まんが大河ブギウギ光る君へ編

伊周の道長暗殺計画は史実だったのか?まんが『大河ブギウギ 光る君へ編 第34話』

2024/09/16

毎週土曜日13時50分に『光る君へ』をマンガで振り返る――第34話の注目は藤原伊周による道長の暗殺計画でしょう。

終了間際に、金峯山詣(きんぶせんもうで)へ出かけた道長。

彼らを狙い、伊周が平致頼(むねより)に道長一行を付け狙わせる、そんな不穏なシーンがラストで描かれましたが、実際はどうなるのか?

平致頼とは一体何者なのか?

というと、実はこの致頼、平清盛を輩出する伊勢平氏の祖だったりして、何やら歴史の流れを感じさせます。

その後の展開を含め、第34話を漫画で振り返ってみましょう!

※暗殺計画の中身を一刻も早く知りたい!という方は、以下、該当の見出し(暗殺計画)をクリックしてください

 


寺社勢力

◆史実では寛弘3年(1006年)7月のことでした。

興福寺別当の定澄(じょうちょう)が三千人の僧侶僧兵などを引き連れ上京し、道長を脅すのですが、逆に定澄を脅したことが『御堂関白記』に記されています。

 


検非違使

◆道長に脅し返された興福寺ですが、すぐには屈服せず、その後、土御門第で話し合い。

ドラマで描かれたように四ヵ条の申文があり、僧侶たちは納得して帰ったとあります。

当時の寺は、仏(宗教)を背景に武力も有しており、近世を迎えるまで絶大な勢力でした(詳細は以下の記事へ)。

戦国時代の大寺院
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僧兵
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また、事あるごとに無能っぷりがクローズアップされる右大臣の藤原顕光は、地味な存在ですが、史実面ではなかなか見どころがあります。

といっても、悲しい方向ではあるんですが(詳細は以下の記事へ)。

藤原顕光
使えない右大臣・藤原顕光は史実でも無能だった?悪霊左府と呼ばれた無念の生涯

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中宮様の感想

◆あれだけ率直に意見を言ってくれると、今後の作家活動には良き一面もあるかもしれません。

常に嘘偽りなく感想が聞けるのですから、藤原彰子は式部にとって貴重な読者でしょう。

 


教えてミカド

◆ドラマの中では「気付いたら物語へのめり込んでいった」と語っていた帝。

深堀りしたらこんな本音が出ちゃったり?

やはり物語の著者とは、周囲の雑音を排除して、自分の世界に没頭したほうがよいのかも……。

 

お見舞い壱

◆一条天皇と藤原定子の第一皇子である敦康親王は、定子の兄である藤原伊周にとって、最後の頼みの綱。

「おまえが即位すれば!即位!即位!即位!」

というプレッシャーが滲み出ているのかもしれません。

かつて定子に「皇子を産め!皇子!皇子!」と迫ったように……そんなんで子供に好かれるわけありませんよね

敦康親王
敦康親王(定子の長男)の不憫な生涯|一条天皇の第一皇子は二十歳で散る

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お見舞い弐

◆自分には全く懐かない敦康親王だったのに、道長が来た途端これだ。

もし大逆転があって敦康親王が即位しても、こんな調子では伊周の権勢なんて望み薄では?

そう。だからこそ企てるのですね、暗殺計画を……。

 

参詣

◆禁欲生活という現実を聞かされた瞬間、思わずたじろいでしまう藤原頼通。

今更それを理由に同行を断ったりできませんよね。

ある意味、意地悪なお父さんです。

 

暗殺計画

◆さて、問題の暗殺計画です。

まず、暗殺は実行されたのか?

というと、現実に何らかの事態に発展したことは記録されていません。

『小記目録』という『小右記』の目録に、以下のようにあるだけです。

藤原伊周と藤原隆家の兄弟が、平致頼(むねより)と共謀して道長の暗殺を企てたという噂があった

あくまで噂止まりだったんですね。

しかしここで最も気になるのが、ドラマでも実行部隊として描かれていた平致頼(むねより)でしょう。

一体どんな人物なのか?

というと、歴史の授業でもおなじみ桓武平氏の出身です。

桓武天皇

葛原親王

平良兼

平公雅(きんまさ/きみまさ)

平致頼

実は『光る君へ』の劇中でも、以前、名前だけ登場していました。

第33話で道長が「こんな乱暴者を伊勢守にしてはいけない!」と言っていた平維衡(これひら)。

その平維衡と合戦をしていたのが平致頼だったのです。

両者は伊勢国で武力衝突。

道長が懸念していたのも当然で、実際、その後の歴史は摂関期→院政期を経て、源平~鎌倉時代(武士の世)へと続いていきますよね。

 

平維衡の家は平清盛を輩出する

なお、平致頼(むねより)の祖父である平良兼には平国香という兄がいて、その孫が平維衡であり、

平国香(兄)―平良兼(弟)

平貞盛

平維衡

この平維衡は伊勢平氏の祖となります。

つまりそのまま系譜を辿ると平清盛へと続くのです。

平維衡(伊勢平氏の祖)

平正度

平正衡

平正盛

平忠盛

平清盛

平清盛がその後、全盛期を迎え、源氏に取って代わられるのは『鎌倉殿の13人』で描かれた通り。

まさに歴史の繋がりを感じさせる流れとなります。

最後に。

平安時代が字面から連想させるような「平和で安定していた時代」でないことは、『光る君へ』の放送を見ていたら感じられたかもしれません。

それでも、暗殺計画なんて物騒なこと、あったのか?

と思われたかもしれません。

実は貴族社会でもたびたび殺人事件は起きており、それは後日、あらためて別の記事にまとめたいと思います。

それではまた来週!

◆本マンガの前回は以下のページへ!

彰子の芯に喰い込むまひろの観察眼 まんが『大河ブギウギ 光る君へ編 第33話』

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漫画:アニィたかはし
文:五十嵐利休

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アニィたかはし

漫画家。現在は武将ジャパンにて、まんが『大河ブギウギ べらぼう編』シリーズを連載中。 2014年より歴史漫画家として活動を開始し、2015年には連載作品をまとめた商業コミック『織田信長の戦国ブギウギ』(鉄人社)を全国発売。 以降、独自のポップ表現と歴史知識を融合させた「ブギウギシリーズ」を継続し、戦国・江戸・幕末など幅広い時代を題材とした作品を制作している。 2024年からは大河ドラマの各回を題材にした“ドラマ考証型マンガ”へと表現領域を拡大し、作品の幅をさらに広げている。 ◆主な著書 『織田信長の戦国ブギウギ』(鉄人社、2015年、ISBN:978-4865370324) ◆国立国会図書館データ https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/001200494

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