麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第11回 感想あらすじ視聴率「将軍の涙」

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麒麟がくる第11回
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公方様は武家の棟梁であり、鑑。しかしその公方様を、側に置き、利用する道具としか考えておらぬ武家が多い。

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我々武家が寄って慕うべき柱を自ら貶めている。それゆえ、このような内輪揉めが起こる。

我々武士は病んでいます――。

そう語り終えて、朽木へ案内すると言ってくるのです。

ものすごく感動的で、心動かされる話ではあるのですが、「だから何?」とあっけらかんと言いそうな人もいるわけです。

松永久秀とか。斎藤利政とか。そして織田信長とか。

なんで公方様がありがたいのか?
そんなものは過去の権威ゆえじゃないか。血筋だけだろうが。そんなものをありがたがる必要はない。実力で取って代わればよい。弓ではなく鉄砲を使うように、古いものは朽ち果てるのみ。

そういう新旧の対比が本作ではハッキリしている。鉄砲がわかりやすい小道具とされています。

鉄砲を新しいものとして興味を抱くか。それとも胡散臭さをこめて見ているか。

そういう新旧の世代交代は、別の基準で裁かれてきたこともわかります。

梟雄。蝮。魔王。

古い価値観を打破しようとする者は、悪名がついてまわるのだと。

 

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将軍の涙

近江・朽木で、その公方様こと義輝は光秀の文を読んでいます。

「明智十兵衛、面をあげよ。そなたに会うのは三度目じゃな」

光秀は驚きます。

一度目。本能寺の門前で、藤高と斬り合うていた。見事な腕前だと感心した。剣術を好む義輝ならば、目を留めても不思議ではありません。

二度目。藤英の館で声を聞いた。

「私が幼き頃、父から教わったのは、将軍は武家の棟梁であらせられるということです。すべての武士の頭であり、すべての武士の鑑であり、すべての武士を束ね、世を平かに治める方であると。今、この世は平かではありませぬ。この京都も家臣同士が争い合う。それを目にしたなら、武士をひとつにまとめ、将軍が争うなと一言お命じになれば、世は平かにはなりませぬ! 三淵殿が将軍のお側にいるのであれば、そう申し上げていただきたい! 私情ではない。武士の一人として、お願い申し上げておるのです!」

将軍でありながら、世を平らかにできぬ。

けれども、それを望む武士が美濃に一人いる。それを聞き、どれほど励まされたか。光秀が恐縮していると、義輝は嘆きます。

「そなたの申す通りじゃ。いまだに世は平らかにはならぬ。わしの力が足りぬゆえに……」

三淵藤英細川藤孝はじめ家臣たちは、力が足りぬのは我らであると悔しそうに口にします。

我らが非力ゆえ。そう噛み締めているのです。

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こういう君臣に感情移入したら、将軍なんてなんぼのもんじゃいと鼻で笑う。そんな松永久秀が梟雄扱いされる理由もわかりますよね。

そして光秀は、そのどちらからも好かれるのですから、困ったものです。光秀の人生とは……。

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義輝は思い出しています。

父・足利義晴のこと。己が病弱であるがゆえ、幼き頃より、噛んで含めるように強くなれと言ってきたこと。声は大きく、よい耳を持て、さすれば立派な征夷大将軍になれる。世を平らかにできる。

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「さすれば、麒麟が来る。この世に麒麟が参ると。わしは父上のその話が好きであった。この世に誰も見たことのない、麒麟という生き物がいる。穏やかな世を作るものだけが、連れてこられる不思議な生き物だという。わしは、その麒麟をまだ連れてくることができぬ。無念じゃ」

公方様の嘆きを、家臣たちは苦しそうに見守るしかありません。

麒麟どころか、羽を折られた鳥が地面に落ちて、血を吐くように鳴いているような。そういう物悲しさがある。哀愁があります。

目が涙でキラリと光るところが、見ていて胸がかきむしられるような苦しみを感じさせるのです。

剣豪将軍ということから、向井理さんは頼りないだのなんだの言う意見もあるようです。

けれども、本作の義輝は哀愁をにじませるような着地点を見出しているはず。落ちて散る花のような、そんな向井さんは役を理解し切って演じていると思います。所作ひとつとっても、圧倒的に美しいんですよね。

比較対象として、やっぱりそこは信長です。はしゃいで相撲を取って、帰蝶で膝枕をする信長は、ネコ科の獣じみたものがある。意識せずに動いているだけで、圧倒的に魅力的。染谷さんが演じる上で意識していないというわけじゃないですよ。

それに対して義輝は、幼い頃からどう動くことが正しいのか、人の上に立つべく意識を作り上げてきた繊細な美しさがあると思えるのです。

誰が上とか、正しいということではなくて。皆それぞれが美しいし、役柄を読み込んで挑んでいると思える。そんな素敵な作品です。

光秀はそんな将軍から得たものを持って、美濃へと歩いてゆきます。

白い雪を踏みしめ、彼は歩いてゆくのです。

 

MVP:足利義輝

圧倒的な哀愁がある。そんな人物像でした。

麒麟がくる――そんな思いを、駒という民衆にせよ、公方様にせよ、口にするところに本作のテーマを感じます。

藤英と藤孝が「おいたわしや……不甲斐ない我らが!」という目線を向けてくる。忸怩たる思いを出してくる。

それを受け止めるだけのもの。光秀が語るだけの重さ。それを出しつつ、哀愁ももちろん出す。そのリクエストに答えるのって、相当難しいことだと思う。

能動的にはっちゃける信長や久秀以上に難易度が高いと思うのですけれども。

この義輝は、その要求をこなせている。あの涙が光る目だけで、完璧にこなしていて。

あの涙だけで、絵になっていて。これ以上は望めないほどでした。

 

総評

ちょっとツッコミ。
週刊誌の記事でもありましたが、信長の花押が麟だけに【麒麟=信長】という過剰な誘導はどうかと思います。

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はい、それはさておき。

衣装の派手さとか。帰蝶役の交代とか。4Kだとか。子役かわいいとか。そういうことは、誰か別の人が書くから、はっきり言ってどうでもいいとは思っていまして。

個人的な気持ちを書いてしまって申し訳ないのですが。

【サイコパス】信長に、【凡庸な悪】高政をぶつけてかなり納得できているところではあります。

信長をさんざんおかしいだの、賛否両論だの、そういうことを読んできて、「じゃあ何が正しいのか?」と考えてきまして。

今週を見ていて、その答えは見えてきたと思えます。朝ドラの『スカーレット』でもかなり整理されていましたが。

どういう思考回路を使っているのか。

本作はそこを見ていかないと、罠にハマり続けるんじゃないかという気がして、緊張感が漂っています。

今週でなくて先週の話ですが、感想を読んでいて妙なことに気づきました。

ともかく駒と伊呂波太夫パートを叩くコメントが出てくる。テンプレかよ。

「駒の時間いるの?」

「駒の出番はスマホいじってた」

「女を喜ばせたいんでしょ? 歴史好きの私はこういうの求めていない」

そういう感想に、毒を投げ込むような提言をしますと……。

駒の出番に伏線を仕込めば、ひっかけられますよね。

それに、これって海外の歴史劇では定番の手法でもあります。映画の『1917』は傑作でした。

あの映画に対して、

「どうして有名な軍人の話にしないの? オリキャラの伝令の話なんて退屈……」

「伝令が話している場面でスマホいじってた」

そういう感想を言う奴がいたら「あんたは見なくていいですよ」で終了でしょう。

 

そういうマクロとミクロを切り替えるのって、基礎中の基礎になりつつあるわけです。

そんなことは今日始まったわけでもない。戦争画を見てみると顕著です。

南北戦争やナポレオン戦争あたりまでは、有名な将軍が指揮をとる題材が好まれていた。それが第一次世界大戦ともなると、苦しむ名もなき兵士の姿が題材となってゆく。

視点移動、Points of Viewの変換は当然のことです。

『MAGI』にも、四人のガキじゃなくて信長を描くべきだというようなコメントがつくのですが、一体いつの話をしているのでしょう?

ハッキリ言い切ります。

「駒の出番はスマホいじってた」

そういう感想には、こう返したい。

「21世紀ですよ? 21世紀を生きましょうよ」

朝礼で司馬遼太郎、山岡荘八の話を始める。そんな昭和のおっさんと同じところでジタバタしていて、何か得られるものはあるんでしょうか?

ただ、なぜそういう行動をしたがるか、というのはわかる。

共感ですね。界隈で通じる理屈を表明すれば、リツイート、いいね、コメントを稼げる。共感を得ると、人の心は気持ちが良くなるらしい。個人差はあるけど。

そしてこういう共感を求めると、自分の認識が曖昧になることでもある。

ゆえに、私は共感を考えないでいくしかないとますます確信してしまった……クソレビュアーはクソレビュアーでいい。ステマの誘いはこないだろう。でも、それでいいかな。そう発見したのです。

大河レビューって、思っていた以上に手強くておもしろいな。そうしみじみと疲労しつつ、思っております。

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麒麟がくる全視聴率

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
麒麟がくる/公式サイト

 



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