麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第5回 感想あらすじレビュー「伊平次を探せ」

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麒麟がくる第5回
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荒れ果てた都で

はい、ここで当時の京情勢。

 

天文年間『京の歩き方』

◆治安?
最悪です。公家、僧侶、そして将軍まで逃げるほどの戦乱が発生しています。この苦しそうな民の顔をご覧ください。

◆将軍は?
近江より帰還しましたが、不安定です。

◆勢力図は?
細川晴元三好長慶とその家臣・松永久秀、そして将軍家の三つ巴状態。最悪です。ちなみにこの群雄はセリフもなく一瞬の出番だった方もおりますが、素晴らしい風格がありました。

京都へ来て、目的地の本能寺に到着する光秀。中へ入ろうにも、お侍だらけで、公方様――足利義輝様がいるようだと制止されてしまいます。

そして気品と力強さを持ち合わせた武家が光秀の鉄砲を見咎める。

「背に負うているのは鉄砲か」

公方様の護衛を担当する彼からすれば、武器持ち込みの時点でありえない。怪しいものがあれば処断せよと言われておる。そう目をギラつかせています。

彼からすれば、光秀が鉄砲を買えるほど金があるようには思えません。言われてみれば怪しい……刺客か! 鉄砲を渡せと言われ、光秀は理不尽だと反発します。

「理不尽を通すぞ」

抜刀する武士。
悲鳴が上がり、別の武士もそうしますが、ここでこれですよ。

「手出しは無用」

あっ、なんだか久々に聞いた気がする。そうなんだ、こういうセリフが聞きたかったぞ!

ここの殺陣。もうこれだけで日本の時代劇の存続を見たようでうれしくはあった。すり足をして、ジリジリと接近し、かつリーチを詰める動きをする。

もっさりしているという評価もたまに見かける殺陣ですが、1970年代あたりの改良版、重たく「実際の武術」をふまえた動きなのだと思います。

チャリーンチャリーンと鍔迫り合いをする殺陣って、迫力はあるけれどもリアリティの欠如がある。刀同士って、なまじ研いでいるから、ぶつけると割と簡単に破損するのです。

一昨年、薩摩自顕流の動きが全然なってなくて、どちゃくそ文句を書いた記憶があるんです。一方でVODの歴史ドラマ『MAGI』では、この手の所作が素晴らしくて優秀なスタッフを引き抜かれたのか?と絶望感すら覚えていた。

けれども、一皮向けて新機軸を追い求めているとわかる殺陣が見られている!

やっぱりここは、『柳生一族の陰謀』リメイク版に期待するしかないな!

※身体能力高い役者さんが揃っていることですし

 

花の如き公方様

殺陣をうだうだと褒めるのも、このへんにしまして。

「藤孝、やめい」

そう馬上から声を掛けたのが、公方様です。その途端、光秀はじめ皆ひれ伏す。光秀の驚いている顔からして、相手の醸し出す何かがわかるのです。

で、その相手です。

「おおー、公方様じゃ!」

「公方様!」

なんだろう……この、柳や藤が風に揺れるような、ゆらりゆらりとした動きは。馬の上にいると言えば、それはそうなのだけれども。

そこにいるだけで、周囲まで圧倒するような。威圧感よりも気品がある。すごい向井理さんだ!

「みごとな太刀捌きじゃ。鹿島の太刀と見たが、そうか? やはりそうか。我が師の太刀筋とよう似ておる。藤孝、そなたと同じ流派。仲間同士で斬り合うのはやめておけ」

一眼で太刀筋を見破る。これぞ、剣豪将軍の所以ではある。

流派:鹿島新當流

師匠:塚原卜伝

けれども、それはそれとして悲しいものはある。こんなに風雅な将軍が、個人武芸を磨くなんて異常な話ではある。そういうことは、護衛がやればいいんです。こんなの、将のすべきことじゃない。

謀を帷幄の中に運らし、勝つことを千里の外に決す――。

本来、幕の内側で作戦を考えていればよろしい。斎藤利政がそうだったのに。

どうして将軍自らが戦う?
こんなに優雅な方が?

身分秩序の乱れを感じる。
織田信秀のような者が、つまらないと言いながら蹴鞠をし、和歌を学ぶ。そして将軍が剣術を学ぶとは。鉄砲の時代になるのに、剣術か……。

なんだかこう、乱世が悲しい。

太平の世なのに、同じ流派どころか親子同士がとんでもないことになる。そんな『柳生一族の陰謀』にも期待しましょうか。

ここで、堺で見かけた三淵藤英の姿に、光秀は気づきます。

 

三淵藤英と細川藤孝は兄弟

藤英から、あの武士の素性が聞かされます。

戦国のスーパーマン・細川藤孝

別名:細川幽斎

著名な家族:異母兄・三淵藤英、嫡男・細川忠興(誰が演じるのかな?)

特技:文芸、茶道、武芸、料理、舞踊……だいたいなんでもできます!

この人はとんでもない。才能がありすぎて、もう意味がわかりません。
演じる眞島秀和さんも大変です。この役をこなせたら、彼が好きだという幕末の鬼玄蕃こと酒井玄蕃もきっとできますよ!

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兄として、弟が公方を守るため気が立っていたと謝る藤英。

藤孝は怪力の持ち主でもあることですし、その短気な父親の血が濃くなって嫡男に出てしまい、大変なことになるわけですが。秋あたりには、彼も出てくることでしょう。

武術の腕前も抜群、そんな藤孝は正直に言います。

同じ流派ゆえ、腕前はすぐにわかった。斬られるかと思った。すると光秀が、私も危なかったと返します。

「嘘でしょう、余裕しゃくしゃくでしたよ」

そう返す藤孝はいい人のように思える。もう現時点で、光秀との相性の良さが出ている気がする。眞島さんは役柄の気品と豪快さをきっちり出してきています。

それ(鉄砲)は京で持ち歩かぬ方がよいと助言されたうえで、藤英は弟のことを語ります。

武術が好きで、それゆえ公方様に似ていてお気に入りになったのだと。

本当に皮肉なんだよなぁ……また繰り返します。信秀とその家臣が蹴鞠をしているのに、将軍は剣術に夢中だなんて。

 

民なくして、この世はない

藤英は、光秀の鉄砲入手ルートを確認してきます。堺で入手し、松永久秀に頼んだのだと見抜いているのです。

第一回からの情勢が動きましたね。
鉄砲そのものは変わらない。けれども、価値は変わったということです。

藤英はあの時点で鉄砲入手に乗り気ではなかったし、久秀もプレゼントするくらいですから、そこまで惜しんでもいなかった。

ところが京がこうも動けば、近江・国友村、そして美濃にも情報は伝わる。尾張の織田にも、駿河の今川にも。こういう情報が結構大事なことだと思う。

私は細かいところに変なツッコミをして、めんどくさい奴だとさんざん言われます。

けれども、何か大きな動きがあれば、その余波は細部にまで出てくる。エキストラの動きが変だとか、小道具の作り方がおかしいとか。セリフに何かおかしなところが出てくるとか。
ドラマだと、そういう細かなところに何かヒントがあったりする。だから見逃せなくなってしまうのです。

そんな最中、今日、藤英が久秀に会いに行くという。

鉄砲のお礼を申し上げたいと光秀が伝えると、ぞの場所が本能寺であり美濃の伊平次に会わねばならないと言い出すのです。藤英も捜索しているのに、とんと居場所が分からないらしい。

そして藤英が衝撃的なことを言い出す。伊平次は先月まではいたものの、今は行方不明――。

生きているのか、死んでいるのか、はたまた監禁でもされているとか?

きな臭い。
と、同時に大事なことも考えてみましょう。

本作は、架空の人物に時間を割きすぎで、大河視聴者は英雄の【史実】だけを見たいという分析が出てきました。

果たして史実とは何を意味するのか?

どんな英雄だろうと、無名の民の協力がなければ生きてはゆけない。そんなことは当然であり、長らく受け入れられてきたことでもあるのです。前回書いたように【廟堂】(為政者)と【江湖】(民衆)の対比が描かれるからには、それなくしてドラマは成立しません。

本作へ不満のある方が何十年前の大河を理想としているのか不明ですが、世界的には、そういう要素を描くことが主流となっております。

ハリウッドが、信長でなく、弥助で映画を作る理由を考えてみると良さそうです。逆に、その発想についていけなければ、残念ながら2020年代のコンテンツに追随できるかあやしまれるところではあります。

NHK側は、おそらく気付いているでしょう。それに今降って湧いたことでもない。民あっての為政者だということは、古来より世の常として認識されてきたことなのです。

架空の人物の出番を削るテコ入れをすれば、作品そのものが死にかねません。むろん、ここまで考え抜かれた作品が、そんな愚かな手を使うことはないと信じたい。

菊丸の正体を探るニュースも、根底にはこういう【江湖】軽視を感じます。
民が民として生きて、それがつまらないって? そういう認識そのものが、世の乱れのようで気が重たくなるのです。

 

松永久秀の陣所

かくして、藤英が久秀の陣所へ向かうのですが、これも皮肉です。公方様の家来が出向くのです。本来呼びつけるべき側でしょう。

警護の者も、見るからに気品あふれる藤英に絡む。どこの三淵じゃ。そう誰何すいかするほど。足利義輝に仕えていると聞いても、挑むような態度を崩さない。

それに本作の恐ろしいところって、気品の演じ分けがこういう無名の人物にもあるところなのです。公方様周辺の佇まいと比較すると、荒々しくて品がない。でも、エネルギーが放射しているようではある。

あの藤の花のような公方様は、この荒々しい力の前でどれほど抵抗できるのか?

どうしたって、そこは不吉なものを覚える。歴史を知っているからではなくて、見ていて圧倒されてしまうのです。

「今、我が殿は、多忙につき誰にも会えぬ!」

そう言い切られ、約束があると藤英は粘ります。そして強引に、奥へと進みます。

「うわーっ、熱い、熱い! あーっ!」

「松永殿……」

「もうよい、火を消せ!」

と、久秀はなんだか爆発しそうな声をあげております。お灸を据えられております。何お茶目さん全開してんのよ。

ついでに言いますと、当時のお灸は今のものよりはるかにワイルドだからさ。これはつらいと思う。

「はあよい、下がれ下がれ。これはこれは三淵様、見苦しいところをご覧に入れて失礼しました」

うん、大河のテコ入れに女優ヌード期待飛ばし記事は定番ですが。吉田鋼太郎さんの半裸を先に投入するって、本作は渋いですね。需要は知りません。どうでもいいです。

なんでも、久秀はしゃっくりが二日間止められなかったそうです。熱い目にあえば止まると誰かが申したがゆえに、試してみたって。

うーん。本作って漢方医学が好きな人にはたまらないな。漢方におけるしゃっくりとは、体の冷えが原因なのです。

これも本作のぬかりのなさでして。寒暖も、この世界を構成する陰陽です。
どちらか一方が強くなると、不具合が起こる。この場合はしゃっくり。だから熱くする。なんなんだ、いちいち設定が細かい!

久秀は、ここで連れの光秀に気付きます。堺で鉄砲の世話をしていただいたとお礼を言う光秀。

「あー、美濃の若い衆!」

そう笑い飛ばす久秀は、紛れもなく陽気です。
藤英が冷静な陰性であるだけに、対照がなんとも見事で、もう、毎回精緻な織物を見ているような気分だ。ここでの久秀の衣装も斬新。

久秀は、どうしてこの若い衆がここにいるのかと尋ねます。

出会った場所:本能寺

若い衆の目的:伊平次捜索

この二点を確認して、久秀ははしゃぐ。崇拝する斎藤山城守(利政)も鉄砲に目をつけたと察知し、うれしそうではあるのです。

そして久秀と藤英の鉄砲入手への魂胆が語られる。利政の求めた「何故」の答え合わせですね。

細川晴元にせよ、三好長慶にせよ、今度の戦では鉄砲を使うと息巻いてはいる。しかし、義輝はそうではない。戦に鉄砲を使うつもりはない。

そもそも誰を相手に戦をするのです?
そう問いかけられ、久秀は細川晴元だと即答します。

藤英が、公方様は細川晴元様を敵とは思っていないと否定しても、しらじらしいと久秀は笑い飛ばす。

今はそうだろうと、昨年、京都を血で血を洗う争いをしたばかり。

「それがしも、そなたの家臣に大分命を狙われた……」

久秀がそう凄むのが格好よろしい。もう一人、思い出したいのは利政の暗殺テクニックですね(標的:土岐頼純)。罠にはめて呼び出し、毒殺とは実に理想的です。

闇雲に刺客を放っても、成功率はそこまで高くないのよ! そこは考えんと! やはり、令和のビジネスパーソンはこういうところを大河から学びたいものですね。

藤英はそれでも粘る。所有を100丁上限にして、互いに持てばよろしい。

左様な数合わせには同意しかねる。そう久秀はつっぱねる。

藤英は、今日は明智殿もおいでだし、また出直しましょうと帰ってゆきます。

「改めて申し上げておくが、私はもう二度と京の都で戦をするつもりはない……今の穏やかな暮らしを長く続けたい。それだけです」

藤英はそう念押ししますが、これも結構な怖い伏線かもしれない。

こういう暗黙の了解は、どこまで信用できるのでしょうか。誰も襲わないと思ったからこそ、信長はあの本能寺に嫡男ともども宿泊し、そしてあの結末を迎える。信頼関係を築くということの難しさを、ちょっと考えてしまった。

藤英の言葉も重たいと思う。武士だからいつでも戦えるのか。戦いたいのか。それはどうだろう。そこは考えないと。
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