入りにできないのだとすれば、それはもっともなことだと思います。
『鎌倉殿の13人』のような別の作品も含めて、どうするのかルールを決めて説明すべきでしょう。
それすら怠り、漫然と駄作を流すNHKに倫理はあるのでしょうか?
答えは「あります」。問題は、それが守られているのかどうか。
◆「NHK倫理・行動憲章」「行動指針」(→link)
それにどんなに小さな声だろうと、発していれば岩に穴が開けられるかもしれません。
泰山の霤(あまだれ)は石を穿(うが)つ。『漢書』「枚乗伝」
泰山にふる雨の滴は、石に穴を開ける。
とりあえずここに、意見を送ってみましょう。
◆NHK みなさまの声(→link)
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文:武者震之助(note)
【参考】
どうする家康/公式サイト











