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【青天を衝け第37回感想あらすじレビュー】
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伊藤博文と関係がある首相官邸
首相官邸――。
あのおなじみの場所に、伊藤博文も関係があります。
知っている人には知っているトリビアですが、一応、記しておきますと……。
「女遊びが激しすぎて、金が尽きた。そのせいで定住する家すら売り飛ばし、これでは困るため首相官邸が建てられた」
女好きがもはや異常レベルの伊藤博文~女を掃いて捨てる箒と呼ばれ
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ちなみに二代目の総理大臣で五代様とも仲が良い黒田清隆は、民家砲撃やDV妻殺人および組織隠蔽という前科もあります。
明治の政治家とは興味深いものです。
パークスの要求が実現されたわけですが
本作にも登場した英国人・パークスは「日本は近代国家になれや」とふっかけていました。
それが商工会議所やら、おもてなしに妻を同伴させるやら、よくわからん流され方をしましたが……。
議員内閣制度。
憲法発令。
選挙。
こうしたデモクラシーをイギリスを手本にして整備しろという要求でした。
ドラマの流れから、それが理解できたでしょうか?
毎週くどいようですが、本作から明治時代の歴史を学んではいけません。
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妻妾への愛をどうするか?
大河ドラマの噂として、こんなものがあります。
「側室のいない戦国時代の人物を取り上げるらしい……」
『天地人』の直江兼続。
『軍師官兵衛』の黒田官兵衛。
『麒麟がくる』の明智光秀。
こう並べると、納得しそうになります。
しかし、それは幕末大河を見ても同じことが言えるのでしょうか?
『八重の桜』の会津藩ならばわからなくもおりませんが。
『花燃ゆ』:幕末明治一女遊びが激しい長州藩でもモテ男の久坂玄瑞、その妻がヒロイン。案の定迷走する。
『西郷どん』:差別的な現地妻である島妻を美化する苦しさ。
要するに、説得力がないのです。
妻妾の描き方だって、工夫次第では深みが出せます。
『麒麟がくる』の斎藤道三を思い出しましょう。
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道三は帰蝶の母である小見の方を深く愛しているがゆえに、名医を呼び寄せていました。
それでいて、側室である深芳野も愛している。
土岐頼芸の妾を奪った達成感から側室にしたようで、高政(斎藤義龍)という嫡男が生まれ、何かが変わってゆく。
自分でも気づけないほど深い愛があったと、愚かしくも気づいたのは彼女の死後でした。
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それはあまりに遅く、それゆえ高政との間に決定的な断絶が生じてしまった。
不器用な愛ゆえに己を見失い、迷走し、最愛の女性が産んだ我が子に討ち取られる――戦国ならではの悲哀が詰まっていて、見ていて圧倒されたものです。
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そういうその時代ならではの愛憎の葛藤を味わってこそ、時代劇を見る喜びがあるのではありませんか?
当時の価値観ならば侮辱的な改悪を重ねながら、現代人に忖度する。そんなドラマは見なくていい。そう痛感できる。それが本作の恋愛描写です。
私は恋愛描写が嫌いなわけでもない。しょうもない恋愛描写が嫌いなだけです。
来年の三谷幸喜さんには期待したいと思います。八重姫、亀の前、北条政子……期待がふくらみます。
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