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【阿部正弘】
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凄まじいストレスから急死?
幕府の重鎮には、様々な人が居ます。
徳川斉昭のような筋金入りの攘夷派もいれば、堀田正睦や井伊直弼のような開国派もいる。
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反対派の意見もよく聞く、八方美人とも評された正弘は、まさしく板挟みに苦しんだことでしょう。
そして、そんな阿部が抜けるということは、緩衝材がいなくなるということ。
未曾有の国難を前にして、幕府は、こじれた派閥争いで揉めるという最悪の状況につながっていくのです。
ストレスが命を縮めたのか。
安政4年(1857年)、阿部は急死しました。
そしてその存在感は、死後に、より一層ハッキリしました。
堀田・井伊と斉昭の対立が激化し、次期将軍を誰にするかという将軍継嗣問題で、幕府閣僚と大名たちの対立が頂点に達します。
その結果が【桜田門外の変】につながるのでした。
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もし、バランスを取ることに長けた阿部が存命であったら?
歴史にIFは禁物ながら、日本がまるで別の国になっていた可能性も否めないでしょう。
幕府官僚の方が先に「攘夷ムリ絶対」を悟っていた
幕末の立場が語られるとき、
◆幕府……頑迷で開国に反対していた
◆倒幕派(尊皇攘夷)……開明的で新たな国作りをめざしていた
こんな単純図式で語られがちです。
これはおそらく、阿部の後任である井伊直弼が【安政の大獄】を引き起こしたことも影響しているでしょう。
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しかし実際はまるで当てはまりません。
むしろ阿部、井伊、堀田らの上層部は、
「攘夷なんて絶対に無理!」
と悟り、開国しながら落としどころをつける道を探っていたのです。
「不意打ちして白刃一閃! 穢らわしい夷狄を斬る」
そんな過激な攘夷思想を抱え、むしろ遅れていたのは、倒幕派なわけです。
まぁ、これは孝明天皇が外国人を毛嫌いしていたため、天皇の意見を尊重する「尊皇」と攘夷がセットになるのも仕方なかったのですが。
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攘夷派たちはテロ行為のような攘夷を繰り返し、諸外国から反撃されてようやく、「攘夷は無理」という結論に至ったわけです。
過激攘夷派がトライ&エラーを繰り返して悟った境地に、阿部は知識だけで達していたわけで、むしろ先進的であったと言えるでしょう。
島津斉彬とは懇意で意見が一致
もちろん倒幕派の藩でも早くから気づいていた人物もいます。
薩摩藩主・島津斉彬です。
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開国派で、武力による攘夷の限界を知り、内戦の危険を察知していた斉彬。
彼は阿部と意見が一致していました。そのせいか二人は懇意にしていました。
老中とも仲がよく、母は島津家の正室――という斉彬ですからもはや藩主相続は確定的でしたのに、「どうしてああなった/(^o^)\」と嘆かずにはいられないのが【お由羅騒動】です。
この御家騒動にも、阿部は登場。斉彬を引き立て、藩主就任にチカラを貸すのです(実際は島津斉興へ引退勧告の『茶器』を贈る)。
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安政の大獄を引き起こすことになる将軍継嗣問題でも、阿部は斉彬と立場を同じとする「一橋派」でした。
この問題がこじれたのは、一橋派が擁立をはかった慶喜の父・徳川斉昭に問題がありました。
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イケイケの過激な攘夷論、日頃の言動に問題があり、大奥はじめ敵を作りすぎていたのです。
このあたり、阿部がうまくまとめて、揉めずに一致団結。攘夷派をなだめつつ幕政を舵取りしていたら……。
と、妄想を何度も考えてしまう魅力ある人物。
それが阿部正弘なのです。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
国史大辞典
半藤一利『幕末史』(→amazon)
泉秀樹『幕末維新なるほど人物事典』(→amazon)