シェイクスピアいわく
「弱きものよ、汝の名は女なり」
とは言いますが、歴史上名を残している女性はいろんな意味で強い人が多いですよね。
その中でも史上屈指なのが彼女。
1762年(日本では宝暦十二年)7月9日、エカチェリーナ2世がロシアの皇帝に即位しました。
公私共にすげえとしか言いようのない女性なのでエピソードも多々あります。
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ロシア人じゃなくてポーランド人だったが完全ロシア化
エカチェリーナというのはロシアの女性名です。
が、彼女はロシア人ではありません。
生まれは神聖ローマ帝国北東部のシュテッティンというところで、現在はポーランドに属している街です。
名前もドイツ風の「ゾフィー・アウグスタ・フレデリーケ」でした。
つまりロシア人の血が一滴も入っていない。
それが、なぜロシアの皇帝になれたのか?
というと、彼女が並々ならぬ努力家だからでしょう。
もともとエカチェリーナ2世の伯父が、当時のロシア皇帝・エリザヴェータ(この人も女帝です)と婚約しており、伯父さんが若くして亡くなってしまったので破談になったのきっかけに、エリザヴェータの後継者であるピョートル3世と彼女が結婚することになったのです。
しかし、このピョートル3世は、生まれ育ちが神聖ローマ帝国ということを差し引いても、実家びいきが過ぎました。
その辺の経緯は以前ご紹介していますので、詳しいことは以下の記事をご覧いただければ幸いです。
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名前だけでなく宗教も言語もロシア化
一方、エカチェリーナ2世は結婚後、自分の何もかもをロシア風に改めたことで、国民からも貴族からも絶大な支持を得ます。
名前もそうですし、宗教もロシア正教に改宗。
さらにはロシア語を勉強しすぎて体を壊したとまで言われているほど、ロシアという国に溶け込む努力をしていました。
これでは「旦那より奥さんのほうがロシアの主にふさわしい」と思われるのも当然です。
ついでに言うと夫婦仲も最悪で、結婚からそう時間が経たないうちにお互い愛人を作っています。
仮面夫婦ってレベルじゃござーせん。
ピョートル3世の体の問題で子供が出来なかったともいわれていますが、治療しても関係が改善することはなかったそうです。
やはりお互い歩み寄る気持ちがないとダメなんですねえ。
この辺は似たような問題を持っていたルイ16世&マリー・アントワネット夫婦と対照的です。
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出産直後にクーデターって神功皇后にも匹敵するぜ
こんな状態だったので、エリザヴェータが急死してピョートル3世が即位しても、周囲の人間からは総スカン。
にもかかわらずずっと神聖ローマ帝国(の中で台頭してきていたプロイセン王国)びいきを続ける皇帝に、ついに貴族も聖職者もブチキレます。
彼らはエカチェリーナ2世の元へ集まり、クーデター計画を立てました。
しかしエカチェリーナ2世は愛人との子供を身ごもっているところだったので、実行までには数ヶ月を要します。
まぁ、出産が4月でクーデターが7月ですから、産褥明けにも程があるというか何というか、「母は強し」どころじゃありません。
エカチェリーナ2世自ら軍服で馬に乗って軍を指揮したそうで、こりゃ心酔している人からしたらテンション上がりますやね。
そもそもエカチェリーナ2世のほうが人望厚かったこともあり、このクーデターはほぼ無血で成功します。
ピョートル3世はその後、幽閉先で”急死”します。
これはクーデターに協力した女帝の愛人が勝手にやったこととされており、対応には頭を痛めたようです。
それらのゴタゴタを片付けてから1762年9月に戴冠式を行い、エカチェリーナ2世は正式にロシアの主となりました。
数百人の愛人で逆ハーレム マンガ「大奥」をリアルに
ここから亡くなるまで34年間皇帝をつとめあげ、政治的な功績も大きいのですが、彼女が人並みはずれているのは夜もずっと現役だったことです。
普通、この手の話題だと男性が主役であったり、あるいは「女帝・女王と夫の純愛」的な話になりますけども、エカチェリーナ2世は違います。
生涯再婚はせず、それでいて数百人もの愛人を抱えていたと言われています。
まぁ、数百は大げさにしても、名前がわかっているだけで10人いますから、「一晩だけ」の人もいたとすればその数は計り知れません。
愛人・夫に権力を持たせないために再婚しなかったのでは?
ともいわれているので、ストレス解消のために愛人をたくさん作ったのかもしれません。
まぁ、それはそれですごい話には変わりないですね。
夫に近い信頼を得ていた人物はおり、彼との子供も産んでいながら決してそうしなかったあたりに、彼女のプライドと理性がうかがえます。
「英雄色を好む」といわれますが、エカチェリーナ2世を見るあたり男女や昼夜関係なくエネルギッシュに動ける人こそ、「英雄」なのかもしれません。
夜のほうだけ真似できる人は多そうですけどねHAHAHAHA!
長月 七紀・記
【参考】
エカチェリーナ2世/wikipedia