昭和三十四年(1959年)の1月14日、第一次南極観測隊に参加していた樺太犬・タロとジロの生存が確認されました。
もしかしたら、当時をご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんね。
高倉健主演の映画『南極物語』は日本中で話題になりましたし、お若い方でも2011年のドラマ『南極大陸』をご覧になられた方もいらっしゃるでしょう。
例によって、お話はお話、事実は事実ですので異なる箇所もかなりあります。
では実際はどうだったのか?
まずは南極観測隊について見ていきましょう。
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映画『南極物語』(→amazon)より
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南極観測隊 今年でもう61次隊
南極観測隊とは、文字通り南極でさまざまな観測をするための調査隊で、1年に1回交代します。
現在(2023年10月30日発表時点)のメンバーは第65次南極地域観測隊で、100名(夏隊53名、越冬隊27名、同行者20名)からなります。
南半球はこの時期が夏ですので、南極に近づきやすい時期に交代するんですね。
しかし毎年毎年スムーズに行くわけではなく、交代が延期される年は珍しくありません。
出産直後の雌と子犬のために燃料を抜き
タロとジロを含めた犬たちが南極へ置き去りにされてしまったのも、第2次隊との交代がうまく行かなかったことが直接の原因でした。
なにも、当時の隊員達がめんどくさがって犬たちを置き去りにしたわけではありません。
夏とはいえ南極は南極ですから、雪も降りますし吹雪もあります。
天候が悪化すれば雪上機等の燃料消費は激しくなりますので、必要最低限の荷物しか載せられないのです。
せめて助けられる分だけでもということで、当時出産したばかりのシロ子とその子供たちを乗せるために燃料を抜いたくらいですから、タロとジロを含めた15頭の成犬を全員乗せることは不可能でした。
ちなみに彼らは全員(頭)樺太犬という大型の犬で、最大体長80cm近く、体重は45kgくらいまで成長します。
このときの犬たちがどのくらいの大きさだったのか詳しい資料は残っていませんが、重さとしてはちょっと小柄な人間の女性くらいということになります。
隊員+15人乗せるとしたら、燃料がフルに入っていてもかなり厳しいことはなんとなくわかりますよね。
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