坂本龍馬が作成したとされる長州征伐の図/wikipediaより引用

幕末・維新

長州征伐(征討)がスッキリわかる!幕府、孝明天皇、外国人の視点も大事だよ

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下関戦争の結果、幕府も以下のようなダメージを食らったのです。

1. 関門海峡の自由な通行が認められる
2. 石炭・水・食料の補給が可能となる
3. 関門海峡の砲台修理・新設禁止
4. 莫大な賠償金の要求

次々に国土を脅かす要求がなされ、さらには下関が勝手に自由貿易港とさせられそうになり、幕府もそれだけはなんとか阻止しました。

代わりに莫大な賠償金をむしりとられるわ、おまけに長州藩は急速に外国勢力に接近していくわ。
まさしく踏んだり蹴ったりです。

ともかく、攘夷が結果的にマイナスになったこと。
これは幕末史だけでなく日本史全体においても重要でしょう。

外国人への無差別なヘイトは国益を損ねる――これは我々だけでなく、世界中の人々も歴史から学ぶべきことではないでしょうか。

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思わぬところから流れ弾を喰らった幕府。

幕臣の中には、
「なんだこれ? 下関戦争って八百長じゃねえのか!?」
という声があがるほどでした。
長州藩の過激な攘夷行動が、結果的にここまで危険な事態を招いていたのです。

同時に、イギリスにも思惑がありました。

当時の外国人たちは、日本にはミカドを中心とする勢力と、タイクーン(将軍)を中心とする幕府があると喝破していました。
イギリスは薩英戦争後、幕府を支持するフランスに対抗して、薩摩に肩入れし、政治介入する機会をうかがっていたのです。

このあたりも、なかなか複雑でして。

幕臣の中には、長州を叩きのめすためにも、フランスはじめ諸勢力の力を借りようという主張もありました。
しかし、外国による政治介入の危険性を察知したためか、幕府は及び腰でした。

それに対して、薩長はそこを考えていなかったためか、実際に明治政府の成立以降、外国から干渉を受けた事例があります。

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今度はホンモノの八百長だった

さて、話を戻しますと、幕府は下関戦争で結果的に打撃をくらいました。
こうなっては長州という危険を潰しておくべきでしたが、将軍家茂は急死し、長州の処分は宙に浮いてしまいます。

第一次に関しては、長州征討は効果がなかったわけではありません。
首の皮一枚を残した。復活できる芽を摘み取れなかった。とはいえ、ある程度成功はしています。

だからこそ、幕臣たちは悔しがるのです。
「あのとき、長州を、立ち上がれなくなるまで叩いておけば!」

問題は、その後の行動です。

第二次長州征伐です。

第一次と第二次の間には、様々な要素がありました。

◆イギリスによる倒幕勢力への接近
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こうした動きを何も知らない幕府は、「一会桑政権」に対抗して長州と同盟を結んだ薩摩藩の西郷隆盛を、あろうことか第二次長州征伐の責任者に任命しています。

確かに第二次長州征伐は「四境戦争」とも呼ばれ、高杉晋作はじめ多くの英雄が暴れ回った舞台とされています。

が、それ以前に、今度こそ八百長だったのです。
最初から殺し合う気はありませんでした。

そうこうしているうちに、元治2年(1865年)生真面目な名君の器とされていた徳川家茂が薨去。
後継者は徳川慶喜です。

この慶喜と薩摩藩主・島津久光が性格的に一致せず、政権は大揉め。
間に立った松平春嶽も心がポッキリ折れてしまい、当初は倒幕の意志がなかった久光も、ついには「幕府などもう要らん」と決意を固めます。

そして長州藩を憎み続けた孝明天皇は、慶応2年(1867年)崩御しました。
一会桑政権が崩壊してしまうと、その後、慶喜は自己保身に走り、会津と桑名は滅びの道へと進んでゆきます。

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長州を叩き潰すことに失敗した幕府の権威は失墜し、もはや瓦解の道しかありませんでした。

歴史に”if”はありえない。

でも、それでも言うとしたならば、
「長州をあのときしっかり潰していればなァ」
なのです。

文:小檜山青

【参考文献】
『長州戦争 幕府瓦解への岐路 (中公新書)』(→amazon
『明治維新とは何だったのか: 薩長抗争史から「史実」を読み直す』(→amazon
『もう一つの「幕末史」』(→amazon
国史大辞典

 



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