胡蝶しのぶ

『鬼滅の刃』6巻/amazonより引用

この歴史漫画が熱い!

胡蝶しのぶ(鬼滅の刃・蟲柱)と蝶屋敷は【シスターフッド】の世界也!

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女の園は陰湿?【ミソジニー】も超えてゆけ

蝶屋敷は、女子寮状態です。

しのぶとカナヲだけではなく、アオイ、なほ、きよ、すみが暮らしています。平和でいいですね……ウフフ……で終わる話でもなく。

大奥』ものが典型ですが、こういう偏見があります。

「女同士は陰湿だよなぁ〜」

「女子校っていじめがひどそう〜」

「嫁と姑の争い!」

「ママ友のマウンティング!」

「女性専用車両ってギスギスしてるんだろうなぁ〜」

こういう偏見は、時に歴史観まで歪める危険性があります。

その典型が、豊臣政権の崩壊でしょう。

北政所と淀の方が対立していたから――そんな見方がありますが、その前に石田三成を集団襲撃して、西軍を見限ったのは男性でしたよね。

石田三成
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男同士だってギスギスしているのに、そこをスルーされるのは単なる理不尽でしょう。

しかし、なぜそんなことになってしまうのか。

原因は【ミソジニー(女性嫌悪)】です。

◆女同士の罵り合いショーにされる「女性専用車両に乗りたくない女性」の声(→link

女同士の争いを見て、陰険だとニヤニヤする。あいつらは低劣で、団結もできないと高みの見物。

そういうのは女性嫌悪であり、性差別です。

特に、価値観を歪め、事実誤認まで招くのであれば有害でしかなく、そういう意識の形成を担っているのがエンタメだったりします。

残念ながら、かつての少年漫画もその一つ。

同じジャンプ作品『るろうに剣心』でも、薫と恵が「タヌキだキツネだ」と周囲から言われたり、料理の腕前をジャッジされたり、助長するものがありました。

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連載当時は、そういうしょうもないキャットファイト(女性同士の争い)が、エンタメの味付けとして楽しまれていたということですね。

では、なぜそれがエンタメとして成立していたか?

というと、男性読者の中には、こういう快感も生じたらでしょう。

「やっぱ女は男なしじゃダメなんだよな〜」

「ハーレム状態だなぁ、ムフフ」

「俺の愛を競って女どもが争うなんて哀れよのぉ〜」

それを善逸のダメすぎるセクハラと、女たちの一致団結した反撃が描かれるのですから、本作『鬼滅の刃』は考え抜かれています。

女の園に入り込んできて、ウハウハしている善逸状態の男は、ただの邪魔でしかないと……。

◆ 馳氏ら自民視察の回答書「言い訳の典型」「質問に答えてない」、少女支援団体が憤り(→link

 

蝶屋敷は【シスターフッド】の世界

蝶屋敷の少女たちは、そこで生活しているだけです。

男を楽しませるためにいるわけではない。せっかく丁寧に治療しているのに「ウハウハ〜」と迫られたら、そりゃ怒りますよね。

『鬼滅の刃』には、進化があります。

セクハラをされても顔を赤らめ、快感すら覚えているような、そんなしょうもない漫画を大人が読んでいる一方で、子どもたちはこの漫画を読んでいます。

「そっか……この女子ばかりのところで浮かれたら、俺は蝶屋敷の善逸だな」

そう無意識下に刷り込まれるのだとすれば、バッチリ大成功です。

女の子たちを守るだけでもない。

強引なハラスメントまがいのアプローチは、男性にとっても「キモい……」と思われるだけ。

そういう悲しい未来から『鬼滅の刃』は少年も守るのです。

そしてそんな【ミソジニー】に対抗する、現代にピッタリな概念もあります。

【シスターフッド】です。

◆ 2020年大豊作!今“シスターフッド映画”が見逃せない理由 (→link

彼氏であるジョーカーのせいで、ああなってしまったハーレイ・クイン。

そんな彼女が、とっとと彼氏を捨てて、女の仲間と活躍する。そういう時代です。漫画のヒロインも変わってゆきます。

 

カナエとしのぶ。そしてカナヲ、アオイ、なほ、きよ、すみ……姉妹同士で受け継がれてゆく思いは、まさしく【シスターフッド】です。

「女同士って陰湿そうだよな〜」

そう言いながら頭の更新をできない人がいたら、しのぶやカナヲのような笑顔で、こう言い返しましょう。

「ふふ、それって古いんですよ。【シスターフッド】って知ってます? 人気の『鬼滅の刃』にも出てくるんですけど」

古いようで、現代社会の流れを取り入れてゆく『鬼滅の刃』――少女も、少年も、これからを生きる人々を救ってくれる作品となるでしょう。

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文:小檜山青

【参考】
『鬼滅の刃』6巻(→amazon
『鬼滅の刃』アニメ(→amazonプライム・ビデオ

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