毎週土曜日13時50分に『光る君へ』をマンガで振り返る――第34話の注目は藤原伊周による道長の暗殺計画でしょう。
終了間際に、金峯山詣(きんぶせんもうで)へ出かけた道長。
彼らを狙い、伊周が平致頼(むねより)に道長一行を付け狙わせる、そんな不穏なシーンがラストで描かれましたが、実際はどうなるのか?
平致頼とは一体何者なのか?
というと、実はこの致頼、平清盛を輩出する伊勢平氏の祖だったりして、何やら歴史の流れを感じさせます。
その後の展開を含め、第34話を漫画で振り返ってみましょう!
※暗殺計画の中身を一刻も早く知りたい!という方は、以下、該当の見出し(暗殺計画)をクリックしてください
寺社勢力

◆史実では寛弘3年(1006年)7月のことでした。
興福寺別当の定澄(じょうちょう)が三千人の僧侶僧兵などを引き連れ上京し、道長を脅すのですが、逆に定澄を脅したことが『御堂関白記』に記されています。
検非違使

◆道長に脅し返された興福寺ですが、すぐには屈服せず、その後、土御門第で話し合い。
ドラマで描かれたように四ヵ条の申文があり、僧侶たちは納得して帰ったとあります。
当時の寺は、仏(宗教)を背景に武力も有しており、近世を迎えるまで絶大な勢力でした(詳細は以下の記事へ)。
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興福寺・延暦寺・本願寺はなぜ武力を有していた? 中世における大寺院の存在感
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源平時代に最盛期を迎えた「僧兵」なぜ仏に仕える者が武装するんだ?
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また、事あるごとに無能っぷりがクローズアップされる右大臣の藤原顕光は、地味な存在ですが、史実面ではなかなか見どころがあります。
といっても、悲しい方向ではあるんですが(詳細は以下の記事へ)。
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使えない右大臣・藤原顕光は史実でも無能だった?悪霊左府と呼ばれた無念の生涯
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中宮様の感想

◆あれだけ率直に意見を言ってくれると、今後の作家活動には良き一面もあるかもしれません。
常に嘘偽りなく感想が聞けるのですから、藤原彰子は式部にとって貴重な読者でしょう。
教えてミカド

◆ドラマの中では「気付いたら物語へのめり込んでいった」と語っていた帝。
深堀りしたらこんな本音が出ちゃったり?
やはり物語の著者とは、周囲の雑音を排除して、自分の世界に没頭したほうがよいのかも……。
お見舞い壱

◆一条天皇と藤原定子の第一皇子である敦康親王は、定子の兄である藤原伊周にとって、最後の頼みの綱。
「おまえが即位すれば!即位!即位!即位!」
というプレッシャーが滲み出ているのかもしれません。
かつて定子に「皇子を産め!皇子!皇子!」と迫ったように……そんなんで子供に好かれるわけありませんよね
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敦康親王(定子の長男)の不憫な生涯|一条天皇の第一皇子は二十歳で散る
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お見舞い弐

◆自分には全く懐かない敦康親王だったのに、道長が来た途端これだ。
もし大逆転があって敦康親王が即位しても、こんな調子では伊周の権勢なんて望み薄では?
そう。だからこそ企てるのですね、暗殺計画を……。
参詣

◆禁欲生活という現実を聞かされた瞬間、思わずたじろいでしまう藤原頼通。
今更それを理由に同行を断ったりできませんよね。
ある意味、意地悪なお父さんです。
暗殺計画

◆さて、問題の暗殺計画です。
まず、暗殺は実行されたのか?
というと、現実に何らかの事態に発展したことは記録されていません。
『小記目録』という『小右記』の目録に、以下のようにあるだけです。
藤原伊周と藤原隆家の兄弟が、平致頼(むねより)と共謀して道長の暗殺を企てたという噂があった
あくまで噂止まりだったんですね。
しかしここで最も気になるのが、ドラマでも実行部隊として描かれていた平致頼(むねより)でしょう。
一体どんな人物なのか?
というと、歴史の授業でもおなじみ桓武平氏の出身です。
桓武天皇
│
葛原親王
│
平良兼
│
平公雅(きんまさ/きみまさ)
│
平致頼
実は『光る君へ』の劇中でも、以前、名前だけ登場していました。
第33話で道長が「こんな乱暴者を伊勢守にしてはいけない!」と言っていた平維衡(これひら)。
その平維衡と合戦をしていたのが平致頼だったのです。
両者は伊勢国で武力衝突。
道長が懸念していたのも当然で、実際、その後の歴史は摂関期→院政期を経て、源平~鎌倉時代(武士の世)へと続いていきますよね。
平維衡の家は平清盛を輩出する
なお、平致頼(むねより)の祖父である平良兼には平国香という兄がいて、その孫が平維衡であり、
平国香(兄)―平良兼(弟)
│
平貞盛
│
平維衡
この平維衡は伊勢平氏の祖となります。
つまりそのまま系譜を辿ると平清盛へと続くのです。
平維衡(伊勢平氏の祖)
│
平正度
│
平正衡
│
平正盛
│
平忠盛
│
平清盛
平清盛がその後、全盛期を迎え、源氏に取って代わられるのは『鎌倉殿の13人』で描かれた通り。
まさに歴史の繋がりを感じさせる流れとなります。
最後に。
平安時代が字面から連想させるような「平和で安定していた時代」でないことは、『光る君へ』の放送を見ていたら感じられたかもしれません。
それでも、暗殺計画なんて物騒なこと、あったのか?
と思われたかもしれません。
実は貴族社会でもたびたび殺人事件は起きており、それは後日、あらためて別の記事にまとめたいと思います。
それではまた来週!
◆本マンガの前回は以下のページへ!
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彰子の芯に喰い込むまひろの観察眼 まんが『大河ブギウギ 光る君へ編 第33話』
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◆配役はこちら→光る君へキャスト
◆視聴率はこちらから→光る君へ全視聴率
◆ドラマレビューはこちらから→光る君へ感想
漫画:アニィたかはし
文:五十嵐利休
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